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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2020年12月22日(火)
城東小学校 ①11:35~12:20
阪本小学校 ②13:40~14:25 ③13:30~15:15 
出演 TANBRASS
松木亜希/永井綾子(トランペット) 髙橋朋子(ホルン) 佐々木匡史(トロンボーン) 仁藤雄貴(テューバ) 川島佑介(打楽器)
概要 実施会場:城東小学校 ランチルーム
対象者:城東小学校4年生、阪本小学校4年生・5年生
人数:城東小学校23名、阪本小学校56名
助成等:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】

♪讃美歌:もろびとこぞりて
♪五田詩朗:Buzzing Waltz (バズィング・ワルツ)
♪エヴァルド:金管五重奏曲第1番より第3楽章
♪ルイ・プリマ:シング・シング・シング
♪阪本小学校校歌(*阪本小)
♪ジョニー・マークス:赤鼻のトナカイ(*城東小)
♪チャイコフスキー:くるみ割り人形セレクション~小序曲・行進曲・トレパック~


【レポート】

●:演奏者の働きかけ
◎:インターン 三好萌子 観察レポートより
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●演奏者はクリスマスの帽子などをかぶって笑顔で登場。挨拶なしに誰もが知っている1曲目の「もろびとこぞりて」の音楽が突然始まり、子どもたちの興味を惹きつける。1曲目演奏後は、マスクをしながらもみんなで元気に挨拶。子どもたちに「金管楽器を知っている人?」という質問から、金管楽器紹介へ。
◎子どもたちは位置についたとたんに演奏をし始めたアーティストたちを真剣な表情で見つめていました。楽器や音そのものに惹きつけるのに効果的だったのではないでしょうか。投げかけた質問に対して、子どもたちは元気に回答。子どもたちから受け取った回答を実際にやって見せることで、今まであまり金管楽器に接点がなかった子も楽器に興味を持っているようでした。例えば「金管楽器の音の出し方を知っている人?」という質問。城東小では、一人の男の子がいきなり大正解を出しましたが、阪本小では「息を吹いて演奏する!」という回答に対し、実際にアーティストが楽器に息を吹き込んで見せました。息を吹いただけでは音の出ない金管楽器を前に、「あれ?何でだろう?」と不思議がっている子どもたちが所々見受けられました。

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●それぞれの演奏家たちの楽器紹介は、楽器の構造による音の特徴を説明するなど、視覚的にも音の特徴をイメージできるように説明。また、演奏家たちは自分自身をあだ名で自己紹介し、演奏家たちと子どもたちの距離を縮める。
◎子どもたちは目と耳両方を使って楽器の理解を深めることができたのではないでしょうか。各楽器の説明では、それぞれの楽器の演奏者が順番に自身の楽器を紹介していきました。トランペットは、バズィング→マウスピースのみ→楽器全体を連続で演奏したり、ホルンは管を全て伸ばす4mにもなると説明したりと、それぞれの演奏家の工夫を凝らした楽器紹介に子どもたちは「え~!」「お~!」と声を出しながら反応していました。

●バズィングの練習をした後は、「バズィングワルツ」で子どもたちと共演。
◎ただ音楽を鑑賞するのではなく、実際に演奏家たちと一緒になって音楽を作り上げることで、音楽の楽しさをより体感することができたのではないでしょうか。大きな音、小さな音で演奏したり、チームで分かれて演奏したりしたことも、効果的だったように感じました。演奏の間中、子どもたちは皆大喜びで非常に盛り上がりました。

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●「金管五重奏曲」で出てくる3つのテーマについて、演奏を通しで聴く前にそれぞれのテーマを聴いて子どもたちで意見を交換し合いました。アーティストは様々な意見を聞くために、いろんな子に話を振っていました。
◎子どもたちの中には、目をつむって音に集中して想像を膨らませていた子も。「パレードみたい」「外で歩いているみたい」と、状況を思い浮かべた子もいれば、「緑色みたい」と色で表現したり、「物を買おうか買わないか迷っている」と心情を説明したりしてくれた子もいました。子どもたちは自分が抱いたイメージを積極的に発言していました。人によって様々に異なった意見があることを知った子どもたちは、「自分の想像もみんなと違っていて良いんだ!」と気づき、それが積極的な発言に繋がったのではないでしょうか。

●「金管五重奏曲」を聴いた後は、「シング・シング・シング」を題材に音楽を分解して聴いてみることで、それぞれの楽器の役割を学びました。まずはトランペットで「メロディー」を聴いて、ホルンとトロンボーンが加わって「ハーモニー」が重なり、テューバとドラムが加わることで「リズム」が付いて音楽になる!ということを体感してもらいました。
◎ここで初めてドラムの楽器紹介があり、ドラムの2つ打ちを、膝を使ってみんなで体験しました。段々と早くなるスピードに子どもたちは皆一生懸命ついていこうとしていました。「バズィングワルツ」と同様、実際に一緒に演奏することで、子どもたちは音楽を作り出す楽しさを体感できたのではないでしょうか。こうして演奏家の近くで演奏家と一体になって演奏する体験は、アウトリーチ活動ならではの楽しみ方であると感じました。

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●ここまで演奏家たちと音楽を通した双方向のコミュニケーションをとり、演奏家と子どもたちの壁をなくし、子どもたちに自由に音楽を楽しんでもらう。
◎「くるみ割り人形」では、音楽に合わせて体を動かしたり、行進曲では実際に行進をしたり、一緒に音楽を楽しみました。子どもたちは演奏家たちへの感謝を伝えているかのように、笑顔で手拍子を送っていました。その場にいた人たちが一体となって、部屋全体が温かい空気に包まれました。

◎子どもたちに質問を投げかけたり、子どもたちが演奏に参加できるようなプログラムを組んだりと、演奏家と子どもたちの双方向のコミュニケーションが積極的にとられていたことが、今回のアウトリーチをより充実した内容にしたのではないでしょうか。コロナ禍でそうした双方向のやりとりが難しい中でも、出来る限りの工夫がたくさん施されていたように感じました。今後のアウトリーチにおいても、演奏家との距離が近いというアウトリーチの特性を生かして、双方向のやりとりが積極的に行われるプログラムが増えるとより良いと思いました。ソーシャルディスタンスを気にせず皆で音楽を楽しむことができるようになる日が待ち遠しいです!

インターン 三好萌子 観察レポートより

プロフィール

TANBRASS (金管五重奏+打楽器)  
2011年12月に結成。認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワークのコミュニティ活動に参加、クラシックの名曲からジャズまで幅広いレパートリーで、小学校などでの公演で好評を得ている。