林光・東混 八月のまつり32
報告:井出春夫/会社員/2階L1列46
投稿日:2011.08.9
「黒い歌」は、また機会があれば聞いてみたい曲である。
毎年、気になってはいるが、いざ行こうとすると気が重く、仕事なんかで行けないと残念と思いながらどこかでほっとしている自分がいる。私にとって「林光・東混 八月のまつり」はそんなコンサートである。今年は、夏休み中でまだ休みもあったので行くことにした。
演奏に先だって林光さんの挨拶があり、最初の曲「原爆小景」。とても難しい曲のように思うのだが、さすが東混のみなさん、実に上手く聞かせてくださる。声量もあるし、ハーモニーもきれい。それに何だか今年の演奏は1曲、1曲がすっきりしていてとても聞きやすい。私が以前聞いた演奏からすれば、今年は落ち着いて聞けた。とてもいい合唱を聞けたと思う反面、リアリティが薄い。今までは、曲が始まるとまもなく地獄絵のような光景が目の前に現れ、「もう勘弁してくれ」と思い、ホールから逃げ出したいと何回も思いながら曲を終えていた。私としては、聞くのはつらいけど、今まで聞いた「原爆小景」が好き。いずれにしても、この曲はすごい曲だ。
休憩後、「とこしへの川」ピアノ、合唱にヴァイオリンソロというなかなか面白い組み合せであり、とても素敵な演奏であった。
「日本抒情歌曲集」では、肩の力が抜けて、のびのびとした感じがとてもいいし、ピアノ伴奏もきれいだった。「早春賦」では伴奏にモーツァルトまで登場したり、指揮者の林光さんが、指揮台を降りてピアニストの寺嶋さんの所に行ったり色々動きがあって視覚的にも面白かった。ちなみにここで歌われた曲は「ゴンドラの唄」「早春賦」「死んだ男の残したものは」であった。
「黒い歌」は、また機会があれば聞いてみたい曲である。
そして、アンコールの「星めぐりの歌」(宮沢賢治作曲、林光編曲)は毎年お決まりのアンコール曲であるが、今年は「絶品」といいたくなるほど素晴らしい演奏であった。こんな「星めぐりの歌」は滅多に聞けないのではないかと思いながら家路についた。
公演に関する情報
共催公演 TAN’s Amici Concert
林光・東混 八月のまつり32
日時:8月9日(火)19:00 開演
出演:林光(指揮) 東京混声合唱団(合唱) 山田百子(ヴァイオリン) 寺嶋陸也(ピアノ) 古賀満平(照明)