アドヴェント&クリスマス > 2010.1
子どものためのクリスマスコンサート
本年度の第一生命ホールでのクリスマスコンサートは「アドヴェント弦楽合奏団」によるものでした。この合奏団のメンバーは、音大在学生や卒業生を中心とした20人程の若いメンバー。プログラムによると、今日のコンサートの為に、ベテラン講師陣の指導のもと9日間もの特訓を受けてきたとのこと!このエピソードを見た時に、勝手ながら講師陣が厳しい様子で指導している練習風景を想像してしまい、妙に親しみが湧いてきたのを憶えています。
コンサート開演の合図と共に、街のイルミネーションに負けない、色とりどりの華やかな衣装を纏った演奏者らが舞台に登場。この視覚的にも楽しい演出で、ひょっとしたら演奏が始まる前から早くもクリスマス気分になってしまった方もいらっしゃったのではないでしょうか。演奏は、モーツァルト:ディヴェルティメント変ロ長調 K.137(125b)で軽快にスタートしました。これに続く曲は、そのコンサートのタイトルにふさわしく「パッヘルベル:カノンニ長調」、「J.S.バッハ:エア~管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068より」、「J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ」と、定番とも言えるクリスマス曲がずらり。彼女らは、有名曲を演奏するというプレッシャーにもかかわらず、透明感のある優しい音色で我々を楽しませてくれました。クラシックコンサートの楽しみの1つに、コンサートホールならではの音響を楽しむことがあると思いますが、特にこの3曲は心地良い音圧の響きを醸し出しており、曲を聴くというよりも空間を楽しむという感覚でした。周囲を見渡しお客さんの様子を見ると、ゆったりとした曲に合わせて静かに頷くようにリズムを取っている方が見受けられるなど、全体的にリラックスした様子でした。
続いて、メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第10番ロ短調、ヴォルフ:セレナード ト長調、チャイコフスキー:「フィレンツェの思い出」 ニ短調の3曲が演奏されました。単純な感想ではありますが、「弦楽器はこれほど大きな音が出て、多彩な表現ができるのか!」と感じるくらい、演奏は力強く、生命力に溢れていました。私にとってこの3曲は初めて聴く曲でしたが、アドヴェント弦楽合奏団の生演奏を通して知ることができたのは幸運だったと思います。周囲のお客さん方に目をやると、演奏者達の気迫が伝わってきた為でしょうか?一瞬たりとも気を緩めてなるものかとばかり、舞台一点に集中力を注いでいる様子でした。
コンサート全体を通しての印象は、クリスマスというコンセプトに軸をおきながらも、有名な曲もあればあまり有名でない曲もあり、20人余りの大編成の曲もあれば四重奏もあり、激しい曲もあれば安らぎを感じる曲もありと、バリエーションに富んだ素敵なコンサートだったと思います。クラシック初心者の方もベテランの方も、皆が楽しめたのではないでしょうか
公演に関する情報
子どものためのクリスマスコンサート
日時: 2009年12月23日(水・祝)10:30開演
出演者:松原勝也/鈴木理恵子(ヴァイオリン)、川崎和憲/市坪俊彦(ヴィオラ)、
山崎伸子(チェロ)、 アドヴェント弦楽合奏団
演奏曲:
モーツァルト:ディヴェルティメント変ロ長調K.137(125b)
パッヘルベル:カノン ニ長調
J.S.バッハ:エア~管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068より
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
チャイコフスキー:「フィレンツェの思い出」 ニ短調 op.70 (弦楽合奏版) より第4楽章