トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2019年2月12日(火)
9:40~10:25/10:45~11:30
出演 弦楽四重奏[松原勝也/松谷萌江(ヴァイオリン) 鶴友見(ヴィオラ) 饗庭萌子(チェロ)]
概要 実施会場:中央区立中央小学校 音楽室
対象者:小学4年生1クラス、5年生1クラス
人数:52名
助成等:文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
    独立行政法人日本芸術文化振興会

プロフィール

松原勝也 ヴァイオリン  Matsubara Katsuya
東京藝術大学在学中に安宅賞受賞。ティボール・ヴァルガ国際コンクール、クライスラー国際コンクール等で上位入賞。第17回中島健蔵音楽賞、第55回文化庁芸術祭新人賞受賞。89~98年まで新日本フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターを務める。01年よりNPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク/第一生命ホール主催の若い演奏家のための弦楽セミナーをプロデュース。東京藝術大学音楽学部教授。
松谷萌江 ヴァイオリン  Matsutani Moe
神奈川県横浜市出身。5歳よりヴァイオリンを始め、これまでに磯部夕佳里、松宮麻希子、松原勝也、景山誠治、齋藤真知亜の各氏に師事。室内楽を齋藤真知亜、百武由紀、山口裕之、横山俊朗の各氏に師事。東京音楽大学を卒業し、現在はフリー奏者としてオーケストラや室内楽を中心に活動中。鎌倉ジュニアオーケストラ、ヤマハ大村楽器、横浜オーケストラ倶楽部各講師。
鶴友見 ヴィオラ  Tsuru Tomomi
2010年国立音楽大学演奏学科ヴィオラ専攻卒業、ならびに室内楽コース修了。在学中Gluckカルテットを結成し、第6・7章プロジェクトQに参加。第4回横浜国際音楽コンクール第3位。第33回霧島国際音楽祭賞受賞。PMF、小澤征爾音楽塾、ルツェン音楽祭アカデミー、MMCJに参加。サントリーホール室内楽アカデミー第1期生。桐朋学園オーケストラアカデミー研修課程修了。
饗庭萌子 チェロ  Aiba Moeko
4歳より米国にてジェニファー・ヤン氏の元でチェロを始める。神奈川県立弥栄高等学校音楽コースを経て東京藝術大学卒業。霧島国際音楽祭、MMCJ 2017やSMA2018に日本よりメンバーとして選抜される。アレグロ・ヴィーヴォ音楽祭にてラズロ・フェニョのクラスを修了。横浜信用金庫で結成されたAquamarin Quartetの専属チェリスト。フィリップ・ミュレール、フランス・ヘルメルソン、堤剛の各氏のマスタークラスを受講。チェロを菊地知也、西谷牧人、中木健二の各氏に師事。

レポート

【プログラム】

プロコフィエフ:弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調 Op. 92 第1楽章
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番より 第2楽章 アンダンテ・カンタービレ
ヴォルフ:イタリア風セレナード
J.S. バッハ:ゴルトベルク変奏曲 より「アリア」

【レポート】

この日は、アウトリーチセミナーの受講生と松原勝也氏によるアウトリーチで、昨年11月に行われた京橋築地小学校と同じプログラムです。
内容についてはすでにレポートで報告されているので、今回は児童の気持ちになってレポートしてみました。(サポーター鈴木香代子)

■演奏者がやってきました。「あれ、何か話しているけど、どこの国の言葉かな?」 友達も皆、「何語?」と顔を見合わせています。演奏者たちはお互いにおしゃべりをしていて、楽器を弾いたりしていたら、大きな楽器を持っている人が突然「チェロ!」と言うので、楽器の名前を説明しているんだな、と思いました。それから「ヴィオラ」「ヴァイオリン」と言うのも分かりましたが、他は何をしゃべっているのか、まったく分かりません。そして楽器を弾きあったりしているうちに、突然4人が息を合わせて真剣に演奏を始めました。「知らない曲だけど、なんだかすごいなぁ!」と思って、いつの間にか演奏に引き込まれてしまいました。私の隣の男子は、頭を縦に振って拍子を取っていました。

 ※これらのやり取りによって、演奏者が織りなす音楽のフレーズが、演奏者自身の心から出る「音楽のことば」である、という事を、自然に感じ取ることができたと思います。

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■曲が終わると、「こんにちは」と突然話し出したので、「日本語が話せるんだ!」と思ってビックリしましたが、何だかワクワクした気分になりました。そしたら、「これから実験をします。」と言ったので、もっとワクワクしました。その実験は、違う「ことば」を聞いてから同じ曲を聴くと、感じ方が変わるかな?と言うものでした。まず「空を見上げて」と言ってから演奏を聴いたら、本当に空が広がっている所にいるような気がしました。次に「不思議な夢」と言ってから聞いたら、本当に不思議な夢を見ているような感じがしました。同じ曲なのに、感じ方が違うんだなと思いました。友達も「違う」と言っていました。

 ※「実験」というキーワードは、子どもをワクワクさせて、興味・関心を引き出すのに効果的だと思いました。

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■次に、「音楽で太陽を輝かせてみたいと思います。」と言うので、本当に太陽が輝くのかと思って思わず教室の外を見てしまいました。でも曲を聴いたら本当に太陽がギラギラしている風景が目に浮かびました。次に「風を吹かせてみます」と言って演奏したら、風が吹いているように聴こえました。同じ曲なのに、と思っていたら、友達も「違う感じに聴こえた」と言っていました。演奏者が、「音楽は自由に聴く事ができる」と言ったから、「そうなんだ」と思いました。その次に今の曲を全部弾いてくれたけど、想像しながら聴いたので、最後まで面白かったです。

 ※「ことば」によって、イメージしやすくなり、聴きやすくなりました。まったく聴いたことの無い、子どもにとっては難しいかもしれない曲を聴く時には、このように「ことばによるガイド」があると良いと思いました。

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■その次に「これから、音楽とことばを使ったより深い世界、みんなが主役の物語です。」と言って、色々お話をしながら演奏してくれました。確かに自分が旅をしているような、色々な場所が目に浮かびました。夕焼け、雲の上、風が吹いている、靄の中に浮かぶ島、ジャングル、などなど。こんなに想像しながら音楽を聴くのは初めてだったけれど、とても楽しいなと思いました。そうしたら、最後の曲はとても静かな曲で、どこかで聴いた事があると思ったけれど、心に響いてきて、自分がその曲の中にいるような気がしました。
今日は、演奏者の方々が集中して演奏している姿を見て、すごいなぁと思ったのと、音楽でこんなにたくさん想像したことは初めてだったので、今度、コンサートに行って聴いてみたいと思いました。

 ※短い「ことば」で、子どもたちを音楽の世界に誘い、感性を引き出し、聴く事の楽しさを味わってもらうことができていたと思います。
 ※最後の曲は、引き続き何も説明せずに演奏したので、子どもたちの中には、集中が薄くなっている子もいましたが、ほとんどの子は深く聴き入っていました。

(サポーター 鈴木香代子 観察レポートより)