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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2025年6月17日(火)45分間2回
出演 田村 緑(ピアノ)
概要 対象者:4年生
人数:38名

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業)│独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】

♪フランス民謡(木下牧子編曲) :キラキラ星
♪サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」より
   「序曲とライオンの行進」「めんどりとおんどり」
   「野生のロバ」「白鳥」「かっこう」「終曲」
♪♪ピアノの ひ・み・つ
♪「音楽と絵本」のプレゼント
  使用曲/ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より  構成:田村緑


【レポート】

 演奏が始まる前の音楽室には、どこかそわそわした空気が漂っていました。いつもと違う椅子の配置に加え、演奏家が来るという特別感からか、子どもたちは友達の様子をうかがったり、周囲を見回したりしていました。そんな中、田村さんが演奏を始めると、空気が一変しました。「きらきら星だ!」という声があちこちから上がり、子どもたちは一気に音楽の世界に引き込まれていきました。鍵盤をじっと見つめたり、スクリーンに見入ったり、友達と顔を見合わせながら喜びを分かち合ったりと、多様な反応が生まれていました。曲が終わるころには自然と大きな拍手が起こり、多くの子どもたちが笑顔を浮かべていたのが印象的でした。田村さんはそうした反応を丁寧に拾いながら進行し、音楽を介した穏やかな対話が早い段階で生まれていたように感じました。

 田村さん撮影_使用可①.JPEG「動物の謝肉祭」のコーナーでは、「想像して聴く」という体験が効果的に展開されました。例えば、「序曲とライオンの行進」の場面では、重厚な音のグリッサンドに驚きと喜びが入り混じった表情を見せ、子どもたちは音とイメージを結びつけて楽しんでいるようでした。「白鳥」では、「目を閉じて聴いてみてね」という田村さんの提案に戸惑いながらもわくわくした様子で耳を澄ませる姿が見られ、演奏後には自由な発想によるコメントが自然に飛び出していました。音楽と想像力が響き合う豊かな時間だったと思います。「森の奥のかっこう」では、田村さんの演奏に合わせて子どもたちが「かっこう」と声を発し、共演を楽しんでいました。どの曲も子どもたちが音楽に主体的に関わるきっかけになっていたと感じました。

 続く「ピアノのひ・み・つ」では、ピアノの構造を模型や実演で紹介。響板にオルゴールを当てて音が拡張される様子に、子どもたちは目を輝かせていました。また、田村さんの演奏するピアノの下をくぐる体験では、「音が震えてた!」と声を上げるなど、音を聴くだけでなく体感する場面となり、身体で音楽を味わえる貴重な機会となっていたようです。★IMG_7396トリミング.JPG

 「音楽と絵本」では、田村さんの演奏するドビュッシーの作品と先生の朗読が重なり、視覚・聴覚・言葉を組み合わせた静かなひとときが流れました。物語に耳と心を傾けスクリーンを見入る子どもたちの姿は、とても印象的でした。

 終了後、先生が「感想はまた授業で聞かせてくださいね」と声をかけると、子どもたちは今すぐにでも話したそうな表情を浮かべていました。演奏が終わった後も、1人の子どもが戻ってきて「あのときの曲名ってなんだったの?」と尋ねる場面があり、音楽への関心が持続している様子もうかがえました。

 全体を通して、田村さんのアウトリーチは、子どもたちの感性や想像力に丁寧に寄り添いながら、音楽の楽しさをさまざまな角度から引き出していたように感じました。子どもたちは音を聴くだけでなく、考える・想像する・参加する・感じるといった多様な方法で音楽と出会っていました。こうした体験が日常に静かな余韻を残し、これからの学びや表現の入り口になっていくのではないかと感じます。

(トリトンアーツサポーター 山田千尋 観察レポートより)


【子どもたちのアンケートより】(抜粋)

●音楽は想像の世界がふくらむということに気付いた。
●動物が動いているように聞こえた。
●ピアノを習っているので、田村さんのように私もお母さんとお父さんを感動させて心に残したいです!
●ピアノの音色がとてもきれいで、「序曲とライオンの行進」では、ライオンが本当に近くに来ているようですごかったです。

プロフィール

田村緑(たむら みどり)ピアノ  
躍動感に満ち、情感溢れる演奏スタイルと、在英経験を活かした独創的プログラムが注目され、全国各地で演奏活動を展開中。普及の分野では先駆者的存在。聴き手が音楽を楽しめる体験とするために様々な手法を生み出すピアニストとして貴重な存在である。地域と共にある新しい企画開発、地域に貢献できる演奏家育成など、活動は多岐に渡る。英国ギルドホール音楽院卒業、ロンドン大学シティ校にて修士課程修了。母校にてフェローを務める。ICベートーヴェン・ピアノコンクール第1位。2016-2018いわき芸術文化交流館・おでかけアリオス・アソシエイト・アーティスト。(一財)地域創造・公共ホール音楽活性化支援事業登録アーティスト。CD「魅惑のピアノ名曲集」「展覧会の絵」「デュオ・ナチュレル」「ピアノ・ツィルクス~5台ピアノの世界」他。NPO法人トリトン・アーツ・ネットワークとは、第一生命ホールや中央区内で、数々のプロジェクト(アウトリーチやホール公演)に長年携わる。
田村緑公式サイト https://www.tmzm.net
田村緑公式Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/@midoritamurapianochannel6778
©︎Shigeto Imura