活動動画 公開中!

トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
Menu

アーティスト・インタビュー

鈴木理恵子(© K. Miura)/北村聡

鈴木理恵子 北村聡

630コンサート~充電の一時間~
鈴木理恵子(ヴァイオリン)  北村聡(バンドネオン)

仕事帰りに「充電の1時間」をお届けする630(シックスサーティー)コンサート。今回は、バロックからピアソラまでをお楽しみいただきます。

タンゴに大事なのは、きれいな音ばかりでなく、そこに汚いというか、少しかすれようが、味があることですが、それもやはり美しい音が出せて初めて味付けもできるのです。(北村)

ヴァイオリンとバンドネオンという組み合わせは珍しいと思いますが、お二人が一緒に演奏するようになったきっかけは?

鈴木:10年ほど前に、クラシックからタンゴまでのプログラミングをさせて頂く機会がありまして、ピアソラをオリジナルの編成でやってみたくてご紹介いただいて共演したのがきっかけでした。後に、北村さんはクラシックにも興味があると聞いて、いろいろな曲をリハーサルしてみて、プログラムを模索しました。
北村:もともとバンドネオンはドイツで宗教音楽を演奏することを想定して、発明され発展した楽器なのです。
鈴木:オルガンの代わりなのですね。今まで度々演奏してきましたヘンデルのヴァイオリン・ソナタは、オルガン的な響きになります。

本当にそうですね。タンゴもできるのに、同じ楽器編成で、音だけ聴いていたら、オルガンかと思うようなクラシックの世界も創ってしまう。

鈴木:プログラムは、バッハやヘンデルといったバロック音楽、そしてピアソラのタンゴ。その間の時代の作品がないので、お互いのソロを入れています。今回はヴァイオリンの無伴奏では、近代フランスのマルティノンによるソナティナを入れました。
北村:バンドネオンのソロは、完全なタンゴの世界。現代バンドネオン奏法を確立したと言われるバンドネオン奏者マフィアの作品を演奏します。

バンドネオンとの出会いは? 

北村:大学生の時、サックスの須川展也さんのコンサートを聴きにいったら、バンドネオンの啼鵬(ていほう)さんが出演していました。四角いのに蛇腹がガバーッと伸びて、ヘンな楽器だなあと思って。サイン会で啼鵬さんに「趣味でできないでしょうか」とお話ししたのが最初でした。

お二人がお互いに魅力を紹介すると

鈴木:バンドネオンでタンゴとバロック、両方を弾くのは実はとても難しいのですが、北村さんはそれに挑戦し続け、幅広いバンドネオンを弾ける人だと思いますし、音楽への向き合い方が誠実だと感じます。
北村:どんなジャンルでもその楽器の一番いい音を出そうとしている人に惹かれます。タンゴに大事なのは、きれいな音ばかりでなく、そこに汚いというか、少しかすれようが、味があることですが、それもやはり美しい音が出せて初めて味付けもできるのです。鈴木さんの楽器の音色の美しさはもうすばらしいですから、共演できるのは本当にうれしいです。

聴きどころは?

北村:バンドネオンは、すごく美しい独特の音の重なりをぜひ聴いていただければ。バンドネオンとヴァイオリンの音は溶け合いますよね。
鈴木: 誰とでもというわけではなく、北村さんのバンドネオンとだからでしょうね。とにかく不思議な音がすると思います。私もバロックとタンゴではかなり奏法を変えますので、色々な音、音楽を楽しんでいただけたらと思います。