630コンサート~充電の1時間~
仕事帰りに上質な音楽とワインでリフレッシュ!
18:25、何とか会場に辿り着いた。
TANの提供する630コンサートは我々サラリーマンには有り難い。平日に演奏が聴ける機会などほぼ皆無な、芸術とは程遠い生活を送る私にはとても楽しみなコンサートだ。
とはいえ、万事が万事幸せという程甘くも無い。何せ18:30開演だ。この日は朝から張りに張り切って仕事に取り組んで、何とか時間を作ることができた。
ヘトヘトな状態でギリギリの時刻に会場に辿り着く。客席はやはり人でいっぱいだった。知名度の高い二人だけあって、聴衆の活気も違った。
1曲目はモーツァルトのソナタ。仕事で疲れた私の脳にこれほどの癒しは無い、そんな素敵な空気に包まれた演奏だった。矢部さんの華麗なテクニックに包まれた演奏にうっとりしながら、ゆったりと時間だけが過ぎていく。何も考えずに、贅沢な音色が頭を通り過ぎていく、そんな幸せを味わった。
2曲目、ベートーヴェン。モーツァルトで徐々に頭が音楽仕様に切り替わり、曲の面白さがだんだん感じられるようになった。また面白さを分からせてくれる演奏でもあったと思う。特に終楽章は、私が好きなせいもあるかもしれないが、飽きさせない展開の仕方・弾き回しで、時にハラハラさせるような場面があるなど聴いていて非常に面白かった。充実した構成を魅せる横山さんのピアノは流石だと思った。
3曲目、すぐにショパンが始まる。ふと疑問に思ったのは、何故彼らはすぐに演奏に入れるのか、という事だ。それに比べ仕事に浸かり切った私の頭は、ちょうどモーツァルト1曲分でようやくクラシックを聴く態度に切り替わることができたのに、彼らはそれを瞬時にやってしまう。ベートーヴェンかと思ったらショパン、トークかと思ったら演奏。マイクを置くや否やたちまち音が流れていく。いやはや、プロの集中力は恐れ入る、と独りで静かに感嘆しながらショパンを聴いた。歯切れの良いピアノの音はもはや癒しでは無く、聴衆の鼓動を高めてくれる存在だった。
そして、クライスラー。
優しい空気と快活な空気、対照的な二曲が不思議と意味を成し、緩-急の移り変わりを楽しませてくれた。コンサートは終わりへと向かい、少し名残惜しい気持ちが沸き出た。時間に直せばわずか1時間(+α)。名残惜しさは当然か。
しかしながら1時間(とちょっと)とは思えない充実した内容。それでいてコンパクトにまとめられていて、平日ならではの音楽の楽しみ方を発見できたと思う。
そして、「充電」の意味は翌日知る事となる。お酒や煙草等々のリフレッシュ方法とは違い、身体に堪えることの無い音楽による「充電」は最高の気分転換だった。翌日は仕事もスムーズにいき、こうしたメンタル・ケアの重要性を感じた。
社会人にとってオン・オフのバランスは不可欠。仕事に負担を感じているのなら、皆さんも是非一度第一生命ホールを訪ねてみてはいかがでしょうか。きっと素敵な時間が待っているはずです。
公演に関する情報
〈ライフサイクルコンサート#46〉
630コンサート~充電の1時間~
仕事帰りに上質な音楽とワインでリフレッシュ!
日時: 2010年2月4日(木)18:30開演
出演者:横山幸雄(ピアノ) 矢部達哉(ヴァイオリン)
演奏曲:
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ変ロ長調K.454
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番ニ短調「テンペスト」op.31-2
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調op.22
クライスラー:クープランの様式によるルイ13世の歌とパヴァーヌ
クライスラー:ボッケリーニの様式によるアレグレット