「親子で音楽を楽しみたい!」という願いにお応えする〈育児支援コンサート〉。子育て真っ最中のご家族に毎回大変ご好評をいただいています。ふつうの親子コンサートとはちょっと違って、お子さんも音楽の楽しさを間近で体験でき、親御さんもゆっくり音楽を堪能できるように工夫されています。リコーダーをはじめバロック・オーボエなど幅広く手がける江崎浩司さんにお話をうかがいました。
古楽器は身体にいい泥つき野菜!?
初登場の江崎さんは仲間のみなさんといっしょに古楽器を聴かせてくださいます。バロック音楽などに使われていた古楽器には独特の魅力があってファンも多いです。
チェンバロは王侯貴族の愛した優雅な鍵盤楽器ですし、リュートは「王様の寝室に入れた楽器」。歌の伴奏楽器としても重宝され一般庶民にも愛された、繊細で柔らかい楽器です。僕が吹いているリコーダーのように、現代にもマッチできる楽器はジャズでもなんでも吹けるんですが、それ以外の古楽器は、その時代の音楽に合うように作られたものですね。古楽器はかんたんに言うと泥つき野菜。素朴で身体にいいんです。聴くほうには無理がなくリラックスして聴ける要素が多い。でも、演奏するほうにはすごくむずかしいのです。
子どもも大人も楽しめる絵本と音楽の世界
スクリーンに投影された絵本といっしょに生演奏...という豪華で楽しい「音楽と絵本」コーナーも大人気ですが、今回はエロール・ル・カイン「アーサー王の剣(ほるぷ出版)」。古楽器ととても合いそうな絵本ですね。
古楽器の魅力をお伝えしたいので、絵本も伝説など古いものがあればいいなと考えていたのでぴったりです。合わせる音楽も、たとえばパーセルの作品にはまさに「アーサー王」というオペラもありますし、すぐにいろいろ思い浮かびます。バロック音楽はわかりやすい曲が圧倒的に多いんです。後のベートーヴェンのようにがっつり系じゃないし、絵本の背景で鳴っていても合うんです。日本で言えば、江戸時代の華やかな着物をみたり、落語を聞いたりするのと同じ感覚ですよ。今回も、どこに笑いを散りばめるかを楽しみに考えていますよ!
湖の姫から魔法の剣を授かったアーサー王が...と、その豊かな想像力は子どもも大人も楽しめそうです。
〈魔法の剣エクスカリバー〉という名前が戦隊ものみたいでいいですよね!(笑) 子どもたちにいっしょに掛け声をかけてもらったりとか、絵本に入り込んでもらえるようなことも考えています。今回は朗読も僕がやりますので楽しみにしてください。
[取材/文 山野雄大(音楽ジャーナリスト)]