活動動画 公開中!

トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
Menu

レポート

アウトリーチ
室内楽アウトリーチセミナー
室内楽アウトリーチセミナー

アウトリーチセミナー講師と受講生による
小学校アウトリーチ

 中央区立京橋築地小学校
 中央区立中央小学校

基本情報

日時 ①中央区立京橋築地小学校
 2023年1月23日(月)9:40~10:25/10:45~11:30
②中央区立中央小学校
 2023年2月6日(月)9:40~10:25/10:45~11:30/11:35~12:20
出演 講師:松原勝也(ヴァイオリン)
受講生:安田沙織(ヴァイオリン)岩澤なぎさ(ヴィオラ)神田尚己(チェロ)
概要 対象者:①・②4年生・5年生:
人数:①74名 ②90名

助成等:文化庁 文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】
♪ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 Op.127 第1楽章
♪モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのためのニ重奏曲ト長調K 423 第1楽章より
♪ドヴォルザーク:三重奏曲 ハ長調Op. 74, B 148 第1楽章より
♪ドホナーニ:弦楽三重奏のためのセレナード ハ長調 Op.10 第1楽章
♪ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 Op.127第1楽章
♪アウトリーチ訪問先の校歌


アウトリーチセミナー(※)の一環として、中央区立京橋築地小学校、中央区立中央小学校の4、5年生を対象に弦楽四重奏のコンサートを行いました。


【レポート】

 築地本願寺正面の京橋築地小学校で、4年生と5年生を対象に弦楽四重奏のアウトリーチを行いました。 即興を挟んで組まれたプログラムで示された「音楽は自分の気持ちを表現して伝えることだ」ということを、子供たちは敏感に感じ取っていました。
 コンサートが始まる前に子供たちは学校の先生に「こんなに近くで見られることはないからね」と言われ、「えーっ!」「うぉー!」と目をかがやかせていました。
☆IMG_9816.JPG 「指揮者はいないけれどどうやって4人で合奏していると思う?」「『せーの』もないし、他の人を見てもいないよ」という言葉に子供たちは「信じられない」と驚いていました。それでも「心でやり取りするんだね」と答えた4年生の女の子がいました。
 「楽譜に書かれたままには演奏していない。弱いフォルテもあるし、強いピアノもある。自分の気持ちを表現し、相手に伝えることが大事。だからやりたいようにやる」と言われて混乱した子供たちもいましたが、「この場で音楽を作ろう」に5年生は「イエーイ!」。演奏者が即興も交えつつ音楽で対話する様子をじっと観察していました。
☆IMG_9846.JPG 最後は「みんなにも参加してもらおうかな」と言うと「えーっ」と驚きましたが、「校歌を歌おう」と始まると、普段の伴奏とは違う雰囲気に楽しそうに歌っていました。
  若手演奏者の側もその間にどんどん進化し、トークも子供たちに意図が良く伝わるようになって、即興演奏もますます生き生きしてきました。これがアウトリーチセミナーの醍醐味なんですね。

(トリトンアーツサポーター星 直樹 観察レポートより)


(※)アウトリーチセミナーとは
2011年より松原勝也氏(ヴァイオリニスト/東京藝術大学教授)を講師として、若い弦楽器奏者を対象に開催しています。講師と弦楽四重奏を組み、プログラムを考え、何度もリハーサルを重ねて、小学校で実際にアウトリーチを行い「子どもたちの心に本当に残る音楽とは何か」を1年間考え続けることで、受講生にとっても、今後の演奏家としての活動に深く影響を与えるセミナーとなっています。

集中セミナーのレポートはこちら


【子どもたちのアンケートより】
●音楽は自由なんだなということに気づきました。
●同じ楽器でもいろいろな音をだしていてすごいなと思いました。
●合奏をしているときに楽器の音だけでなく「体の動き」でも曲・音を表現するのがすごかったです。
●自由にひく、自分の思ったようにひける、そんなえんそうしている人に自分もなりたいです。
●音楽をただかなでるのではなく、心をこめて今思っている事を音楽、楽器でひくという考えにとてもそんけいしました。私はそれほど音楽に対して興味を持てていないので、そんなに音楽を好きでいられる事は凄いと思います。
●いろんな場面によって音色が表情などかえていて、本当に自分の思ったようにかなでているのだなと思いました。
●同じ「ド」の音でも人によって気持ちがちがうように、音も少しちがう。しかしそれでもよいということにも気付いた。

プロフィール

松原 勝也(まつばら かつや)ヴァイオリン  
東京藝術大学在学中に安宅賞受賞。ティボール・ヴァルガ国際コンクール、クライスラー国際コンクール等で上位入賞。1989年~98年まで新日本フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターを務める。ソリストとして新日本フィル、東京フィル、東響などと共演。2001年よりNPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク/第一生命ホール主催の若い演奏家のための弦楽セミナー《アドヴェントセミナー&クリスマスコンサート》を、2011年より《アウトリーチセミナー》をプロデュース。第17回中島健蔵音楽賞、第55回文化庁芸術祭新人賞受賞。静岡AOI・レジデンス・クヮルテット、クァルテット・アーニマメンバー、長崎OMURA室内合奏団アーティステックアドヴァイサー、東京藝術大学音楽学部教授。
安田 沙織 (やすだ さおり)ヴァイオリン  
3歳よりヴァイオリンを始める。
第10・11回セシリア音楽コンクール弦楽器部門入賞。
室内楽、オーケストラ等での演奏活動や、教育施設・福祉施設でのアウトリーチ活動に取り組むかたわら、幼稚園児、小学生を中心としたヴァイオリン指導も行う。
これまでにヴァイオリンを柴香苗、漆原朝子、松原勝也の各氏に、室内楽を川崎和憲、菅谷早葉、市坪俊彦、植村太郎の各氏に師事。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部 器楽科を卒業。
現在、同大学院音楽研究科 器楽専攻 室内楽研究分野 修士課程1年在学中。
岩澤 なぎさ (いわさわ なぎさ)ヴィオラ  
5歳よりヴァイオリンを始める。第28回かながわ音楽コンクール入選。第63回鎌倉市学生音楽コンクール3位、優良賞。成績優秀者による桐朋学園大学student concert出演。桐朋学園宗次ホール・オープニングコンサートシリーズにて清水和音氏と共演。ヴァイオリンを米納真妃子、前澤均、神代恭子、久保良治の各氏に師事。ヴィオラを鈴木康浩氏に師事。室内楽を菊地知也、鈴木康浩、水谷晃の各氏に師事。北鎌倉女子学園高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。現在同大学大学院音楽研究科修士課程1年在学中。
神田 尚己(かんだ なおき)チェロ  
成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科を経て、北海道教育大学岩見沢校音楽文化専攻管弦打楽器コースチェロ専攻卒。同校室内楽選抜演奏会等に出演。
これまでにチェロを井戸聡、津留崎直紀、懸田貴嗣、石川祐支の各氏に、室内楽を長岡聡季等各氏に師事。