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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2020年12月24日(木)
13:50-14:35

出演 浜まゆみ(マリンバ)、小林拡史(打楽器)
概要 実施会場:中央区立日本橋小学校 音楽室
対象者:小学4年生2クラス
人数:58名
助成等:文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】

♪M.シュミット:ガーナイアM.シュミット
♪リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
♪A. ゴメス & M.ライフ作曲:レインダンス
♪M. マンフレッド:アイネ クライネ ティッシュムジーク
♪J. マークス arr. K. 鈴木:赤鼻のトナカイ
♪A. ハチャトゥリアン:剣の舞 


【レポート】

これまでは1クラスずつ音楽室など小さめの部屋で実施してきたアウトリーチですが、コロナ禍の今年は、体育館で行うことになりました。

音楽の先生の「拍手で演奏家の方をお迎えしましょう」との言葉で子どもたちが拍手をすると、どこからともなく太鼓の音が……。振り向くと、浜まゆみさんと小林拡史さんが太鼓をたたきながら入ってきました。子どもたちは、歩きながら演奏するお二人の太鼓の音を探して身を乗り出し、最初から音に合わせて膝をたたいたりしてノリノリに。小林さんが前に立って、太鼓をたたいて促すと、コールアンドレスポンスが始まりました。そのまま浜さんがマリンバで最初の曲「ガーナイア」を奏で始め、子どもたちはたちまち音楽の世界に入っていきます。

☆IMG_7354.JPG

1曲聞いたところで、浜さん、小林さんのご挨拶と楽器の説明がありましたが、その時には、もうすっかり夢中になって聞く雰囲気が出来上がっていました。

最初に入ってきた時に浜さんが演奏していたのはトーキングドラムと言って、言葉を使わなくても音で会話ができること、みんなも今コールアンドレスポンスで、音で会話していたこと、マリンバの音の響きは鍵盤の木の振動で生まれること……など音楽にとって大事なことを、浜さんは子どもたちの言葉も引き出しながら、テンポよく説明していきます。マリンバの振動については、ピンポン玉を置いた状態でマレットで鍵盤をたたいて、ピンポン玉が高く上がった様子を見せて視覚的にも確認した後、実際に代表として先生に鍵盤を指で触っていてもらい、マレットでたたいてみました。ちょっと痛いくらいの振動に先生もびっくり、その顔を見て子どもたちも大喜びです。

☆IMG_7374.JPG

音を届ける仕組みを説明したところで、今度はマリンバの仲間である、学校の木琴を出してきました。「木琴を演奏したことがある人?」と聞くとたくさんの手が挙がりましたが、「今日はちょっと違った演奏方法でも演奏するのでよく見ていてください」とマリンバのすぐ前に木琴を設置。超高速で「熊蜂の飛行」をマリンバで弾き始めると、途中でぐるっと木琴の前に回り込んで、反対側(黒鍵側)から演奏!(「えっ、あっちからも演奏できるの?」と驚きの声)演奏しながら一周まわってマリンバに戻って、最後は、小林さんが、サイレンホイッスルとスラップスティックで、蜂がブーンと飛んで行ってパチンとたたかれた様子を表現。子どもたちは、まるで蜂が見えるかのように空中に顔を向けて、蜂を探していました。浜さんが「蜂が飛んでいるようだと思った人?」と聞くとまたまたたくさんの手が挙がります。「非常口から逃げたみたい。見えない蜂も見えるように音で表現できるんですね。それが音楽の楽しいところです」と浜さん。音楽において大事なポイントを、説明するのではなく、子どもたちに実際に体験させて気づかせていきます。また、次々に色々な新しい楽器が出てくるので、子どもたちの集中力も途切れません。

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次の「レインダンス」は、もともとマリンバのソロ曲ですが、小林さんが様々な楽器を即興的に加えて雨の様子を表現します。演奏前に浜さんが「私は森の中の雨かなと思ったのですが、小林さんは街に降っている雨だと思ったそうです。人によって想像することが違っておもしろいですね。いろいろな音が出てくるので、それも聞いてください」と話したので、子どもたちも「自分の好きなように想像していいんだな」と思った様子。終わった後にどんなふうに聞こえたかたずねてみると「雨がやんで鳥が鳴いている音」「太陽の光が雲の間から差してきた」「太陽が水たまりにあたっていた」などなど、色々なイメージが浮かんだようです。浜さんや小林さんも「同じところで、私は虹だと思いました。だけど小林さんは何を思っていたかというと……?」「僕はね、太陽だと思って演奏していました」など、自由な発想を受け入れる姿勢が、徹底しています。

