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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2020年2月10日(月)
10:40~12:15
出演 田村緑(ピアノ)
概要 実施会場:中央区立泰明小学校
対象者:小学4年生
人数:54名
助成等:文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
    独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【レポート】
この日のアーティストはピアニストの田村緑さん。
4年生2クラスの子どもたちに向けて行われた、90分のアウトリーチの中から一部をご紹介します。

●「きらきら星」
誰もが小さい頃歌っていたこの曲は、実は250年前にフランスで流行っていたヒットソング。曲のルーツを辿りながら、クラシック音楽という言葉も紐解きます。田村さんの演奏も夢見るように素敵で、子どもたちはクラシック音楽をグッと身近に感じたことでしょう。aIMG_5022.jpgのサムネイル画像

●ベートーヴェン作曲「トルコ行進曲」
田村さんは、この曲に潜む面白い効果を救急車に例えて紹介し、子ども達も楽しそうに挑戦。そしてピアノの魔術師と呼ばれていた作曲家ルービンシュタインがこの曲をさらにグレードアップさせたものを聴きました。子どもたちは、リアルに想像しながら聴く事ができただろうと思います。

●「ピアノのひみつ」
田村さんの十八番「ピアノのひみつ」では、楽器の構造について、クイズを織り交ぜながら、面白く紹介。鍵盤の模型を初めて見る子どもたちは興味津々でした。小さなオルゴールを響板の上に乗せて、その音が大きく響いた時には、子ども達だけでなく、先生方も驚いておられました。マイクではない響板の実力を知ることができました。

●ホルスト「ジュピター」
演奏の前に、田村さんは、木星の写真を見せながら、木星の特徴が、どのように曲の成り立ちに結びついているか、お話しました。今回、子ども達は、給食の時間にオーケストラでの演奏を聴いていたのだそうですが、田村さんのエネルギッシュな演奏に、ピアノ1台でも壮大な宇宙を感じることができたのではないでしょうか。

●ピアノの響きを体感するための“ピアノくぐり”
子どもたちは、田村さんが「ブギウギ・エチュード」を弾くピアノの下をくぐりながら、響板を触ってその振動を直に感じながら音のシャワーを全身に浴びました。

●パッヘルベルの「カノン」
田村さんの演奏と共にハンドベルを全員でリレーします。ワクワクドキドキの時間ですが、田村さん、そしてTANのスタッフやサポーターたちの手引きで、みんな少し緊張しながら嬉しそうにベルを鳴らしていました。

●アンコール「威風堂々」
田村さん考案の“エルガー体操”。曲に合わせて全身をのびのびと動かします。最後のところで、頭の上で手拍子しながら、ジャンプすると、子どもたちはこの日一番の笑顔になりました。

aIMG_5027.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像田村さんは、年齢に合わせた内容・選曲で、難しいと感じていたかもしれないクラシック音楽に豊かに触れさせ、理解しやすい会話で子どもたちの心を捉えました。一方的に演奏を聴かせるのではなく、子どもたちを巻き込んで、能動的に関われるように進行されていました。
子どもたちからの感想は、「ピアノの部品一つ一つに工夫があってすごいと思った」「ピアノのひみつや音楽の事について知れて良かった」「弾いてもらった時に、身体から表現していた」など、生の音楽に触れた感動が読み取れました。
彼らは音楽の授業を、今まで以上に興味深く好きになれるかもしれないと思いました。そしてホールへの一歩を踏み出す子も出てくるだろうと思います。どの子も満足した表情をしていて、大成功のアウトリーチでした。

(サポーター 鈴木香代子 観察レポートより)


【子どもたちのアンケートより】

●ぼくは今日コンサートを聴いて、心が炎のように温かくなりました。
●音にひたりながらピアノをききました。僕は小さい頃ピアノを習っていたので、少しなつかしい気持ちになりました。
●歴史のある曲ばかりでおもしろかったです。
●私は、今日コンサートを聞き、改めて、音楽には、命がやどっている。と感じました。
●手がピアノを上を走るようですごかったです。
●たった一つのピアノで、たくさんの楽器を弾いているのと同じような演奏で驚きました。
●ベルを体験した時にみんなで協力してきれいな音を出せたのが印象に残りました。
●ピアノの下をくぐった時、音に包まれているような気がして、心があたたかくなりました。
●もっとコンサートに行きたくなって楽しかったです。また、木星を聴いたら少しねむたくなってきました。それくらい上手ってことでしょうか?僕の夢は世界一の発明家になって、もっとピアノのなぞを知りたいです。

プロフィール

田村緑 (ピアノ)  Tamura Midori, piano
東京都出身。桐朋女子高校音楽科卒業、英国財団の奨学金を受け渡英。英国ギルドホール音楽院ピアノ科首席卒業、ロンドン・シティ大学・大学院音楽部演奏学科修士課程修了。その後、特別研究員としてギルドホール音楽院に勤務。IC・ベートーヴェン・ピアノコンクール第1位受賞。殿堂ウィグモア・ホール・リサイタル、BBCテレビ・ラジオ出演、ヨーロッパや中近東へ演奏活動を行う。帰国後、その躍動感に満ち、情感あふれる演奏スタイルと、在英経験を活かした独創的プログラムが注目され、全国各地でコンサート活動を行う。音楽を楽しめる体験とするために、様々な手法を生み出すピアニストとして貴重な存在であると同時に、アウトリーチの分野では先駆者的存在。地域と共にある新しい企画の開発、地域に貢献できる演奏家の育成など、活動は多岐に渡る。(一財)地域創造・公共ホール音楽活性化事業・協力アーティスト。2016~2018年度 いわき芸術文化交流館アソシエイト・アーティスト。CD「田村緑 魅惑のピアノ名曲集」「展覧会の絵」ほか。
https://www.tmzm.net