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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

© Bram Saeys

アマリリス弦楽四重奏団

クァルテット・ウィークエンド2012-2013
「パオロ・ボルチアーニ賞」国際弦楽四重奏コンクール ファイナリスト
メルボルン国際室内楽コンクール優勝者記念ツアー
アマリリス弦楽四重奏団

 激戦だった昨年のレッジョ・エミリアでの「パオロ・ボルチアーニ賞」国際弦楽四重奏コンクールで最高位(順位なしのファイナリスト)。続くメルボルン国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門で優勝し、見事、大賞に輝いたアマリリス弦楽四重奏団(以下、アマリリスQ)が、クァルテット・ウィークエンドにやってきます。質実剛健なドイツ室内楽の伝統を引き継ぐケルンでのアルバン・ベルク弦楽四重奏団最後の弟子らは、初夏の晴海にどんな大輪の華を咲かせてくれるのでしょう。

自分で咲きたい4つの花弁
  ~アマリリス弦楽四重奏団

あえて弦楽四重奏を選んだ理由

アマリリスという名前はどうして。

サンドゥ(以下、S ):クリスマス前に飾られる花で、花弁が4つありますよね。ひとつのことを4人でやる弦楽四重奏団にピッタリと思ったからです。

みなさんはドイツとスイスのご出身とのことですが、今はどこが本拠地なのですか。

フリーリングハウス(以下、F):ドイツのケルンです。スタジオがあり、そこで練習し、あちこちに演奏に出かけます。

みなさんくらいの力があれば、オーケストラに入ったりすることもできるでしょう。どうしてあえて弦楽四重奏を。

エッケルス(以下、E ):オーケストラに入れば定期的な収入はありますし、生活が安定するのは確かです。でも、私たちは自分で決めたいんです。

S:弦楽四重奏の場合は、なんでも話し合わねばならない。意見が対立することもあるし、かんたんにはいかないことも多い。ですけど、自由でいられる。

F:それに素晴らしい楽譜もたくさんありますし。


演奏者が語る、演奏プログラムの聴きどころ

今回演奏される曲のそれぞれについて聴きどころを教えて下さい。まず「騎士」ですね。

F:ハイドンの音楽は素晴らしく魅力的です。パワーがあって、ドライヴが凄く、楽しい曲ですよ。

ベルクの「抒情組曲」は難曲ですよねぇ。

F:この曲は隅から隅までアルバン・ベルク弦楽四重奏団に習いました。隠されたラブストーリーが音楽で語られるんです。

S:でも、アルバン・ベルク弦楽四重奏団も最初の頃はまだその裏話は知らなかったそうで、途中で事実が判明したそうです。だから、ストーリーがわからなくても大丈夫(笑)。それより、いろいろな興味深い響きがしますよ。特に第3楽章に注目してください。

E:あっちこっちでチョコチョコっておしゃべりしているみたい。そんなサウンドを楽しんでいただければね。

で、ベートーヴェンの第14番です。みなさんはこの曲をメルボルン・コンクールでも本選で演奏し、見事優勝なさったわけですね。

F:どうして盛んに演奏するのかと問われれば、とてもかんたん。好きなだけです(笑)。この曲の演奏とは、45分途切れることのない、信じられないほどの長い旅です。哲学的なものも感じますけど、あくまでも純粋に音楽で世界を旅するみたい。弾くたびに人生が違ったふうに見えるように感じます。もちろん、コンクールとか、コンサートとか、人生のどんな状況にあるかによって、それぞれ違うでしょう。でも私はこの旅が好きなんです。演奏するたびに魅了されます。

[取材/文 渡辺和(音楽ジャーナリスト)]