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その流れのまま、小林さんが「ぐううう~」と大きな缶の中をこすって音を鳴らします。浜さんも違う楽器で「ぐうう~」この音は…?「何の音?そう、おなかが鳴る音! お腹すいた!」と、用意してあった学校の机に座って、ナプキンを前掛けにフォークとスプーンを両手に持つと、「アイネ・クライネ・ティッシュムジーク」の始まりです。軽快にスプーンとフォークで机をたたいて足を踏み鳴らし、そのリズムに、子どもたちもその場でいっしょに足を踏み鳴らしたり手で膝をたたいたり。楽しそうに演奏する浜さん、小林さんを見ていると、自分たちも思わず身体が動いてしまうようです。

☆トリミングIMG_7411.jpg

最後は、簡単なボディ・パーカッションを覚えてもらって、先生にも前に出てきていただき、クリスマス・ソングで共演しました。

教室に帰る時には、並んでひとりひとりマリンバの鍵盤の振動体験をしてから帰りました。指に鍵盤の響きを感じて、声をあげる子どもたち。体育館を出ながら「優しく(鍵盤を)叩いてくれた~」「ああ楽しかった~」「痛かったね」とうれしくてたまらない様子でした。

アウトリーチの最初から最後まで、子どもたちは興味深々で楽しい時間を過ごしていましたが、その中に、音の響きは振動であること、音楽で会話ができること、音楽は想像力をふくらませて自由に聴いていいこと、自分たちの身体だって音楽になることなど、浜さんは大切な要素をしっかり伝えていました。

浜さん、小林さんが楽しそうであること、演奏している間に身体から音楽があふれていることが伝わるのは、間近で生で聴くことによって感じることができるアウトリーチの醍醐味。また浜さんが心を開いて子どもたちの発言をしっかり受け止めてくれるため、子どもたちの心も開かれ、演奏はもちろん、お話も子どもたちの心にすっと沁みとおっていっているように見えました。


(トリトンアーツスタッフ 観察レポートより)

プロフィール

浜まゆみ(マリンバ)  Mayumi Hama
桐朋学園大学音楽学部演奏学科打楽器科マリンバ専攻を首席で卒業。同大学研究科修了後、アメリカミシガン大学打楽器科大学院留学。1999年、第2回世界マリンバコンクール第2位。これまでに東京交響楽団との共演、Percussive Arts Society コンベンション(テキサス、米国)“Time for Marimba”にて招聘演奏・パネリストとして出席。The University of California Davis(米国)、チアパス州立芸術科学大学(メキシコ)、The University of Michigan(米国)、California State University, Fresno(米国)、Denison University(米国)にて演奏・マスタークラスを行う。第1回ラテンアメリカマリンバコンクールにて審査委員を務める。国内外で演奏活動を行なう傍らでトークを交えながら幅広い層に親しめるサロンコンサートも行なっている。
小林拡史(打楽器)  Kobayshi Kouji
桐朋学園大学音楽学部 演奏学科打楽器専攻卒業。大学卒業後、オランダ・ロッテルダム音楽院のジャズ科を経て、ヨーロッパにて録音やライブの演奏活動を開始。現在は主に国内を中心にドラムセットの演奏をメインとした、タレントのバックバンドや音楽番組への出演、ライブサポート、また自身のバンドでのライブ活動なども行っている。その他、クラシック、打楽器アンサンブルやカホン、ジャンベなど民族打楽器も演奏する。ドラムセットを田中康弘(RCC ドラムスクール)、山背弘、Peter Ypma の各氏に、打楽器を山田徹、佐野恭一の各氏に師事。
2008年、ピアニスト大賀美子とのデュオ「Feelinʼ(フィーリン)」2013年にはピアニスト須藤信一郎、ベーシスト木田浩卓とのトリオ「Trattrio(トラットリオ)」を結成。以後自主公演や各種イベントへのゲスト出演は各地で好評を得ている。
(C)photo by yuka yamaji