トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2015年2月13日(金)9:15~9:35/9:50~10:20
出演 吉野駿/北見春菜(ヴァイオリン) 福田道子(ヴィオラ) 伊藤七生(チェロ)
概要 実施会場:中央区立日本橋幼稚園ゆうぎ室
対象者:年少~年長
人数:年少31名 年中34名 年長35名
助成等:平成26年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

プロフィール

吉野駿  (しゅんおにいさん/第1ヴァイオリン)
5歳からヴァイオリンを始めました。ニューヨークのジュリアード音楽院(プレカレッジ)で勉強した後、桐朋学園大学音楽学部を卒業。日本学生音楽コンクール・東京大会入賞。2013年トリトン・アーツ・ネットワーク「室内楽アウトリーチセミナー」に参加しました。また2014年12月まで、カナダのオタワ国立芸術センター管弦楽団(NACO)にアカデミー生として在籍していました。
北見春菜  (はるなおねえさん/第2ヴァイオリン)
7歳からヴァイオリンを始めました。桐朋学園大学音楽学部を卒業、同大学研究生と桐朋オーケストラ・アカデミー研修課程を修了。サントリーホール室内楽アカデミー第1・2期生としてサントリーホールのチェンバーミュージック・ガーデンに出演しました。2012年トリトン・アーツ・ネットワーク「室内楽アウトリーチセミナー」に参加。横浜市栄区民文化センターリリス レジデンス・アーティストとして地元横浜でも演奏活動をしています。
福田道子  (みちこちゃん/ヴィオラ)
国立音楽大学附属音楽高等学校で勉強中にヴィオラを始めました。桐朋学園大学音楽学部で学び、同大学研究科、桐朋オーケストラ・アカデミーでも勉強しました。2011年トリトン・アーツ・ネットワーク「室内楽アウトリーチセミナー」に参加。サイトウキネンフェスティバル、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀などに参加しました。いまは、関東と関西を中心に活動しています。
伊藤七生  (セブン/チェロ)
9歳からチェロを始めました。桐朋学園大学を卒業、同じ大学の大学院修士課程を修了、ドイツやスペインの音楽祭でも勉強しました。2011年トリトン・アーツ・ネットワーク「室内楽アウトリーチセミナー」に参加しました。鹿児島県や富山県、八王子市や中央区でアウトリーチ活動をしたほか、いまは洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団のチェロ奏者をしています。

レポート

今回の日本橋幼稚園でのアウトリーチは、「弦楽四重奏のコンサート」というプログラムで開催されました。年少さん、次に年中・年長さんの順番で、保護者の方も見守りながら、それぞれ20分、30分の演奏会でした。

年少さんの公演では、まず、演奏家の方が入場されておひとりずつ挨拶すると、子どもたちは元気よく「よろしくお願いします」とお返事していました。最初の曲であるグラズノフの弦楽四重奏曲第3番「スラヴ」よりが演奏され、カルテットがどのようなものであるかを一度聴いてみた後は、本日登場している楽器を紹介するコーナーです。弦楽器の形や音、それぞれの違いを近くで見た子どもたちは「かっこいい」や、チェロに対しては「大きくて恐竜みたい」と思わず口に出していました。

20150213_nihonbashi_report2.jpg4つの楽器が一緒になるとどのような音楽になるか、改めて聴くために、グリーグの弦楽四重奏曲第1番よりを聴きます。悲しい曲ですが、全員でフォルテの和音を弾くところでは大きな笑いが起きました。また、モーツァルトの弦楽四重奏曲K387よりでも、動きの速いパッセージに対して、同じように「おもしろい」と皆で話していました。

20150213_nihonbashi_report1.jpg最後に、「聴くだけでなく一緒に音楽しよう」ということで、園歌を弦楽伴奏に合わせて歌いました。体で一生懸命リズムを取って歌っている姿が、音楽の流れに乗っているようで印象的でした。アンコールには皆がよく知っている曲を演奏しましたが、自分たちから一緒になって歌っていました。

年中・年長さん公演も、プログラムは同じでしたが、反応はやはり違うものでした。ヴァイオリンが木でできていると説明されると、「太鼓にもできそう」と考えたり、チェロについては「こんなに大きいから音も大きそう」と予想したりと、感じたことを積極的に発言してくれました。

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グリーグの曲に対しては、休符の部分で音楽が止まると、曲が終わったと思って拍手をし、しかし実はまだ曲が続いているということに笑っていました。おそらく、誰も弾いていないから終わったと判断したのだと感じましたが、年少さんとは違う捉え方で興味深かったです。さらに驚いたのは、モーツァルトを聴いているときに、「(楽器を弾きはじめる)順番が違う」という鋭い発見をしていたことです。それまでの曲できちんと観察していたからわかったのだと思いますが、目の前という位置で聴くことによって、子どもたちは目でも音楽を楽しんでいたようです。

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こちらの組では、一緒に歌うコーナーで、園歌の前に「ゆき」を合唱しました。ピアノ伴奏と比べて複雑な、演奏者のひとりが編曲した弦楽伴奏ですが、皆元気に歌っていました。また、アンコールが終わった後も、興奮が冷めやらないようで再びアンコールを求めるなど、カルテットの美しさや楽しさをすっかり覚えたようすでした。

今回のアウトリーチでは、必ずしも耳馴染みのある曲が演奏されたわけではありませんが、そのなかでも年少さんが音そのものに対して関心を示していた一方で、年中・年長さんは、楽器の弾き方など形式的なものに対しても興味を持っていたことが印象に残りました。また、演奏家の方たちが「子どもたちが聴きながらリアルタイムで自由な反応を見せてくれるので、自分たちを客観視できて勉強になる」とおっしゃっていたように、アウトリーチが弾く側にとっても貴重な機会だということが改めてわかるコンサートでした。(インターン 笠間)