2年に1度、兵庫県養父(やぶ)市で開催される「ビバホールチェロコンクール」の第10回優勝者であり、第一生命ホールで受賞記念リサイタルを開催するチェロの矢口里菜子さんにお話をうかがいました。
「ビバホールチェロコンクール」に初めて参加されたのは16歳の時だったそうですが、チェロは何歳から始めたのですか?
チェロとの出会いはあまり記憶がないのですが、娘が音感と手だけは優れていることに気づいた両親が、知り合いから小さなチェロを借りてきてはじめたのが私が5歳の時だったそうです。チェロはスッと心に入ってくる音色で、自然に豊かに「歌う」ことができます。技術があれば多彩な音色を出す事ができますし、音域も広いので表現の可能性がとても豊かで好きです。
「ビバホールチェロコンクール」はとてもアットホームだそうですね
私は、但馬楽座という宿泊施設に1人で宿泊していたのですが、本選の前日だったかお部屋に帰ると、たしか「幸福の鳥」(だったかな?)という名前のお菓子が置かれていて、それを見つけたときには涙がでるほどうれしかったです。私がコンクールの参加者なのをご存知だった従業員の方が置いていってくださったのかなと思いました。そのお菓子は当日会場に持っていって演奏前にいただきました。コンクールというと冷たくて嫌な緊張感に満ちている感じなのですが、ビバホールチェロコンクールでは常にどこかに笑顔があり和やかな空気が流れていました。
今回のリサイタルの聴きどころは?
プロコフィエフのチェロ・ソナタを絶対に入れたいと以前から思っていました。バレエの「ロミオとジュリエット」の音楽がとても好きになってからこの曲にも同じようにとても惹かれました。この曲を軸にバランスを考えながら取り組みたい曲の中から選んでいきました。ペンデレツキのディヴェルティメントも、とても興味深い作品です。どうぞお楽しみください。
[聞き手/文 櫻井あゆみ]