トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

クァルテット・エクセルシオ×タレイア・クァルテット

クァルテット・ウィークエンド2019-2020

結成25年を迎えた日本が誇るクァルテット・エクセルシオ(以下エク)が次世代クァルテットを紹介するシリーズ、今回エクが共演するのは、タレイア・クァルテットです。

日本を代表するクァルテットのひとつ”エク”と次世代クァルテットとの共演!!

まずはエクのみなさんに、今回共演する若手クァルテットにタレイアを選ばれた理由をお聞かせください。
吉田:すごくいろいろなことにチャレンジしていて、頑張っていますよね。
西野:アンサンブルが完璧で、アグレッシブというか、積極的なアプローチが印象的です。頑張っている様子が、風の噂で聞こえてくるので、そういう人たちを応援したいなと思って。
大友:クァルテットに真剣に取り組んでいるので、この共演が何かのきっかけになって、ささやかだけど、また次に課題を感じる機会になると嬉しいなと。

このお話を聞いた時のタレイアのみなさんの反応は?
石崎:あこがれだったので「やったー!」という感じです。
山田:個人的に、前から、いつか一緒に弾けたらいいなと夢見ていたので、それが本当に現実になったんだと思って。Excelsior&Okushiga(C)KoshimaYukiko_MG_8816.JPG
二村:大友先生には、学生時代に室内楽などのレッスンも受けて、温かく導いていただいていました。昨年、クァルテット奥志賀と共演している時も、みなさんすごく楽しそうで、もちろん演奏も素晴らしいのですが、お人柄の温かさが伝わってきました。
渡部:私もエクのみなさんには、先生としてお世話になっていたので、最初にお話をいただいた時は緊張が先に立ったのですが、公演が近づくにつれて楽しみになっています。

共演するのはガーデの八重奏曲ですね。
大友:デンマークの作曲家ですね。エクは、ドイツでヘンシェル・クァルテットと演奏したことがあります。メンデルスゾーンにすごく良く雰囲気が似ています。ロマンティックで聴きやすい曲ですよ。
それぞれが弦楽四重奏曲も演奏します。タレイアはヤナーチェクの弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」ですね。
渡部:第1番「クロイツェル・ソナタ」を演奏した時に、ヤナーチェクは私たちに合っているのではと思いました。
山田:本番特有の緊張感と集中力みたいなものが、ヤナーチェクでは特に出るように思います。

QuartetExcelsior_A.jpgエクは、ドヴォルザークの「アメリカ」ですね。
大友:我々エクは今26年目なのですが、25周年の時にお客様からリクエストを募ったんです。今年度は、その上位にランクインした曲を演奏しています。第1位は、先日の定期演奏会で演奏したシューベルトの弦楽四重奏曲第15番で、第2位が「アメリカ」でした。やはり八重奏曲のガーデが、知られている作曲家ではないので、メジャーな作曲家の名前が入っているといいかなと。「アメリカ」は、第一生命ホールで演奏したことがないので。
渡部:ヤナーチェクもドヴォルザークもチェコ出身ですね。

北見さんは今年度エクに加入しましたが、「アメリカ」はもう演奏されましたか。
北見:5月に正式に入る前に代演でも演奏しましたし、エクの総会でも。何回か弾く機会がありました。

入ったばかりの北見さんには、クァルテットとしてのレパートリーが次々と押し寄せてきていると思いますが、いかがですか。
大友:今年はプログラムもリクエストで組んでいますので、シューベルトはいきなり(最後の)第15番からで......。
北見:すごいレパートリーから演奏しています(笑)。
吉田:ベートーヴェンも(後期の)第15番からですし、もう怖いものなしですね(笑)。
大友:北見さんは、こちらトリトンアーツのアウトリーチセミナーでも勉強していたから。
北見:アウトリーチセミナーで柳瀬省太先生と演奏したのも、「アメリカ」でした。思い出の曲です。

ThaleiaQuartet_A_(C)jetcity.pngこのシリーズは、エクのことはよくご存じのお客さまが多いのですが、タレイアを聴くのは初めてという方もいるので、ぜひアピールを。タレイアは2014年に東京藝術大学在学中に結成されているんですね。どういう経緯だったのでしょうか。
石崎:最初は学校の授業で、山田さんが人を集めてスタートしました。
渡部:私と山田さんは同級生で、石崎さんが1つ下。チェロは人数が少ないので、山田さんがひっぱってきました。

タレイアという名前もその時につけたのですか。
山田:授業では名前は必要ないので、どこか外で演奏する機会を頂いて、その時につけたのだと思います。
渡部:みんなで話し合って。ずっと女子4人でやっていますので、女神の名前で何かいいのがないかなと、花を咲かせ、喜劇をつかさどる女神であるタレイアを選びました。ポジティブで素敵だなと。女神タレイアは美人なんです。それを目指して(笑)。

そして、大学を卒業しても、コンクールを受けたり、海外に行ったりして活動を続けていらっしゃるのですね。
渡部:コンクールの前などに、人前で演奏する機会を作って頂いて。
山田:他に依頼があれば、ありがとうございますとやらせて頂いています。サントリーホールの室内楽アカデミーフェロー(第5期)でもあるので、そこでも演奏する機会があります。
渡部:2年で1周期なのですが、2年目に入りました。

NHKのEテレ「らららクラシック」にも出演されていましたね。
エク:見た見た!!

