日時 | 2012年7月2日(月)~4日(水) |
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出演 | 仲道郁代(ピアノ) |
概要 |
実施会場:東京都中央区豊海小学校 対象者:4年生 73名 (2クラス) 助成/後援:中央区文化・国際交流振興協会 平成24年度優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業 |
今回のアウトリーチは、想像力を働かせながら音楽を聴いてもらう1日目、音楽を聴いて子どもたちに絵を描いてもらう2日目があり、さらに3日目にはその絵を元に子どもたちが音楽作りをするという、ワークショップを含む全3日間のプログラムです。
音楽を聴いて身体で表現をしたり、言葉で伝えたりする力、そして2日目以降のグループワークでは、自分のアイディアを相手に伝え、グループで意見をまとめるコミュニケーション能力を養うことを目的としています。
第1日目(鑑賞型)
まずくねくね体操と題して、ドビュッシー作曲<月の光>を用いて音楽に合わせて体を動かし、心身の緊張をほぐします。
そして体がほぐれたら音程を手で表し、音程によって変わる表現を知ってもらってから、シューマン作曲<子供の情景より 見知らぬ国と人々について>を聴いてもらいました。
その後、何枚かの絵を見せて、どの絵のイメージが自分の感じたものに近いか考えながら聴いてもらったり、目を閉じて頭の中に景色を思い浮かべながら聴いてもらったりと、音楽と視覚的イメージを結びつけながら音楽を聴いてもらいました。
目を閉じて聴いたショパン作曲<革命> では、子どもたちから「嵐の中を船が進んでる」「こわい人が出てきた」というような声があがりました。
また、<小犬のワルツ>では、どんな小犬がいい?という仲道さんの問いかけに「大型犬」、「眠そう」、「走ったり歩いたりしている」、「怒っている」といった子どもからのリクエストがでました。それぞれの表現で弾き比べてもらい、子どもたちも満足した様子でした。
この日最後の曲、ベートーヴェン作曲<月光ソナタ>では曲のモチーフである「十字架」「歯車」「神様の歩み」「ゴルゴダの丘」を画用紙で図示しながら聴きました。
子どもたちは、曲の中からモチーフを探し出そうと必死になって聴いていました。
第2日目(体験型①)
2日目ではA-B-Aの三部形式の音楽を聴いて、6つのグループに分かれて3枚の画用紙に絵を描きます。「なんか途中で暗い感じがする」や、「一日の流れみたいなのを感じる」と、グループそれぞれが海の絵や、山の絵などを描きましたが、なかにはムンクの叫びを描いたグループもありました。
第3日目(体験型②)
この日は2日目に描いた3枚の絵を素に、音楽と物語を作ります。
「豊海くん」というキャラクターを3枚の絵の主人公にして物語を作り、教室にある様々な楽器を使って音楽まで作らなければなりません。
早速2日目に絵を描いたグループに分かれます。グループには豊海くんの性格(ルンルン、落ち込んでいる、怒りんぼうな、お腹がすいている、眠そうな、礼儀正しい)が書かれた紙がそれぞれの班に一枚ずつ配られ、豊海くんの性格が決められました。
「礼儀正しいってどう表現したらいいんだろう」と悩むグループもありましたが、絵に描いた雷の音を表現するために太鼓を使ったり、「眠そうな豊海くん」を担当したグループでは、最後に眠ったふりをしてみたり、グループごとにそれぞれの工夫を見ることができました。
悩みながらも、子どもたちは自分たちなりに絵を音で表現することができていたのではないでしょうか。
「こういう楽器、普段授業では触れない!」と、楽器を嬉しそうに鳴らす元気な子どもたちの姿を見ることができました。
レポート:吉本昌史(インターン)
桐朋学園大学1年在学中に第51回日本音楽コンクール第1位を受賞。国内外での受賞を経て1987年ヨーロッパと日本で本格的にデビュー。温かい音色と叙情性、卓越した音楽性が高く評価され、人気、実力ともに日本を代表するピアニストとして注目を集めている。 近年は「ショパン鍵盤のミステリー」企画、「ベートーヴェン~鍵盤の宇宙~」などを行い評価を得ている。また、子どもたちに音楽との幸せな出会いをして欲しいとスタートした「光のこどもたち」など、魅力的な内容とともに豊かな人間性がますます多くのファンを魅了している。レコーディングはソニー・ミュージックジャパンインターナショナルと専属契約を結び多数のCDをリリース。 |