クラシック はじめのいっぽ Vol.17
ヴァイオリン&ピアノ~安永徹&市野あゆみ~
「はじめのいっぽ」のシリーズのいいところは、「1時間と短い」「お手頃価格」そして、「演奏家の生の演奏だけでなくお話付き」だと思います。
今回もそうでした。「プログラムの補足を......」とお話が始まりました。
「ピアノとヴァイオリンとの会話を楽しんでほしい」このお話がとても印象に残りました。
その当たり前なことを意外と忘れて聴いているかも......
「知らない曲だから楽しめない」とか「クラシックって難しそう」とか、そういったことではなく、初めて聴く曲でもそうではなくても、「楽器同士の会話」を追いかけていれば心地よいんだなと、この日、再認識しました。
例えば、最初のブラームスでは、ブラームスがクララを思い出して......というエピソードがありました。
こういったエピソードは、ブラームスって多いかも......と、心の中でクスクス笑いながら聴いているだけで楽しい。
あのお話の場面は、この楽章のどのあたりだろうと考えているのも面白い。
この曲を知らなかったことを忘れていたくらい、エピソードを思い出しながら楽しんでいました。
後半は小曲がずらり、だけれど超有名曲というわけでもないのに楽しめてしまったのは、演奏にプラスしてお話があったからこそ。
エルガーに「愛の挨拶」以外でこんな素敵な作品があるんだなとか、ピアソラやチャップリンまで聴けちゃうんだとか、そんな風に気軽に聴いちゃっていいコンサートがあることがうれしいと感じたひと時でした。
この日の会場は、穏やかな雰囲気。演奏家さんのファンの方と、このシリーズのお客様がちょうどいいかんじで混じり合っているなぁと感じました。例えば、私がモニターのためのメモをとっていたときに鉛筆を落としてしまい、曲と曲の間に拾う時も、周りの方達はおだやかでキリキリとしていない。こういったことからも、この日の演奏会の印象がどんどん良くなるものなんだなと、今、思い出しています。
そしてこのシリーズのもうひとつのいいところは、「託児サービス」があることです。
演奏会のお値段より少しお高めではあっても、小さな赤ちゃんと一緒にホールへ行くことができて、その場で預かっていただけて、終わったらすぐにお迎えに行けるから慌てなくてもいいのがありがたい。
演奏会へ行きたいなと思っている私には、とてもうれしいことなのです。有料であっても、こういったサービスがあることは、知られてもよいのになぁと思います。
小さな赤ちゃんでも、自分のためにホールの方が親切にしてくれていることは、案外わかっていると思うし、そういう体験をさせてあげられることができてよかったなと改めて感じました。
公演に関する情報
<ライフサイクルコンサート #43>
クラシック はじめのいっぽ Vol.17
ヴァイオリン&ピアノ~安永徹&市野あゆみ~
日時: 2009年10月22日(木)11:30開演
出演者:安永徹(ヴァイオリン) 市野あゆみ(ピアノ)
演奏曲:
ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番ト長調op.78「雨の歌」
エルガー:2つの小品op.15
シベリウス:5つの小品op.81より第3曲ワルツ
リリ・ブーランジェ:3つの小品より「夜想曲」ヘ長調/「行列」ホ長調
ピアソラ:言葉のないミロンガ
チャップリン:映画「モダン・タイムス」より「スマイル」