日時 | 2016年10月26日10:25~11:10/11:15~12:00 |
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出演 | 浜まゆみ(マリンバ) 小林拡史(打楽器) |
概要 |
実施会場:中央区立泰明小学校音楽室 対象者:小学4年生2クラス 人数:合計59名(1組30名/2組29名) 助成等:文化庁「平成28年度劇場・音楽堂等活性化事業」 |
有楽町駅から徒歩で2,3分ほどの距離にある泰明小学校は、周りを近代的なビルに囲まれながらも趣きのある佇まいの学校です。今日はこちらで小学校4年生を対象としたマリンバと打楽器によるコンサートを行いました。
会場となった音楽室には大きなマリンバが運び込まれ、そのほかにもさまざまな形をした打楽器が用意されました。演奏を待つ児童の皆さんの前に、まず、足首に巻きつけるタイプの鈴を身に着けて「カシシ」という小型の打楽器を振る浜まゆみさんと、アフリカ由来の太鼓のような打楽器「ジャンベ」を肩からかけた小林拡史さんがリズムを取りながら登場、音楽の始まりと共に会場の雰囲気がガラッと変わり、異国情緒を感じさせます。プログラムは二人の掛け合いや児童とのやり取り交えながや進行し、45分間ほどで全6曲を演奏しました。
それぞれの曲名は誰もが知っている有名なものとは限りませんが、お二人による演奏前後のお話で曲のテーマや見どころを掴むことができるようになっています。2曲目の『レインダンス』ではその名のとおり、マリンバや打楽器が雨を連想させる音色を奏でます。演奏前に雨の音について浜さんが問いかけたところ、「ザーザー」「ぽつぽつ」「パラパラ」などといった様々な擬音語が返ってきました。「自然の中の音」であることをヒントとして、演奏中に表現される情景を具体的に想像しながら聴いていたところ、演奏後に話し合ってそれらは雨が地面に落ちる音や水滴が葉っぱを叩く音、晴れた時の太陽を表す音だったことなどを発見することができました。
ここで使われたレインスティックという長い筒状の楽器は、中に入っている小さな石やビーズが、内部に張り巡らされた細い棒に当たりながら落ちることで雨の様な音を再現できますが、小林さんご自身が身近な材料を使って手作りされたとの事でした。そのほかにも、ボンゴやウインドチャイム、バードコールといった様々な形状の楽器はそれぞれ独特な音色を持っているので、目まぐるしく変わる音色に合わせて児童の皆さんの視線も音の正体を探すように忙しく動いていました。音色を通した想像力の豊かさには驚かされます。
今回のコンサートでは楽器との距離が近いこともあり、音楽を耳から聴くだけでなく、音を振動として体で感じることができたのも特徴です。マリンバをマレットという専用のバチで叩いた際の振動を全員が体験できるように、一人ずつ楽器のところまで行って鍵盤を触った状態で浜さんが音を鳴らすと、指がふるえる感覚が面白かったようで、席に戻ると早速お互いに感想を言い合っていました。また4曲目の『ガーナイア』演奏中には、小林さんが中近東の打楽器「ダラブッカ」を持ちながら席の間を縫って歩き、音と同時に空気の振動が体験できました。この楽器は表面の丸い面の中央部分を叩くか、周辺部分を叩くかで違った音が出て、さらに楽器の内部の空洞に手を差し込むと音の高さに変化をつけられるので、一つの楽器で自由自在にリズムを刻めることに驚いている様子でした。
また、今回のコンサートの最初に浜さんのお話にあった「コール・アンド・レスポンス」は全体を通して重要なテーマでした。会話が言葉のやり取りであるように、今日演奏された曲では楽器同士の間でリズムをくり返すやり取りが交わされながら進み、それに加えて手拍子や足踏み、肩や膝を叩いてリズムを刻むダンスのような形で全員が一緒に参加して、音楽を体全体で楽しみました。5曲目の『ティコ・ティコ』で覚えて一緒に叩いたリズムは、耳に残りやすく変化のあるリズムなので、繰り返し楽しめそうです。
最初は見慣れない楽器を前にして静かに注意深く演奏を聴いていた児童の皆さんですが、プログラムの進行と共に徐々にリラックスして、中盤にはすでに身体が自然とリズムに乗って動いている様子でした。皆さんの音楽に反応する目の輝きと、打楽器に呼びさまされたようなリズム感を見て、この中から将来の打楽器演奏家が生まれるかも?と楽しみになりました。
(インターン 三浦 はる花)