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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2017年9月11日(月)9:40-10:25/10:45-11:30/11:35-12:20
出演 浜まゆみ(マリンバ)、クリス・フローChristoher Flor(パーカッション)
概要 会場:中央区立佃島小学校 プレイルーム
対象者:小学4年生3クラス
人数:114名
助成等:文化庁「平成29年度劇場・音楽堂等活性化事業」

レポート

【プログラム】

ハチャトゥリアン:レスギンカ

マリンバ・打楽器の紹介、マリンバ鍵盤の振動体験

リムスキー=コルサコフ(編曲M. レス):熊蜂の飛行

シュミット:ガーナイア

ジョプリン:ジ・エンターテイナー(ボディ・パーカッションで参加)

ハチャトゥリアン:剣の舞

【レポート】

◇オープニング(登場)~1曲目『レスギンカ』

 クリスさんによるドラムマーチでスタート。普通に紹介されて出てくるよりも興味をひきつける効果抜群。しかも、児童の席の間を通るというパフォーマンス付きで子どもたちが自然と笑顔になり、これから始まる演奏に期待を高めている様子が感じられた。

 そして、そのまま浜さんとのデュオで1曲目の演奏へ。目の前で繰り広げられるマリンバの世界に圧倒されている感じがした。マレット使いを真似している子も。終わった瞬間、「すごーい!」という感動の拍手!オープニングの素晴らしさが、このアウトリーチの大成功のカギの一つだったと思う。

◇クリスさんの自己紹介~打楽器の紹介~“Call and Response”

 まさか、外国の演奏家が登場するとは思っていなかったのでは?!まずそこがサプライズだった。そして、英語での自己紹介後、実は日本語がペラペラとわかって2度目のサプライズ。

 いろいろな打楽器の紹介では、見たことのない楽器がたくさんあって興味深そうだった。鍵盤楽器のように「ドレミ」の音階はなく3つの音しか出ないのに、クリスさんの手にかかるとサンバのリズムが響いてくる、その魔法に感動していた様子。そして、言葉が通じなくても、音楽で会話ができる“Call and Response”では、子どもたちが楽しそうに手をたたいていたのが印象的だった。音楽でやり取りができるんだと実感できたのでは?

◇マリンバの楽器紹介~音の振動体験

 次は浜さんによるマリンバの紹介。鍵盤の上のピンポン球が鍵盤をマレットで叩くと大きく跳ねたのを見た時本当にびっくりしていた。そして、実際に鍵盤に指を置いて振動を体験すると、「おぉっ!」と大きな声をあげる子、「ふーん」とさりげなく去っていく子など、一人ひとりいろいろな反応が見られたのがおもしろかった。楽器を見る、聴くだけでなく、触れて体感できたのがよかった。浜さんのリードがとても上手で、子どもたちの素直な反応を引き出していてさすがだと思った。

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◇2曲目『熊蜂の飛行』

 2人で1台のマリンバを演奏する、その入れ替わりのパフォーマンスにみんな釘付けだった。曲が終わると、一斉に「おーー!」という歓声と大拍手に包まれた。マリンバはあんな風にも演奏できるんだと、マリンバの魅力をとてもよく伝える選曲だったと思う。耳だけでなく、目でも楽しめた。

◇打楽器の紹介 後編~3曲目『ガーナイア』

 見たことのない楽器<ジャンベ、カシシ、>に子どもたちは興味津々だった。『ガーナイア』の曲中、子どもたちがアフリカの楽器“ジャンベ”を叩かせてもらった時、初めのうちは遠慮がちだったのに、次々と盛り上がっていく様子がおもしろかった。その後、リズムに乗って体を動かしている子も多く見られるようになり、教室が一体化している感じがした。また、打楽器(パーカッション)は、難しいことを考えずに身体でリズムを感じられるので、みんなが楽しめたと思う。

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◇『ジ・エンターティナー』(ボディ・パーカッション)

 今度は自分たちも身体を使って音楽に参加。さらに教室が一体となって全員が全身で音楽を感じられた。ボディ・パーカッションは、すんなりリズムが取れる子もいれば、なかなかできない子もいたが、どの子もみな笑顔でやっていたのが印象的だった。途中、クリスさんのリズムによる“Call & Response”は、簡単そうなのに私はすぐに真似できなかった。子どもたちの方が上手にできていたようだ。

「自分たちも参加して共に音楽を感じよう」、という狙いが子どもたちによく伝わっていたと思う。やはり、アウトリーチでは、こういう参加型の曲があるととても盛り上がると実感した。

◇『剣の舞』

 プロの演奏家の手にかかると、学校にある木琴がまったく別の楽器に変身したように感じた。子どもたちも、「わぁ、すごい!!」と目を輝かせて聴き入っていた。

マリンバだけでなく学校の木琴も使って演奏してくださったことで、子どもたちの木琴に対する見方が変わるのではないかと思う。

(まとめ)

☆子どもたちがいかに楽しんでくれるかを熟考した、素晴らしいプログラム構成だったと思う。

☆3クラス続けては体力的にとても大変だと思うが、それを感じさせず、ずっと笑顔でいるお二人のアウトリーチ活動にかける情熱が感じられた。

サポーター水野美紀子 観察レポートより

プロフィール

浜まゆみ  Hama Mayumi (マリンバ)
桐朋学園大学音楽学部演奏学科打楽器科マリンバ専攻を首席で卒業。同大学研究科修了後、アメリカミシガン大学打楽器科大学院留学。1999年、第2回世界マリンバコンクール第2位。これまでに東京交響楽団との共演、Percussive Arts Society コンベンション(テキサス、米国)“Time for Marimba”にて招聘演奏・パネリストとして出席。The University of California Davis(米国),チアパス州立芸術科学大学(メキシコ)、The University of Michigan(米国), California State University, Fresno(米国), Denison University(米国)にて演奏・マスタークラスを行う。第1回ラテンアメリカマリンバコンクールにて審査委員を務める。国内外で演奏活動を行なう傍らでトークを交えながら幅広い層に親しめるサロンコンサートも行なっている。