12月の第一生命ホールでの公演、第1部はドヴォルザークの弦楽四重奏曲を2つ演奏していただきます。日本でもドヴォルザークは人気ですが、チェコの弦楽四重奏団としては、やはりチェコの作曲家の作品は特別なものと思われますか。アプローチの方法などを教えていただくことは可能でしょうか。
チェコものは、私たちのレパートリーの中でも重要なパートを占めています。チェコは、スメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェク、マルティヌーがあるという点で、非常に幸運な国です。これらの作曲家はあらゆる国で演奏されています。すべての作曲家、中でも特にドヴォルザークはチェコの民族音楽のルーツを探求しました。その美しいメロディー、舞曲におけるバラエティー豊かなリズムは、チェコの民族音楽の典型的な特徴です。私たちはこの国で生まれ、この音楽を歌い、演奏しながら育ちました。ドヴォルザークの音楽へのアプローチはとても簡単です。ただ交響曲「新世界より」の緩徐楽章、あるいは、弦楽四重奏曲「アメリカ」の第2楽章を聴いてみてください。メロディックでハーモニックな美しさが分かることでしょう。あるいは「スラブ舞曲」でもいいですね。チェコの気質や音楽性のリズミカルな豊かさを楽しむことができるでしょう。ドヴォルザークは「フリアント(不規則なリズムによるダンス)」を作品に取り入れた最初の作曲家です。これは弦楽四重奏曲の中にも出てきます。
第2部はロータス・カルテットのヴィオラ奏者、山碕智子さんとのブラームスの弦楽五重奏曲です。プラジャーク・クヮルテットとロータス・カルテットはよく共演されているそうですが、山碕さんとの共演はいかがですか。
智子やロータス・カルテットのメンバーはヨーロッパで学び、ヨーロッパに住んでいるので、非常に自然に演奏しますね。皆すばらしい奏者で、その音楽的アプローチは私たちとまったく変わりません。共演する機会は常に喜びでありうれしいことです。舞台上で私たちの友情をあたためる機会をいただいた第一生命ホールには感謝しています。
プラジャーク・クヮルテットのホームページに、弦楽四重奏曲だけでなく、他の室内楽のレパートリーも掲載なさっているように、室内楽も演奏される機会が多く、このブラームスの弦楽五重奏曲もよく演奏されるのだろうと思います。弦楽四重奏として演奏される時と共演者を迎えて室内楽を演奏される時とで何か違いはありますか。
そんなに大きな違いはありません。友人でもある音楽家を迎えて、ブラームスやモーツァルトといった著名な作曲家が、弦楽四重奏とは異なる編成のために書いた美しい音楽をシェアできるのは、ありがたいことです。唯一の問題は、ぴったり息が合う適切な演奏家といっしょにやること、アンサンブルにとってちょうど良いバランスを見つけること、ですね。
プラジャーク・クヮルテットは40年以上にわたって第一線で活躍する国際的な弦楽四重奏団です。2015年にヤナ・ヴォナシュコーヴァさんが第1ヴァイオリンとして加入されたように、幾度かのメンバーチェンジを経験されつつ、伝統的なチェコの弦楽四重奏団のシンボルであり続けています。長い間この団体の伝統を保っている秘訣というものがあるのでしょうか。
ここ最近、健康上の理由でメンバー交替が2回ありました。そんなこともあります。それが人生ですから。私たちは常にお互いに尊敬の念を抱いています。弦楽四重奏のレパートリーは膨大で、作曲家たちは作品にその私的で親密な感情を注ぎ込んでいるかのようです。常に新しい発見があります。弦楽四重奏は、永遠に愛すべきもの、探究すべきものです。