豊洲幼稚園では年少・年長の園児を対象に「にほんのがっきのコンサート」と題し、20分間のアウトリーチを2クラス(60名弱)ずつ4回実施しました。
まずは宮城道雄「春の海」を、尺八、筝に小鼓が加わった編成で演奏。子どもたちも「あ、どこかで聴いたことがある」と、早速目の前で演奏される邦楽器の音色に惹きつけられています。盧さんによると、この曲は、波の音や鳥の声、舟を漕ぐ音などの情景を音で表しているそうです。
続いて竹井さんによる“笛”の紹介です。「“竹笛”はメロディを吹いたり、お祭りの時に祭囃子として活躍する楽器です」と竹井さんが紹介しながら演奏すると、「月島のお祭りで聴いた!」と教えてくれるお子さんもいました。そして“能管”で背筋が寒くなるような音階を吹くと、こどもたちは「お化け屋敷の音だ!」と共通の感想を持ったようで、まだ4、5歳でも日本で生活していると「お化け屋敷」といえば流れてくる音としてどこかで耳にしているのでしょうか。
次に、幼稚園からリクエストのあった、宇賀神光利「ゆげのあさ」を一緒に歌った後は、盧さんによる大太鼓の紹介です。大太鼓を色々なバチ、色々な打ち方で打つことで、「雨」「波」「風」「雪」など様々な自然の音が表現されることに、皆驚いていました。大太鼓での「雪」の音がアレンジされた、「雪やこんこ」を聴いてもらった後は、盧さんが打つ小鼓に合わせて「たんぽぽ、ぽーすぽぽ」という掛声をかけながら手拍子をする練習をしました。みんなで「一年元気にすごせますように」と唱和した後、小鼓、能管、鈴、竹笛、十七絃による「お正月」の演奏が始まり、園児たちも「たんぽぽ、ぽーすぽぽ」のリズムの手拍子で参加しました。
最後に邦楽器による伴奏で「園歌」をみんなで歌った後は、盧さん作曲の「田楽風囃子組曲」の演奏を聴いてもらいました。ゆったりとした懐かしいようなメロディの後、踊り出したくなるようなリズミカルな部分になると、音楽に合わせて体をゆらしたり、笛を吹く様子を真似してみたり、盧さんの太鼓を打つ超人的なテクニックをまねしてみたり・・・子どもたちは体全体で音楽を受け止め、楽しんでいるようでした。
休憩時間には、「最後の曲が一番よかった」など感想を言いに来てくれたお子さんもいて、わずか20分のアウトリーチでしたが、邦楽器を間近に見て、聴いて、その楽しさをたくさん感じてもらえたアウトリーチだったのではないかと思います。
(トリトンアーツスタッフ)