舞台上のスクリーンに絵本を投影して、朗読を交えながら生演奏も楽しんでいただくという大人気《「音楽と絵本」コンサート》シリーズから、今秋は名作絵本『こんとあき』[作:林明子/福音館書店]に、ピアニスト・小川典子さんと仲間のみなさんが音楽をあわせた回を6年ぶりにお届けします。
小川さんは英国と日本を拠点に世界で活躍されているピアニストです。あふれるエネルギーととても繊細な柔らかさと、表現の幅も豊かなその演奏は、聴く人の胸にぐっと確かに届く、音楽の喜びが輝いています。そんな素敵なピアノと「道」クヮルテット(弦楽四重奏)のみなさん、朗読の森田樹優さんが「音楽と絵本」の楽しさをホールいっぱいに広げ響かせてくださいます。
「イギリスでも学校でのコンサートは多いのですが、このように《絵本と音楽》という機会はトリトンならではですね!」 という小川さん。「この『こんとあき』は優しくもあり、もの悲しくもあり、懐かしさもあり...大人も子どももそれぞれ心の中に持っているいろんなものを喚起させるお話になっています。それをますます盛り上げるために、ぴったりの音楽を」と、ご自身で選曲された音楽は、モーツァルトのソナタや(ピアノを習っているお子さんにもおなじみ!)ブルグミュラーの〈25の練習曲〉から、はたまたドヴォルザークの傑作〈ピアノ五重奏曲〉から...と、耳になじみやすくも感情の豊かな作品が絵本を彩ります。
「前回の公演でも、朗読の森田さんが表現される虹色の声に本当に驚きました。とても楽しかったですし、生演奏が子どもたちにも強いインパクトを残したと思います。朗読のテンポにも合わせながら、お話が淋しくなってきたら弦楽器のヴィブラートもそれらしくなってきたり。音楽も感情に合わせていきますから、それを実際に体験していただけます。その舞台をもう1度、と言っていただけるのは私たちにも本当にうれしいことなんです!」
[聞き手・文/山野雄大(音楽ライター)]