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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

©藤本史昭

田崎瑞博

クァルテット・ウィークエンド2015-2016
ムズカシイはおもしろい!!
古典四重奏団のスメタナ&ヤナーチェク 2015
古典四重奏団のブラームス2015

 レクチャーつきで弦楽四重奏をもっと楽しく。大好評の古典四重奏団の「ムズカシイはおもしろい!!」、昨年のモーツァルトに引き続き、今年はスメタナとヤナーチェク、そしてブラームスという中欧が産んだ3つの才気を取り上げます。「それぞれの特徴を、聴いていただければ」と、レクチャーも担当する古典四重奏団チェロの田崎瑞博さん。(以下カッコ内は田崎さん談)


スメタナとヤナーチェク

 まず10月4日に取り上げるのは、スメタナとヤナーチェク、2人のチェコの作曲家。それぞれ弦楽四重奏曲2曲、いずれも熱い作品です。
 "ボヘミアとモラヴィアの風"と題したレクチャーでは、実際に弦楽四重奏での演奏を挟みつつ、田崎さんが解説します。「特にヤナーチェクは、特異な部分を取り出して、面白さを解説したいと思います」とのことで期待大です。
151004_1031_QuartettoClassico.jpg 交響詩「モルダウ」でおなじみスメタナはボヘミア人。「民族楽派の旗手で、色濃いロマンティシズムが聴きどころです」
 一方、少し時代を下ったヤナーチェクはモラヴィア出身。
 「第1番『クロイツェル・ソナタ』は暗い情熱と衝動、第2番『内緒の手紙』は明るい憧れと不安」そこから垣間見える作曲家の情念を感じ取れることでしょう。第1番「クロイツェル・ソナタ」は、トルストイ作の、不貞を疑われた妻が夫に殺される同名小説を基に書かれ、第2番「内緒の手紙」は自身の不倫相手への手紙、と内容は昼メロばりにドロドロなのですが......。
 「ヤナーチェクの楽譜に関しては、自筆譜と初版本があり、初演した四重奏団の意見が入った初版本は自筆譜とかなり違うものになっています。私たちは、初版本も見つつ、自筆譜の方を重んじて演奏する予定です。自筆譜の方が音楽のフォルムがはっきり見えておもしろいですから。」


ブラームス

 10月31日はブラームスがテーマ。ひと時代前の巨匠ベートーヴェンを尊敬するあまり、最初の交響曲を発表するまでに、書いては消し書いては破り20年以上かかったというドイツの大家です。「伝統を非常に重んじていますが、その中でどう新しいことができるかを追求した作曲家。枠からはみ出ないけど十分に新しい時代の風を感じて書かれています」
 レクチャーは、"懐古と先鋭  ブラームスのロマンティシズム"と題し、実際に演奏を挟みながらの解説。説明で聴いたばかりの音楽を実際に弦楽四重奏で(しかも生で!)聴けるという贅沢さ。
 「ブラームスの演奏は、時としてセンティメンタリズムに陥りやすいのです。古典派の上にしっかりと立ってそこから新しい世界を見据えることで、ロマンティックとセンティメンタルの違いが明らかになります。」

 ボヘミア生まれのスメタナ、モラヴィア出身のヤナーチェクと同様、ドイツのハンブルクから出たブラームスもまた、国と文化と芸術的使命を背負い、高揚と苦悩の狭間で曲を生み出しました。それぞれが弦楽四重奏曲へ託した真実が、古典四重奏団の手により明らかになることでしょう。