今回で2回目の「オペラの楽しみ」は、ヴェルディ・イヤーの今年、イタリア・オペラの名曲をお届け。名作アリアでつなぐドラマ仕立ての演奏会で、4人の歌手が物語の役になりきり、「月9ドラマ」顔負けの恋模様を描きます。台本を書いて出演もするのは、藤原歌劇団を中心に多くのオペラ公演に出演しているメゾ・ソプラノの牧野真由美さん。どのようにストーリーが展開するのかうかがってみました。
謎の占い師と若い男女が織りなすオリジナル恋愛ドラマ
どんなドラマになるのでしょう。
今回の登場人物の一人、的場公一郎(マトバコウイチロウ)はイケメンのテノール歌手。その公一郎に恋する椿愛菜(ツバキアイナ)は、旅行会社に勤務しています。愛菜と同僚の肥後礼人(ヒゴレイト)が仕事で、さらに占い師の漆原利香子(ウルシバラリカコ)が客として同乗し、船内でリサイタルをする公一郎と共に地中海クルーズの旅に出ます。実は礼人は愛菜に思いを寄せており、地中海をめぐる船の上で三角関係のドラマが展開するのです。公一郎役はずばりテノール歌手の所谷直生さん、OLの椿愛菜は可憐な役がぴったりの高橋薫子さん、礼人は愛菜のそばにいて見守っている役回りで清水良一さんが務めます。私は謎の占い師、利香子役。私自身、藤原歌劇団のヴェルディ《仮面舞踏会》公演に占い師ウルリカ役で出演したばかりです。
構想から台本書きまでお一人でなさったとか。役名は牧野さんオリジナルですね。
登場人物の名前は、ヴェルディの名作オペラの役名やタイトルをもじっています。色男で女たらしのマントヴァ公が登場するヴェルディの《リゴレット》から公一郎が歌う曲を取り上げたりして...ほら、おわかりですよね! ?ヴェルディのオペラは多くが悲劇ですが、今回の物語はハートフルなハッピーエンドになるかも。とはいえ、結末はどうなるのか、まだ秘密です。
ヴェルディ作の名曲オペラ・アリア
「女心の歌」や「乾杯の歌」とともに
時代が変わっても、男女の恋愛感情は共通ですね。
そのとおりです。公一郎の十八番(おはこ)は《リゴレット》の「女心の歌」。「慕わしき人の名は」と愛菜が歌えば、利香子は《仮面舞踏会》でウルリカのアリア「地獄の王よ」を歌い、《イル・トロバトーレ》から「彼女の微笑みのきらめきは」と礼人が歌います。そして、4人いっしょに《椿姫》から「乾杯の歌」。こうして各歌手の持ち味を活かした選曲をしました。
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「月9ドラマ」顔負けの恋模様が4人の歌手によって繰り広げられます。さて、この恋の行方やいかに!? それを見届けるためにも、ぜひ会場に足を運んでください。
[聞き手/文 石田麻子]