どのような思いでこのシリーズを考えられたのですか。
第一生命ホールではオープン以来、弦楽四重奏のシリーズで近現代作品をかなり沢山取り上げさせてもらってきました。最近はロマン派を中心に、弦楽四重奏以外の多重奏作品を演奏してきましたが、一度古典派の作曲家に絞ったシリーズを行ってみたいと思っていて、「それではモーツァルトだろう」とすぐに決まりました。モーツァルトはどの作品も素晴らしいし、お客様にも必ず楽しんでいただけるに違いないと思います。 (大友)
サリエリやサンマルティーニの作品は、演奏会や録音では、なかなか取り上げられないように思いますが、プログラムの意図を教えて頂けますか。
モーツァルトと同時代に生き、彼に影響を与えた作曲家として二人を選びました。サリエリは戯曲「アマデウス」で、モーツァルトに嫉妬心を持ち続けた強烈な印象がある方も多いのではないでしょうか。これは物語のための演出であり、根拠はありません。本来の彼は苦労人で教師としても素晴らしく、のちにベートーヴェンなどにも非常に影響を与えた人です。今回取り上げる作品は、素朴で愛らしい旋律を使い、彼が弦楽四重奏を追求する中で様々な挑戦をしていたことがわかります。サンマルティーニは当時ミラノで各地の教会楽長を務めた巨匠。イタリアらしい煌びやかな響きを弦楽で表現する技に、モーツァルトが14歳で出会い、その作風に夢中になったことでモーツァルト初期の「ミラノ四重奏曲」(弦楽四重奏曲第2番~第7番)が生まれたと言われています。(山田)
今回の演奏プログラムの中で、過去に演奏した際のエピソードなどがありましたら、教えて頂けますか。
演奏した際というより演奏する前のエピソードになりますが......今から10年以上前(第2ヴァイオリンが前メンバーの時)にある方のレクチャーコンサートでモーツァルトの弦楽四重奏曲「春」を取り上げることになっていたにもかかわらず、私たちは本番に向けて一生懸命、弦楽四重奏曲「狩」を練習していました。当日会場入りをして出来上がったプログラムを見てみると、そこには当然のように印刷されている「春」という文字が。半狂乱になりながらもそれぞれ自宅から「春」の譜面をファックスしてもらい、不幸中の幸い、過去に演奏したことがあったのでその日のリハーサル時間の全てを「春」に捧げ、なんとかコンサートを終える......というかなりブラックな経験がありますので、大好きです、この曲。
念のため......このようなとんでもない勘違いは、後にも先にもこの一度きり。そろそろ時効かなと思ってお話ししましたが、みなさまどうかご内密にお願いします(笑)(西野)
昨年のクァルテット・プラスに引き続き、ヴィオラの柳瀬省太さんとの共演です。
柳瀬さんとは、何回かご一緒させていただいていますが、モーツァルトの弦楽五重奏曲は初めてです。とても艶やかで深みのあるあたたかい音色を奏でる柳瀬さん、以前のリハーサルでは的確な意見、アイディアをどんどん出してくださり、なるほど!そうすればいいんだ!と、思うことがたくさんあり、また、お茶目でユニークな方なので、笑いも絶えず充実した時間を過ごさせていただきました。今回のモーツァルトもとても楽しみです!(吉田)
療養中だった第1ヴァイオリンの西野ゆかも復帰予定とのこと。こうご期待!