これからどんな活動をしていきたいですか。
山田:コンクールを受けたり、勉強をしたりしながら活動していけたらと思っています。
渡部:大友先生が、サントリーホールの室内楽アカデミー第3期の最後のレッスンで「クァルテットは続けていくのが難しい」とおっしゃっていたのを覚えていて。(注:渡部さんは、エクがファカルティだったアカデミー第3期にも個人として参加)一番は続けて行きたいということです。

タレイアの中で、それぞれの役割をご紹介頂けますでしょうか。

【二村さん/第2ヴァイオリン】
渡部:じゃあ2つ年上の先輩、二村さんの紹介から。もう見たまま、音はもちろん人柄も、内声にぴったりです。みんなのお姉さんという存在で、しっかりして、とてもきれい好きです。
石崎:お部屋に髪の毛1本も落ちていないんです。
二村:そんなことないです。みんなが来る前に、掃除をしています(笑)。
渡部:整理整頓もすごいんですよ。頭の中も。すごく尊敬しています。
二村:タレイアに入ったのは、本格的には去年(2018年)の10月からで、今ちょうど1年ぐらいです。
山田:澤和樹先生に習っていた同門です。澤先生は特に音程の取り方がすごく厳しくて、純正率での取り方、メロディでの取り方と、すごく分けられているのですが、はじめて一緒に弾いた時に、何も言わなくても、こんなにぴったりと音程が合うんだと思いました。それから音色もすごくしっくりきて、「あー安心する」と感じました。

【渡部さん/ヴィオラ】
山田:内声からということで、次はヴィオラの渡部さんを。同級生です。
渡部:山田さんとは2年生の時、最初にクァルテットを組む時から一緒です。
山田:その時は、別のメンバーで私は第2ヴァイオリンでした。仲良しで、長い付き合いです。「何かあったらヴィオラは渡部さん」と思って、とても信用しています。
石崎:渡部さんは、音楽的にも、合わせの時に色々と言ってくれて助かります。
二村:人に合わせる能力も高い上に、自分の意思もしっかりしているので、4人の意見もまとめて、そこに集中する事ができます。内声から発信してくれるものが多いですね。
山田:私は(第1ヴァイオリンとしてはしっかりした内声の上で)弾くだけでいいんだ、と楽に感じる時があります。

【石崎さん/チェロ】
山田:石崎さんは、ムードメーカーですね。
渡部:「美雨ちゃんペース」というか。なんか自分のワールドを持っている。旅に行くと、絶対にグルメ担当です。
山田:音楽的には、外声としては、彼女と長い間演奏しているので、言わなくてもだいたいは合うようになってきて、すごく安心してできます。この前、2人でデュオを演奏することがあって、それまで2人だけで演奏することはあまりなかったので、なんだか途中でおもしろくなってきて弾きながら笑っちゃって......。でも本当に、自然と合うといいますか。
渡部:付き合いが長いというのもあるんですが、年下ということは関係なく、自分の意見をはっきり言ってくれていいよね。
二村:吸収力が高くて、色んな演奏会を聴いていて、あのクァルテットはこういう風に演奏していたなどアイディアを出してくれて、それによってまとまる時もあって、すごく助かっています。

【山田さん/ファースト】
石崎:山田さんは、バンドマスター。バンマスです。
渡部:音楽と関係ないことを言ってしまうんですけど、返信が鬼のように早い。仕事のメールも早くて、仕事ができる。それから、英語ができるので、海外のコンクールに書類を出す時など、頼りっぱなしです。
二村:しっかりしている。
渡部:最初に結成した時は第2ヴァイオリンでしたが、次の年からすぐ第1ヴァイオリンに。
山田:それからは固定です。第2ヴァイオリンもやってみたいと思うこともありますね。オーケストラなどで第2ヴァイオリンを弾くことがあると、こういう気持ちなんだなと思います。

みなさんそれぞれ「はっきり言ってくれるのが嬉しい」というお話が何回か出ましたが、結構、言葉でこうしたらどうかと言い合って練習を進めるのですか。
石崎:そうですね。
山田:割と言葉ですね。とりあえず弾いてもみますが、言って、やってみてという感じで。
渡部:言葉でも伝えるように気をつけています。
大友:意見とかアイディアがぶつかりあったりした時、どういう解決をしますか?
山田:一度やってみて、変だったら微調整しながらやってみて......あまりにも決められない時には、アカデミーの先生に相談したり。ずっと意見が分かれたままということにはならないですね。どこかで折り合うようにしています。もっと喧嘩した方がいいと磯村和英先生にも言われます。喧嘩というか、ディスカッションを。
西野:雰囲気が悪くなる時はないですか?
渡部:一瞬あっても、誰かがフォローするなりするので、本当に険悪にはならないですね。
石崎:音楽ではそんなに険悪にはなりません。それ以外のことで何かあっても、みんなすぐに忘れていく感じです。
吉田:さっぱりしてますね。
渡部:女子4人で、もめごとはないの?とよく聞かれるんですけど、ないんです(笑)。それぞれ、女性らしいところもあるんですけど、さばさばしていて。付き過ぎず、離れず、いい距離間だと思います。
山田:エクの皆さんは、続けていく秘訣などは?
西野:エクは「家族」だから、本心をそのまま態度に表してしまうことも。それが良い方向に行った時には(関係も音楽も)深くなりますよね。ぶつかるのは全然悪いことではないと思います。

お互いの演奏と八重奏での共演がますます楽しみになった様子のエクとタレイア。ベテランと次世代の化学反応をどうぞお楽しみに。