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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

アウトリーチ

基本情報

日時 中央区立月島第二小学校
 2025年3月7日(金)/3月10日(月)
 11:30~12:15/13:35~14:20
出演 田村 緑(ピアノ)
概要 対象者:4年生118名

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)│独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】

♪木下牧子編曲:キラキラ星
♪ホルスト作曲 : 「木星/ジュピター」(組曲「惑星」第4番)
♪― ピアノの ひ・み・つ ―
♪平吉毅州作曲/東龍男作詞:気球にのってどこまでも
♪「エルガー体操」 使用曲/エルガー:「威風堂々」第1番 振付・構成/田村緑


【レポート】

 今回行われたのは、ピアニスト田村緑さんによるアウトリーチコンサート。このコンサートは、ただ演奏を座って聴くだけでなく、普段とは違う場所で聴いたり、自ら歌ったり身体を動かしたりする場面もあり、小学4年生の好奇心を刺激する要素が沢山詰まっていました。

 1曲目に演奏されたのは「キラキラ星」。ここで印象的だったのが、田村さんがあえて演奏前に曲名を明かさなかったこと。子どもたちは、演奏を聴くことで初めて誰もが知るあのメロディが含まれていることを知ります。演奏後には、この音楽の起源などについての説明もありました。日本ではなく海外発祥であったことに驚いていた児童も多かったように見えました。●P3070063トリミング済み.jpg 2曲目に演奏されたのは組曲「惑星」第4曲「木星/ジュピター」。ここでは演奏前に解説が行われました。この曲の原題は、Jupiter, the Bringer of Jollity「木星、快楽をもたらすもの」。 "Bringer"「もたらすもの」は「惑星」の他のいくつかの曲にも採用されている言葉で、なかなか小学4年生には馴染みがないものですが、田村さんは巧みに説明、多くの子どもたちが納得していました。

 次に行われたのが、「ピアノのひ・み・つ」について。ピアノに使われている部品の数や素材などに関して、クイズを交えながら「ピアノ博士」になるコーナーが行われました。その後は、月島第二小学校の校歌の演奏が行われる中で鍵盤の模型に触れたり、ピアノの響板の下で響きを聴いたりしました。子どもたちは普段はなかなかできないような体験を非常に楽しんでいる様子でした。●P3070067.jpg その次に行われたのは、子どもたちが歌で加わった「気球にのってどこまでも」の合唱。音楽の授業で練習していた曲だということですが、普段はいないメンバーも加わり(本レポート著者である私も加わらせていただきました)で、1つの音楽をつくることをみんなで楽しみました。

 最後に行ったのは、エルガーの名曲「威風堂々」の演奏に合わせて行う「エルガー体操」。田村さん考案の振付で、子どもたちは音楽に合わせて自ら身体を動かすことを楽しんでいる様子でした。曲の最後は、各クラスごとに決めたポーズをみんなで行いました。
 子どもたちの教室からの退場に際しての「お見送りの音楽」は、モーツァルトの「トルコ行進曲」やファジル・サイ「トルコ行進曲ジャズ」、最後の最後まで音楽づくめの45分間でした。●P3070014.jpg このコンサートには元々音楽が好きな子もいれば、そうではなかった子もいたと思いますが、色々なアプローチで行われる多彩なプログラムを皆さん終始楽しんでいる様子でした。音楽やピアノに関して、今までにはなかった発見や気づきを沢山得られたのではないかと思います。今回の機会が子どもたちの音楽への更なる興味・関心に繋がることを願うばかりです。

(2024年度インターン 山本悠生 観察レポートより)


【子どもたちのアンケートより】

●ピアノ1台だけで、あんなに心が動かせられる、心がおどる演奏ができることを初めて知って、とても良かったです。
●「キラキラ星」ではアレンジを加えて、タイトルの通り星がキラキラ光るようでした。「木星」では、ピアノの音だけで大きな「木星」を作っていて、あこがれました。
●特にびっくりしたのは響板でした。触った時、響板がぶるぶるしていて、しっかり響いていたことが分かりました。今までは音楽はつまらないと思っていたけれど、コンサートのピアノの音、そして音楽にあった衝撃で、とても興味を持つことができました。
●「エルガー体操」ではリズムにのって体操するのが面白かったです。
●色々な曲が聞けて楽しかったし、英語と体操で体育も少しできて、一石三鳥だと思いました!!
●私も田村緑さんのように、みんなを夢中にさせられるようになりたいです。
●田村緑さんの音楽をもっと聞いてみたいと思った。なぜなら田村緑さんの音楽の優しさを感じたから。

プロフィール

田村緑(たむら みどり/ピアノ)   
躍動感に満ち、情感溢れる演奏スタイルと、在英経験を活かした独創的プログラムが注目され、全国各地で演奏活動を展開中。普及の分野では先駆者的存在。聴き手が音楽を楽しめる体験とするために様々な手法を生み出すピアニストとして貴重な存在である。地域と共にある新しい企画開発、地域に貢献できる演奏家育成など、活動は多岐に渡る。英国ギルドホール音楽院卒業、ロンドン大学シティ校にて修士課程修了。母校にてフェローを務める。ICベートーヴェン・ピアノコンクール第1位。2016-2018いわき芸術文化交流館・おでかけアリオス・アソシエイト・アーティスト。(一財)地域創造・公共ホール音楽活性化支援事業登録アーティスト。CD「魅惑のピアノ名曲集」「展覧会の絵」「デュオ・ナチュレル」「ピアノ・ツィルクス~5台ピアノの世界」他。NPO法人トリトン・アーツ・ネットワークとは、第一生命ホールや中央区内で、数々のプロジェクト(アウトリーチやホール公演)に長年携わる。ここ月島第二小学校には10度目の訪問。
田村緑公式サイト https://www.tmzm.net
田村緑公式Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/@midoritamurapianochannel6778
©Shigeto Imura