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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2024年9月20日(金)
出演 金子三勇士(ピアノ)
概要 4年生2クラス 45分間(1クラスずつ)
人数:50名

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)│独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】
♪バルトーク:《ミクロコスモス》より「オスティナート」
♪ショパン:英雄ポロネーズ
♪リスト:愛の夢
♪リスト:ハンガリー狂詩曲第2番より


【レポート】
 子どもたちの拍手に迎えられステージに登場した金子三勇士さん。一礼をすると、そのまま演奏が始まります。登場後、すぐに開始された勢いのある曲『バルトーク:《ミクロコスモス》より「オスティナート」』に、それまでは少しざわついていた雰囲気も一気に落着き、集中して聴き入る様子が見られました。
 一曲目の演奏後、金子三勇士さん自身の自己紹介がクイズ形式で行われました。1クラス25名程の少人数でのコンサートであったため、それぞれがクイズに対し自由に発言でき、ピアノの演奏中は真面目な顔をしていた子どもたちにも笑顔が見られました。また、世界地図を用いてのクイズなど、金子さんの巧みな話に非常に興味をひかれているようでした。このクイズを通して、見慣れない燕尾服姿の演奏者に対する緊張感も和らいだ様子でした。aIMG_2918★.jpg つづいては、全体を3つのグループに分け、『ショパン:英雄ポロネーズ』の演奏中、それぞれ数分ずつ、ステージ上の演奏者とグランドピアノをどこから見ても、聴いてもよいというコーナー。金子さんの「ピアノの下の入って聴いてもらってもいいですよ」という言葉への子どもたちの反応がとても良く、自分のグループの番が回ってくると、多くの子どもたちが我先にとピアノの下のもぐりこみ、目をキラキラさせながら普段は経験できないピアノとのふれあいを楽しんでいました。aIMG_2922★.jpg 三曲目は『リスト:愛の夢』。これまでとは一転、しっとりとした曲目でした。演奏前に、どういった時に聴きたい曲か、またコンサートの際、どうして様々な曲調の曲を演奏するのか等、説明くださいました。クラシックになじみのない子にとっては、わかりやすく動きのある曲に比べ、しっとりとした曲を集中して聴くというのは、まだ難しいところもあるかと思われましたが、演奏前の話により、「寝る前に聴きたいような曲」といったイメージをそれぞれが持てたことにより、最後まで曲をしっかり聴けていたように思いました。
 最後の曲の前に、金子さんが「ピアニストになりたい」という夢をどのように叶えたか、ご自身のこれまでの歩みとともにお話しくださいました。「あきらめなければ、夢は叶う」というメッセージを直接目の前の方から聞くということは、多感な年齢の子どもたちにとって心に残る経験だったのではないかと思いました。aIMG_2939★.jpg 最後は、『リスト:ハンガリー狂詩曲第2番』より。トムとジェリーの映像を通して聴いたこともある子どもたちもいたようですが、勢いのある曲目に対してだけではなく、演奏者の右に左に激しく動く演奏の様子にも息をのむ様子が見られました。
 ピアノの音の振動だけではなく、演奏者がペダルを踏み込む振動など、生で演奏を聴かなければ体験できないことを、ピアノを習っている子たちだけではなく、これまでピアノとは縁がなかった子どもたちも経験できたこのピアノコンサートは、とても貴重な経験、思い出となったのではないかと思います。

(トリトンアーツサポーター I.C 観察レポートより)


【子どもたちのアンケートより】
●ピアノを弾いている時の指の動きがとても速くてびっくりしました。ピアノの下にもぐったら、下の方が音が大きかったです。そしてとても迫力がありました。 
●もっと音楽が好きになって、もっと音楽とふれ合いたいと思った。
●YouTubeなどで聞くのがふつうだけど、ピアノの方がいい音色がでていて、もっと聞きたいと思った。
●「英雄ポロネーズ」は少しぼうけんをしている感じですごかったです。
●最初にいきなり弾いたのがびっくりしたけど、その曲が一番はげしくて、私はその曲が一番好きでした。
●私は将来の夢が決まっています。私もその夢に向かってがんばりたいと、今日の話を聞いてもっと思うようになりました。

プロフィール

金子三勇士(ピアノ)  
1989年日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれ、6歳で単身ハンガリーに渡りバルトーク音楽小学校に入学。2001年からは11歳でハンガリー国立リスト音楽院大学(特別才能育成コース)に入学。2006年に全課程取得とともに帰国、東京音楽大学付属高等学校に編入する。東京音楽大学を首席で卒業、同大学院修了。2008年、バルトーク国際ピアノコンクール優勝の他、数々の国際コンクールで優勝。第22回出光音楽賞他を受賞。これまでにゾルタン・コチシュ、小林研一郎、ジョナサン・ノット他と共演。国外でも広く演奏活動を行っている。NHK-FM「リサイタル・パッシオ」に司会者としてレギュラー出演の他、テレビ、ラジオなど多数のメディアに出演。コロナ禍では、オンラインを活用したさまざまな企画を発信。2021年に日本デビュー10周年を迎え、2022年3月にサントリーホールでソロ・リサイタル「原点×挑戦」を開催。同年、ドイツ・グラモフォンより新譜CD「フロイデ」もリリースした。キシュマロシュ名誉市民。スタインウェイ・アーティスト。
オフィシャルHP http://miyuji.jp/
(C)Seiichi Saito