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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2019年12月9日(月)
①9:40~10:25
②10:45~11:30
出演 弦楽四重奏[松原勝也/山本有莉(ヴァイオリン)
大森悠貴(ヴィオラ) 福崎茉莉子(チェロ)]
概要 実施会場:京橋築地小学校音楽室
対象者:小学4年生、5年生
人数:79名
助成等:文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
    独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】

♪ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 op.18-4 より 第2楽章
♪バッハ:コラール・パルティータ
『ようこそ、慈しみ深いイエスよ』 BWV768 より抜粋
~一緒に歌おう~
♪京橋築地小学校校歌
♪ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 Op.18-4より 第1楽章


【レポート】

子どもたちは、演奏者が入ってきた途端静かになり、演奏者や楽器に注目していました。

最初に演奏者と楽器の紹介があり、1曲目の前後に第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンの説明を取り入れたので、4つ楽器があるうちのヴァイオリンが2つある意味や音の幅を意識して聴くことができたのではないでしょうか。 aIMG_3573トリミング.jpg

2曲目(バッハ:コラール)では、曲を演奏する前に子どもたちに「ラ」の音を歌ってもらい、そこにクァルテットが音を重ねました。

「皆さんにもハーモニーの一員になってもらいます!」という演奏者の言葉どおり、子どもたちの声にクァルテットの音が徐々に重なり1つのハーモニーが完成し、一体感を感じているようでした。

3曲目は、クァルテットの伴奏で京橋築地小学校の校歌をみんなで歌いました。aIMG_3639.JPG

松原さんの編曲により、最初に聴いた時には誰も気づかないくらい通常のピアノの伴奏とは違う響き方をしていて、馴染みのある曲を弦楽器の響きでという非日常を感じながら、みんなで元気よく歌っていました。

この経験は、毎回学校行事などで校歌を歌うたびに思い出す貴重なものになったのではないでしょうか。

4曲目(ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 第1楽章)では、曲を演奏する前に一部を抜粋して、子どもたちに音楽による「会話」を楽しんでもらいました。aIMG_3659トリミング.jpg

希望者が前に出て、手拍子を使ってそれぞれの楽器と会話してみたり、各楽器同士の演奏を聴いて「どんなお話をしているのか」を考えました。

子どもたちからは「女子対男子」や「爆弾」など様々な意見がありました。

人同士のやり取りもあれば、情景を思い浮かべた子もいて、「音楽1つ取っても感じ方は人それぞれで、どれも正解なんだよ」と演奏者が話したことで、すべてを言葉にはしなくとも、子どもたちもそれぞれの思い思いの受け取り方ができたのではないでしょうか。

手拍子を使っての会話では、演奏者が会話の内容に合わせて子どもたちに近づいたり、物理的な距離を変えることによって、子どもたちも目を輝かせながら、より会話を楽しむことができていました。

そして最後に丸々1曲通して聴いてもらうことで、先ほど出た「会話」を意識しつつ、ハーモニーを始めとした弦楽四重奏の響きを感じることができたと思います。

今回は、各楽器紹介から始まり、ハーモニーの体感、曲の中での会話という面からアプローチしたことによって、普段はクラシック音楽に馴染みのない子どもたちにもいろんな音を楽しんでもらえたと思います。

また、こんな間近で弦楽四重奏が聴けて、主体的に音楽に接することができる機会もなかなかないので、子どもたちにとって良い経験になったのではないでしょうか。

(サポーター 久保田菜未 観察レポートより)

プロフィール

松原勝也 ヴァイオリン  Matsubara Katsuya
東京藝術大学在学中に安宅賞受賞。ティボール・ヴァルガ国際コンクール、クライスラー国際コンクール等で上位入賞。第17回中島健蔵音楽賞、第55回文化庁芸術祭新人賞受賞。89~98年まで新日本フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターを務める。01年よりNPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク/第一生命ホール主催の若い演奏家のための弦楽セミナーをプロデュース。東京藝術大学音楽学部教授。
山本有莉 ヴァイオリン  Yamamoto Yuri
千葉県出身。4歳よりヴァイオリンを始める。武蔵野音楽大学器楽科ヴァイオリン専攻卒業。在学中、福井直秋記念奨学金を受給。第62回東京国際芸術協会新人演奏会に出演。現在はソロ・室内楽をはじめ、アーティストツアー同行など幅広い活動を行うと共に後進の指導にあたっている。ミラベル室内アンサンブルメンバー。イトーヤ音楽教室講師。
大森悠貴 ヴィオラ  Omori Yuki
第 24 回日本クラシック音楽コンクール全国大会入選。第16回20回大阪国際コンクールファイナル入選。第70回東京国際芸術協会新人演奏会に出演。ヴァイオリンを原田幸一郎、神谷美千子、西和田ゆう、加藤二葉の各氏に、ヴィオラをThomas Riebl、Wilfried Strehleの各氏に師事。現在桐朋学園大学音楽研究科修士一年に在学し、ヴィオラを磯村和英氏に師事。
福崎 茉莉子 チェロ  Fukuzaki Mariko
桐朋学園大学音楽学部、同大学研究科卒業。泉の森ジュニアチェロコンクール 高校生以上の部金賞受賞。第66回全日本学生音楽コンクールチェロ部門大学の部2位。09年度桐朋学園大学音楽学部(チェロアンサンブル・サイトウ)奨学金を支給される。12年度ヤマハ音楽支援制度・音楽活動支援対象者。サントリーホール室内楽アカデミー第2期生。イルミナート・フィルオーケストラメンバー。