ザルツブルグにあるモーツァルトの住家修復を、第一生命が支援した縁で結ばれた、第一生命ホールとモーツァルト。今年も、日本を代表する人気ソリストたちとN響メンバーによる室内オーケストラが、「モーツァルト・ガラ・コンサート」をおおくりします。
スケールの大きな風格ある「トルコ風」で
待望の初登場の前橋汀子
協奏曲の幕開けを飾るのは、第一生命ホール初登場となる前橋汀子。昨年演奏活動50周年を迎えた、日本が誇るヴァイオリンの名花による懐の深いモーツァルトをご堪能ください。
「『モーツァルト・ガラ・コンサート』で、N響メンバーによる室内オーケストラとごいっしょに演奏するのを楽しみにしています。モーツァルトは19歳の時、ザルツブルクで5曲のヴァイオリン協奏曲を書き上げました。第5番は、スケールの大きな風格ある作品です。第3楽章にトルコ風のエキゾチックなリズムがあるところから『トルコ風』と呼ばれています。
私にとって初めての第一生命ホールで、モーツァルトを演奏するのを心待ちにしています」
(前橋汀子)
演奏でモーツァルトに感謝を伝えたい
若手トップ奏者の福川伸陽
ホルン協奏曲を演奏するのは、ソリストとして活躍しながら、今年から正式にN響団員にもなった期待の若手、福川伸陽です。
「モーツァルト! 未完成のものを含めると6つもの協奏曲をホルンのために書いたモーツァルト! シンフォニーでは、ホルンに目立つフレーズをほとんど与えてくれなかったモーツァルト! オーディションやコンクールの課題曲として、無数のホルン奏者を泣かせ、そして喜ばせて来たモーツァルト!
初めて演奏したのは中学生の時。あまりの美しさ、楽しさに、ホルンを演奏するうれしさを教えてもらいました。それが原体験となっているのでしょうか、今ではホルンを吹くことを職業とすることができました。その感謝を、演奏でモーツァルトに伝えることが出来ますように」
(福川伸陽)
ピュアな子ども心あふれるモーツァルト
国際的な活躍が光る児玉桃
最後に、モーツァルト自身も得意としたピアノ協奏曲を演奏するのはパリ在住の児玉桃。幼い頃からヨーロッパで育った彼女は、モーツァルトも自然な呼吸で聴かせてくれることでしょう。
「モーツァルトのピアノ協奏曲は、私にとって、どの曲も宝物ですが、今回弾かせていただく第12番は、もっとも優しさと幸せあふれる曲です。素晴らしいN響メンバーによる室内オーケストラと、第一生命ホールで、このモーツァルトのピュアな子ども心があふれている、美しい音楽を演奏させていただけることを、 心より楽しみにしています」
(児玉桃)
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モーツァルトの珠玉の協奏曲を、767席の室内楽ホールという贅沢な空間、指揮者なしの親密なアンサンブルで、ぜひお楽しみください。
[聞き手/文 田中玲子]