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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2022年11月14日(月)・11月15日(火) 各日9:50~10:35/10:55~11:40
出演 金子三勇士(ピアノ)
概要 対象者:4年生
人数:115名

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】
♪バルトーク:《ミクロコスモス》より「オスティナート」
♪ショパン:英雄ポロネーズ
♪リスト:愛の夢
♪リスト:ハンガリー狂詩曲第2番より


【レポート】

♪バルトーク:《ミクロコスモス》より「オスティナート」
「ジャーーーン!!」
《オスティナート》冒頭、力強い和音に「ビクッ!」と体を震わせ驚く生徒さんたち。勢いのある演奏に、真剣な眼差しが注がれます。

音楽室が大きな拍手に包まれた後、金子さんから、クイズ形式で自己紹介とピアノの紹介。
「私は、ナニ人でしょう?」
「ピアノは、打楽器・管楽器・弦楽器 どれでしょう?」
ピアノのハンマーの模型(小学校所有のもの)も登場!
クイズを通して、金子さんは日本とハンガリーと、2つの国のルーツを持つこと、ピアノにも打楽器と弦楽器と、2つの側面があることが、語られました。
快いテンポで楽しい語り口に、みんな引き込まれ、時折、笑いも起こります。
クイズ形式にしたことで、子供たちが「遊ぶ」ような感覚で参加していました。

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♪ショパン:英雄ポロネーズ
演奏の前に、クラスをA・B・Cにグループ分け。
まずは、Aグループがピアノの周りに集合したところで、演奏が始まります。
そう…この曲では、自分が好きな所で、例えば鍵盤の近くで指の動きを見たり、ピアノの下にもぐったりしながら、聴いたのです。
(みなさん、ピアノの下にもぐって、聴いたことはありますか?)
途中、金子さんの「チェンジ!」の合図で、AからB、そしてCへと入れ替わりながら、演奏が進みます。
B・Cグループの子どもたちは、今か今かとそわそわし、身を乗り出しながら聴いていました。
曲が終わると、割れんばかりの拍手がおこりました。

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♪リスト:愛の夢
「作曲家が “気持ち” に合わせて、曲を書いているのを、聴き比べて欲しいなと思います」
「みんなで静かな気持ちで聴くと、心地よく感じられます」
そんなアドバイスから始まったのは《愛の夢》。今度は、目を閉じて聴く児童もいて、ひとりひとりが、それぞれ「何か」を感じ取っているようでした。
演奏が終わり、湧き起こったのは、前の2曲とはうって変わって、温かく優しく包み込むような拍手でした。

♪リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番より
ここで、この曲を作った、リストのエピソードが紹介されました。
リストは、周りにいろいろいわれながらも、いつも新しい挑戦を続け、音楽の学校まで創った人。
「夢や希望、目標に向かって、どうか諦めずに進んでください」
「努力をすれば、叶うものです」
ピアニストになる!という目標に向けて6歳でハンガリーに渡った金子さんが、諦めずにピアノの勉強を続け、11歳で入学したのが、そのリストが立ち上げた学校だったのです。金子さんのお話に子どもたちからは「マジで?」「すごい!」など、驚く声があがりました。
力強いメッセージに続き、最後は、金子さんがハンガリーでの生活の中で「勇気づけられた」という、リストの曲《ハンガリー狂詩曲 第2番》で、締めくくられました。
退場する生徒さんからは「すごかったね~!」の声。大人にとっても、大きな力が湧いてくるコンサートでした。

(トリトンアーツサポーター南理絵 観察レポートより)


【子どもたちのアンケートより】

・音楽にあまり興味がなかったのですが、金子さんの演奏を聞いて、音楽にすごく興味を持ちました。家に帰ったら色々な曲を調べてみようと思いました。

・夢をあきらめずに夢をかなえようと思うその心に尊敬しました。ぼくも夢があるのでどんなことがあってもあきらめずにがんばろうと思いました。

・私は今日のコンサートで、音楽がもっと好きになりました。なぜなら音楽は勇気をくれるものもあると知ったからです。

・音だけでも、力強さや、優しさを表現できるのがすごいなと思いました。

・今日コンサートで音楽は聞いている人もピアノをひいている人もその場にいる人が笑顔になれると思いました。ピアノ一台で楽しいリズムだったり悲しいメロディだったりと、色々な表現をしていたので、私も何か演奏する時は、その曲にあった表現ができたらいいなと思いました。もっと音楽のことについて知りたいです。

プロフィール

金子三勇士(ピアノ)  Kaneko Miyuji
1989年日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれる。6歳で単身ハンガリーに渡りバルトーク音楽小学校に入学、2001年からは11歳でハンガリー国立リスト音楽院大学(特別才能育成コース)に入学。2006年に全課程取得とともに帰国、東京音楽大学付属高等学校に編入する。東京音楽大学を首席で卒業、同大学院修了。2008年、バルトーク国際ピアノコンクール優勝の他、数々の国際コンクールで優勝。第22回出光音楽賞他を受賞。これまでにゾルタン・コチシュ、小林研一郎、ジョナサン・ノット他と共演。国外でも広く演奏活動を行っている。近年はライフワークの一環として、アウトリーチ活動も積極的に行っている。NHK-FM「リサイタル・パッシオ」に司会者としてレギュラー出演。2021年は日本デビュー10周年を迎え、2022年3月にサントリーホールでソロ・リサイタルを開催。同年、ドイツ・グラモフォンより新譜CD「フロイデ」もリリースした。キシュマロシュ名誉市民。スタインウェイ・アーティスト。オフィシャルHP http://miyuji.jp/
©Ayako Yamamoto