活動動画 公開中!

トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
Menu

アーティスト・インタビュー

与那城敬&小川里美

雄大と行く昼の音楽さんぽ 第5回
与那城敬&小川里美 さすらいの詩 魂の歌

お昼どき、素敵な演奏とトークでお届けする愉しい90分・・・「雄大と行く 昼の音楽さんぽ」第5回は人気歌手お二人をお迎えしての贅沢なひととき!

男声と女声の魅力をよりじっくりと
お二人それぞれが思い込めて

 今回のご出演はオペラの舞台でも強い存在感を発揮してご活躍のお二人、深い声で聴き手をぐっと惹きこむバリトンの与那城敬さん、華も艶も素敵な声でうっとり魅せるソプラノの小川里美さん。しかもおもしろいことに、二重唱ではなくそれぞれのソロ歌唱をお楽しみいただくという趣向。並べ聴くことで男声と女声の魅力をよりじっくりと味わっていただけるのではないでしょうか。お二人それぞれが思い込めて選んだ独唱曲で織り上げてくださいます。
 まず与那城さんは、英国の作曲家ヴォーン・ウィリアムズの傑作歌曲集《旅の歌》。


与那城:ヴォーン・ウィリアムズは20世紀前半に活躍した作曲家ですが、新しいものと耳馴染みよい民謡調との融合がうまくできている音楽なんですね。この《旅の歌》も、旅立ってゆく最初の曲から、旅をしながら好きだった女性のことを思い出したり、最後は・・・。よくシューベルトの歌曲集《冬の旅》へのオマージュと言われることもある歌曲集ですが、こちらは「あ、こんなところに飛んだ?」と思うようなところもありつつ(笑)、旅に出ることで見えてくる人との繋がり、自然との対話など、25分ほどの全曲に大きなドラマを見るような作品です。


 詩は「宝島」など傑作小説でもお馴染みの作家スティーヴンソン。シンプルな中に想い深い言葉を、音楽が豊かにすくい広げてくれる時間をお楽しみに。この与那城さんのイギリス歌曲に対して、小川さんのほうはフランス歌曲を選んでくださいました。


小川:与那城さんから「旅がらみの曲だといいなぁ」とお題をいただき(笑)、同じような世界観の作品を・・・とあれこれ探して考えついたデュパルク《旅への誘い》からフランス歌曲を組んでいきました。この曲の詩はボードレール、同じデュパルクの《戦いのある国へ》はゴーティエの詩というあたりも味わっていただきたいですし、アポリネールの詩によるプーランクの歌曲集《平凡な話》にも旅への想いが入っています。オペラの役として歌う時に自分自身を出すことはないのですが、リサイタルでは歌曲を"私"が歌うので、詩や曲に対して自分自身が何を強く思うのか、が出ますよね。


与那城:小川さんの声は温かみがあってフランスものも合うんですよねぇ。


小川:与那城さんは繊細な表現力で音楽をつくってゆくかたで、歌詞の解釈を十分に声に乗せて歌うので、歌曲から学ぶことも多いんです。こうしてリサイタルでごいっしょさせていただけるのは本当にありがたいです!

[聞き手/文 山野雄大]