クァルテット・エクセルシオ〈#76〉
ラボ・エクセルシオ 20世紀・日本と世界II
弦楽四重奏を生で聴くのは久しぶりでしたが、クァルテット・エクセルシオの演奏にはとても惹き付けられて好感をもちました。「20世紀・日本と世界」という企画は、簡単に広く親しまれやすいものではないと思いますが、知的な探究を惜しまなかった20世紀の作り手と音楽を再考できる、とても有り難い機会だと感じました。
ウェ-ベルンと間宮芳夫、二人の作品が年代順に演奏され、つまみ食いではなく、どっぷりと浸かって味わい、比較や体系的な理解にも誘うという贅沢なプログラムだったと思います。会場は満員とは言えませんでしたが、熱心な聴き手が集まっているように感じました。
いざ聴いてみて、前半のウェ-ベルン4曲で自分の頭がかなり疲労してしまったのが悔しいばかりです。間宮さんのプレトークから聴いて、楽しみにしていた後半の間宮作品でしたが、休憩をはさんでもあんまりしゃきっと回復せず、実はほとんど記憶に残りませんでした。そのことはこのコンサートで最大の心残りですが、一方で自分自身にはよい感覚的刺激が与えられたことともなりました。結局、私は間宮作品を聴いたとはいえないのですが、間宮作品にインスピレーションを与えた前衛詩の存在など、トークで話された作品背景のエピソードなどはとても印象深く残りました。戦後の日本人前衛芸術家の交流や作品追求について、さらに知りたい気がします。間宮作品は改めて聴き直そうと思います。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウィークエンド 2008-2009 Galleria〉
クァルテット・エクセルシオ〈#76〉
ラボ・エクセルシオ 20世紀・日本と世界II
日時: 2009年1月31日(土)18:00開演
出演者:クァルテット・エクセルシオ
[西野ゆか/山田百子(ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)]
演奏曲:
間宮芳生:弦楽四重奏曲第1番(1963)
間宮芳生:弦楽四重奏曲第2番「いのちみな調和の海より」(1980)
ウェーベルン:弦楽四重奏曲(1905)
ウェーベルン:弦楽四重奏のための5つの楽章op.5
ウェーベルン:弦楽四重奏のための6つのバガテルop.9
ウェーベルン:弦楽四重奏曲op.28
※間宮芳生によるプレトーク17:00~17:30