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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

© Kunihiro Takuma

寺井尚子

630コンサート~充電の90分~
寺井尚子ジャズ・ナイト・スペシャル

世界を舞台に活躍するジャズ・ヴァイオリニスト、寺井尚子さんが第一生命ホールに初登場!
日本を代表するジャズ・ピアニストの佐山雅弘さんとのデュオで、スリリングな演奏を聴かせてくれます。仕事帰りや夕食前に気軽に楽しめる630コンサートですが、今回は90分の拡大バージョン。エネルギッシュな寺井ワールドをたっぷりとお楽しみください。

デュオで繰り広げられるスリリングなジャズ・ワールド!!

第一生命ホールにご登場いただくのは初めてですね。

寺井:これまで、この規模のクラシック専用ホールで演奏する機会がほとんどなかったんです。とても響きが良さそうなので、今から楽しみ。今回はピアノとのデュオなので、その響きの良さがなおさらお互いのプレイに反映されることになると思います。

そのデュオのお相手は、名手、佐山雅弘さんです。

寺井:佐山さんとはずいぶん長いおつきあいになりますが、デュオではじめたのはここ4~5年のこと。東京でのコンサートは今回がはじめてです。

寺井さんにとって佐山さんとはどういうピアニストなのでしょう。

寺井:佐山さんはね...オーケストラなんです。ピアノ1台ですべてを表現できてしまう。私自身、演奏している時はいつも頭の中でオーケストラのサウンドが鳴っているので、そういう意味ではデュオの相手としては最高ですね。あと、私の出した音に対してどう返してくるのか予測がつかないので、すごい緊張感があります。もともとジャズというのは、おなじ曲でもその日の気分やお客さまの雰囲気によって演奏が変わるものですが、このデュオは特にそう。佐山さんが毎回違うアプローチをしてくるので、私のほうも「そう来るなら、これはどう?」と、まさに会話を楽しみながら新しいストーリーを作っていく感じです。そういう「新鮮さ」を保つために、本番前にはほとんどリハーサルはしないんですよ。もう1つ、ヴァイオリンとピアノだけだとリズム・セクション(ベースとドラム)がないのでリズムを表現するのがむずかしいのですが、佐山さんとのデュオに関しては、聞こえないはずのリズムが聞こえてくる。そこから生まれるグルーヴ感も味わっていただきたいですね。

ジャズでは事前に演奏曲目を発表することはあまりないと思いますが、なにか考えているプログラムがあれば。

寺井:昨年アストル・ピアソラのトリビュート・アルバムを出したので、彼の作品は演奏したいと思っています。有名な「リベルタンゴ」とか「鮫」とか。それから「ある愛の詩」や「スマイル」といった映画音楽も取り上げる予定です。あと、スティングの「フラジャイル」は昔からのお気に入りの曲なので、必ず演奏します。

ジャズに限らない、幅広いジャンルからの選曲ですね。

寺井:私は、元の曲がなんのジャンルかにはまったくこだわらないんです。「これはジャズにしやすい」とか、そういう視点では選ばない。どうしてもその曲を演奏したい、その曲でジャズりたいというのがまずあって、それがたまたまタンゴの場合もあれば、スクリーン・テーマのこともある。大切なのは、その曲が私の感覚にぴったりときているか、なんです。

今回のコンサート、どんなふうにお客さまに聴いていただきたいですか。

寺井:今申し上げたように、コンサートではいろいろな曲を演奏しますが、そのスピリットはあくまでもモダン・ジャズ。そこでは、強いメロディーを持った曲を素材に、ジャズの醍醐味である即興演奏を交えながら、ヴァイオリンとピアノで音の会話が繰り広げられていきます。それを聴いたお客さまの反応がエネルギーとなって、さらに演奏が熱を帯びてくる...そういう相乗効果が生まれるといいですね。そして、なによりも大事なのは、居心地がいいこと。むずかしいことは考えずに、音楽を楽しんでいただければと思います。

[聞き手/文 藤本史昭]