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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

古澤巌

音楽のある週末 第23回
古澤巌『生』ヴァイオリンの夜

第一生命ホールで定期的に音楽を楽しんでいただく「音楽のある週末」シリーズに、ジャンルを軽々と超えた活動を続けるヴァイオリニスト古澤巌が登場。「『生』ヴァイオリンの夜」と銘打った公演を前に、メールでインタビューにお答えいただきました。

ジャンルを超えた活動を続けるヴァイオリニスト古澤巌

シャーンドル・ヴェーグやセルジュ・チェリビダッケ、レナード・バーンスタインなど往年の巨匠の薫陶を受けていらっしゃいます。師事していた際の印象的なエピソードや、それぞれの巨匠の教えから得たものをぜひ教えていただけますか。

3人とも、歴史に残る大音楽家で間違いありません。ヴェーグ、チェリビダッケは、細かく、細かく、相当な偏屈ジジイ。バーンスタインは、完全に、ポップスプレイヤーで、細かくない代わりに、幸せを皆にくれる、エンターテイナーな人でした。自分の音楽の知識としては、ヴェーグ、チェリビダッケの教えを元にしています。が、音楽は、知識でなく、才能でなく、「人そのもの」。それが全てと感じています。

プログラムを決める際に何か大事にしているポイントなどはありますでしょうか。

ピアニストによります。今回のピアノを担当する阿部篤志の場合、本人が、ジャズから様々なポップまでを網羅する作曲家であり、クラシックの小品を、とても大切に扱うピアニストです。例えば、高橋悠治さんとの公演のように、ピアニストが変われば、プログラムが全く変わります。

ジャンルの違うものを一緒にプログラムに入れることは、演奏家によっては難しいと思われることもあると思いますが、古澤さんはいつも自然にいろいろなジャンルの音楽を行き来されているように感じます。どのように可能になるのでしょうか。

仕事を選ばないと、こうなります。人生、経験のないタイプの音楽、経験のない出来事と、いきなり出会うものです。(リバーダンスを取り入れた企画「ダンシングフィドル」でも)「リバーダンス」初来日のさらにずっと前に、一緒に何か出来ないかと聞かれ、ダンスや音楽を研究していました。ラテンも、タンゴも、雅楽も。引き受けてから、行動するタイプです。

ヴァイオリンを習っているお子さんに何かアドヴァイスがあればお願いします。

好きな曲を、自分から選んで弾くと楽しいです。習い続ける方法を、親御さんから質問されますが、それは親の根気だけです。親が諦めたら、終わりです。

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「何か今夢中になっていることは」という質問には、「他のアーティストのステージに、ゲストで呼んでいただく機会が多いのですが。隣の芝生は、羨ましいくらいに、皆、とても素晴らしいステージを制作しています。『もっともっと、楽しいステージが出来ないか?』頭の中は、いつもそのことでいっぱいです。音楽よりも、ヴァイオリンのことよりも、です」という答えが返ってきました。この思いこそが、常に全力投球で聴衆を楽しませるステージの魅力の秘密であるように思えます。室内楽ホールならではの「古澤巌『生』ヴァイオリンの夜」をどうぞお楽しみに。