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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

© JUN TAKUMI

岡本誠司

[速報] 祝・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール第2位!
2016年11月2日(水)昼・夜2公演開催

来週11月2日に第一生命ホールに登場するヴァイオリニスト岡本誠司さんが、ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールにて見事第二位となりました。
ヴィエニャフスキ国際コンクールは5年に1度ポーランドで開催される若手ヴァイオリン奏者の登竜門。
過去にはダヴィッド・オイストラフやザハール・ブロン、現東京藝大学長の澤和樹、神尾真由子、小林美樹といった名ヴァイオリニストが入賞しています。
この機会に、第一生命ホール公演に向けたお話を伺ったインタビューの番外編を、特別におおくりします。
岡本さんがヴァイオリンを始めたきっかけ、譜読みのコツや、ヴァイオリンを練習しているお子さまへのアドヴァイスなど盛りだくさんの内容で、岡本さんの音楽創りの秘訣が少し垣間見えるように思います。

[速報] 祝・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール第2位!
インタビュー番外編

ヴァイオリンを始めたきっかけは?

岡本誠司(以下、岡本):両親共に楽器をやっていたわけではありません。3歳になる少し前に、近所に住んでいた1つ上の女の子がヴァイオリンを始めたのです。一緒に遊んでいる時に彼女がヴァイオリンを弾く真似をするのを見て、「カッコいいな、やりたいな」と思ったのがきっかけです。


曲ではなく、まず楽器に興味を持ったのですね。

岡本:その自慢された事件(笑)では実物の楽器さえ見ていません(笑)。
その後、彼女が通っている教室に通い始め、弾いていくうちに、だんだんと楽しくなっていきました。最初に習ったスズキ・メソードの先生がとても親身に教えてくださったおかげで、「楽しいもの」としてヴァイオリンや音楽がずっと自分の近くにあるので、今まで続けてこられたと思っています。本当にラッキーでした。


ヴァイオリンを習っているお子さまへ一言アドヴァイスをお願いします。練習は好きでしたか?

岡本:練習は・・・好きなわけがない・・・(笑)。外で野球やサッカーをしている方が楽しかったです。「音が違う」と言われたり、難しくて弾けなかったりすることはあまり好きではなかったのですが、ヴァイオリンの音を出すことが楽しかったですし、当時から発表会など人前で弾くことが好きで、毎日練習を続けるためのモチベーションになっていました。


そこがモチベーションとはすごいですね!なかなか珍しいのでは?

岡本:大学の友人とも、飲み会などでたまにそういう話をしますけれど、やはりちょっと変わっているのかなと(笑)。
お客様に聴いていただけることは本当に一番幸せなことだと思います。聴いて下さる方がいないと、ただ自分で楽しむだけになってしまいますし。そういう思いが、小さな頃からあったのかもしれないですね。
自分がそんなにオープンな人間だとは思いませんが、ヴァイオリンを弾くことで色々なことをお伝え出来ればと思っています。


他の楽器をやりたいと思った事はありませんか?

岡本:小学校に入ってから習い始めた中澤きみ子先生から「ピアノを習っておくと良いのでは」とアドヴァイスいただき、小学校1年生から中学校に入るまでは毎週レッスンに通っていました。
今回、ピアノと共演しますが、ヴァイオリンとピアノ、全ての音が鳴って一つの作品だと思います。自分が鳴らす以外の音がどの様に鳴っているのかということを知る意味で、ピアノが弾ける事は大きいと思います。コンサートで演奏する様には弾けないですけれど(笑)。
特に今回の様に小さな作品が多い場合こそ、ピアノから知っていく方がより良いと思っており、ピアノの譜読みから準備を始めることもあります。
ピアノは友人と連弾をして遊んだりもしていますし、好きです。


質問の意図としては、お子さま達が練習する時のアドヴァイスを・・・と思ったのですが、あまりにも凄すぎて(笑)、人前で演奏をするのが好きだったり、ヴァイオリンを弾く時にピアノの譜読みをするとは!

岡本:ピアノの譜読みはもちろん、小さい頃はやっていなかったのですが(笑)。
アドヴァイスさせていただくとすれば、曲の良い所を探して弾くと良いのではないでしょうか。一小節、一音だけでも良いので、本当に好きな箇所が自分の中でひとつでもあると、その曲に対して愛情を持つようになります。
色々と練習していくうちに、「これは何回やっても苦手だな」という曲も出てきますが、「嫌いだな」と思って弾くと、聴いた人も良いと思いませんし、誰も幸せにはなりません。苦手な曲を敵やモンスターだと思って、立ち向かうように接してしまうと楽しくないですし、やりがいも薄くなります。
楽譜は五線譜におたまじゃくしですけど、一人の人間と接するようにしてみるのはいかがでしょうか。苦手な曲でも「ちょっと気難しい人なんだな」くらいに思って、色々と角度を変えながら良い所を探して接していくと、「自分と共通する部分がある人なんだな」と思えてお互いに楽しくなると思います。
幼稚園、小学校、中学校と、「練習しなさい」と言われながらやっていると、曲の良さを見出すのはなかなか難しいかもしれません。練習曲もいっぱい弾かなければなりませんし。
でも、「いずれあの曲をこういう風に弾きたい」と思って、先生やCDのように弾けるようになるためにはトレーニングが必要です。だから、少しの我慢は必要ですけれど、どんな曲にも魅力があるので、そこを見つけていこうと私自身も思っています。


なるほど。とてもよく分かります。楽器を始めたばかりの小さなお子さまにはなかなか難しいかもしれませんが(笑)。

岡本:親御さんの「やりなさい」がきっかけとなって楽器を始める人も多いかもしれませんが、お子さまをその気にさせる楽しい雰囲気をつくることが、周りの大人に出来ることなのかなと思います。そういう「楽しいから好き」を経た人たちが大人になって楽器を弾いたとして、その発想を持っている人と、そうではない人がつくる音楽とでは、聴いた時に感じる幸せ度が違うような気がします。最初の出会いで、クラシックはシリアスで難しいものだと思われてしまうと、遠ざけられてしまう原因にもなりますし。でも難しい音楽にも、そこにしかない面白さがありますし・・・やはり難しい音楽も魅力的ですね(笑)。


コンクール直後、岡本さんの生演奏をいち早く聴ける絶好のチャンス!
11月2日は第一生命ホールへぜひご来場ください!



インタビュー本編はこちら