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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

小倉貴久子

昼の音楽さんぽ 第15回
小倉貴久子フォルテピアノ・リサイタル

平日お昼の60分、上質な音楽を気軽に楽しんでいただく「昼の音楽さんぽ」に出演される小倉貴久子さん。
フォルテピアノについて、公演について、メッセージをいただきました。
今回は、1795年製作ヴァルターのレプリカと、1845年に製作されたシュトライヒャー、2台のフォルテピアノを聴き比べ。ぜひご期待ください。

モーツァルトやベートーヴェンの時代を聴く、フォルテピアノの世界
小倉貴久子からのメッセージ

私たちの誰もが知っているピアノ。でもモーツァルトやベートーヴェンの時代は今のピアノとはまったく違うピアノだったということは、意外と知られていません。

ピアノはチェンバロを前身として約300年前に発明されました。正式名称は「フォルテピアノ」、もしくは「ピアノフォルテ」。短縮されて現代では「ピアノ」と呼ばれていますが、もとは「ピアノからフォルテまで出る鍵盤楽器」という意味でつけられました。

モーツァルトやベートーヴェンも幼少期にはチェンバロを弾いていましたが、ウィーンに移住後、ヴァルター製のフォルテピアノを手に入れます。ヴァルターのピアノは作曲家のインスピレーションを刺激して数々の名曲を産み出す原動力となります。鋳型金属製のフレームを持たず、木だけで作られたケースに柔らかい材質の弦を皮巻きの華奢なハンマーで打つので、繊細で優雅、倍音豊かな響きがします。また、はっきりとした音色なので、多彩な表情づけに適していて古典派の音楽を今産まれたかのごとく生き生きと映し出します。

19世紀半ばのウィーンの伝統あるピアノ製作者、 J.B.シュトライヒャーのフォルテピアノは、ロマン派の響きそのものです。香りが立ち上ってくるような余韻をもつ美しい音色は、シューベルトやシューマンの芳香で幻想的な響きを際立たせます。

よく知られた名曲たちを、当時のフォルテピアノでお聴きいただく「昼の音楽さんぽ」。約200年前のウィーンのサロンへとみなさまをご案内いたします。