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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

前列左より 佐久間由美子、髙橋知己
後列左より 岡本正之、吉永雅人(敬称略)

オイロス・アンサンブル

音楽のある週末 第20回
オイロス・アンサンブル2014

独奏者、オーケストラ奏者として第一線で活躍するメンバーからなるオイロス・アンサンブル(以下オイロス)の、2年ぶりとなる公演が第一生命ホールで実現します。主宰のクラリネット髙橋知己さん、フルートの佐久間由美子さん、共に創立メンバーでもあるファゴットの岡本正之さん、ホルンの吉永雅人さんにお話を伺いました。

名手14人による「愛と信頼」のアンサンブル

不可能なことはない!信頼で結ばれるアンサンブル

オイロスのメンバーには、ソリストとして活躍する方はもちろん、NHK交響楽団、東京都交響楽団、新日本フィルハーモニー交響、東京フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団の方々が名を連ねます。多忙な皆さんが、「オイロスのためなら」とスケジュールを調整して、名手14人が久しぶりに集まります。

岡本 オイロスで演奏して、音楽的に世界がぐんと広がったような気がしますね。「できない」とは言わせてもらえない雰囲気があり、とにかく可能性を追求する。

髙橋 最初に「これ以上速くできない」「これ以上小さく吹けない」などの技術的な事で限界を定めるのをやめました。

佐久間 普通は、管楽器のアンサンブルでは、楽器のコントロールの差がかなりあるので、これ以上小さくできない、これ以上速いと吹けない、ということが起こり得る。でもオイロスでは全部禁句。

吉永 音楽を第一に考えるので、例えば、ホルンが大変だからといって妥協はしてもらえません。すると不可能なことが可能になる。それがまたオイロスの楽しいところで、お客様にもすごく喜んでいただいているのが分かる。それが僕らもすごくうれしいですね。

髙橋 アンサンブルでは、全員が音程と音の長さと強さを、楽譜どおりに出せば合うのでしょうが、それでは面白みに欠けるところがあるので、僕らは、メロディーを受け持つ人に自由に吹いてもらって伴奏の方はそれにつけるという方法を取っています。それから「毎回同じように吹かないでください」とよく言います。その都度、聴いて合わせるとやはり音楽の幅が広がる。

佐久間 私は、以前はリハーサルで積み上げていたものを本番で披露すると思っていたので、オイロスでは、リハーサルでは何も決めないので最初は驚きました。

吉永 チューニングもしない。それでも合ってしまう。

髙橋 メロディーの人の音程に合わせるようにしている。

佐久間 でも本当に全員でその意志が同じ方向を向いていないと。一歩間違えたら本番で事故になる確率がすごく高いです。一人でも少しでも抵抗があったら成り立たないと思います。

吉永 普通は本番で「ひらめき」があっても、リハーサルでやっていないことはできないのですが、オイロスなら、絶対ついてきてくれるという信頼関係があって安心して吹けます。

佐久間 愛と信頼のオイロスですね。


様々な楽器の編成で楽しめる多彩な音色

プログラムは、トリオから十四重奏まで変幻自在です。

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佐久間 オーボエ3人のトリオに始まって、六、七、八重奏と、編成はひとりずつ増えていくだけなのですが、楽器の構成が全く違うので、曲によって響きが変わることを意識しています。

髙橋 次のカステル=ブラーズ作曲の六重奏曲は、僕がドイツにいた時代によく演奏していたものです。軽やかできれいないい曲なので、日本でも発表してみようと。無名だけどおもしろいという曲はあまりないのですが、これはとても聴きやすい。吹きやすくはないですけどね。

岡本 クラリネット2本、ホルン2本、ファゴットが2本という編成。モーツァルトのオペラの中にも、この6本のアンサンブルの場面がよくあります。牧歌的な、よく溶け合う組み合わせです。

佐久間 フルートとオーボエが入っての七重奏は、激しく、熱く、ここまでやっちゃいますか、というオイロスの聞かせどころです。八重奏はフロンメル作曲の管楽組曲。オイロスにとってはじめての曲。創る楽しみがあります。

吉永 クリエイティブに、何もない状態から入るというのも、すごくうれしいことですよ。

佐久間 ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、髙橋さんが、藤森さんのためにオイロス用にアレンジしました。

髙橋 藤森さんは弦楽器ですが、我々とすごく溶け合う。

岡本 前回は第2楽章を演奏しましたが、もともと木管楽器とチェロの掛け合いがあり、有名なホルン三重奏があり、まるでオイロスのために書かれたような音楽です。

岡本 藤森さん、うれしそうに弾いていましたよね。

佐久間 オーケストラでやると、管楽器とは距離があるので合いにくいところが、オイロスだとすごく近くなので、妙に合ってしまうことにびっくりしていました。

佐久間 休憩をはさんで、後半はメンデルスゾーン作曲の交響曲「スコットランド」からと、ブラームス作曲ハイドンの主題による変奏曲。どちらも髙橋さんのアレンジです。

髙橋 メンバーの顔と音を思い浮かべて編曲したオイロスのレパートリーです。
例えばオーボエでは、池田さんから古部さんに渡って、それが広田さんに行くというのを、頭の中で想定して書きました。吉永さんのパートも「いやがるかなあ......」と思いながら。

吉永 本当に「分かってくださっている」と愛を感じるところと、「こんなのできるか!」(笑)、というところと。ブラームスに関して言うと、愛のみですよね。もとのオーケストラの曲ももちろんすごく大好きですが、もっと好きになっちゃう。

佐久間 プログラムに入りきらなかった名曲がたくさんありますので、アンコールにもご期待ください。


そんな方が愛と信頼で集まるオイロス。最後にメッセージを。

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佐久間 音楽祭でもなければ、一つの本番で、なかなかこの楽器の編成、顔ぶれが揃うことはないでしょうね。さらに、そんなに何回も公演ができるわけではないので貴重な機会です。

髙橋 それを一緒にできる喜びがある。

吉永 何より自分が楽しんじゃうと思いますね(笑)。

岡本 で、こちらの楽しさも、またお客様に絶対に伝わると思います。


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この顔ぶれで、この楽器の編成がそろうのは貴重な機会(なにしろ、メンバーは都内5つのオーケストラにまたがる)! なにより、演奏するメンバー自身が「この中で演奏できるのが楽しみ」という究極のアンサンブルをお楽しみください。

[聞き手/文 田中玲子]

それぞれのメンバー紹介をしていただきました。
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