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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2016年9月16日(金)
通所者:13:15-13:55
入居者:14:15-14:45
出演 大森智子(ソプラノ) 高江洲 愛(ハープ)
概要

レポート

916日は特別養護老人ホーム「マイホーム新川」でアウトリーチを行いました。こちらは中央区の施設で、居住されている方と通所で利用されている方の両方がいらっしゃいます。今回は一度の訪問でそれぞれ通所者と居住者を対象に計2回の公演を行いました。

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ソプラノ歌手の大森智子さんと、ハープ奏者の高江洲愛さんのお二人による演奏で、日本の歌と西洋の歌が織り交ぜられたプログラム構成となっていました。一昨年にもマイホーム新川でのアウトリーチを行ったことがあり、その際に音楽に馴染みのある観客の方が多かったことを反映して、今回はヨーロッパの歌曲を多めに組み込んだとのことです。

私達が会場の食堂へ到着するとすぐに、公演のために用意された椅子に早速お座りになる姿も見られ、公演を心待ちにされていたことが伺えます。特に、綺麗な衣装をまとった出演者の方と、今回使用した楽器であるハープが登場した際には、皆さん目を細めていらっしゃいました。

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普段なかなか間近で目にすることのないハープは、その持ち運びの方法ひとつをとっても、演奏者でないと知る機会のないことなので、皆さん興味津々の様子でした。演奏者の高江洲さんは、クイズを織り交ぜつつ色々な角度からハープを紹介していました。途中、サウルハープという種類のベルトを肩にかけて演奏する小型のハープを取り出して観客の方たちの間を歩いて回り、移動の自由がきかない方に間近で弦を弾く様子をお見せしたり、実際に指で弾いて音を出してもらったりすることで、ハープの音色が持つ癒しの力を感じて頂けたのではないかと思います。

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曲の背景についての楽しいおしゃべりを交えた公演中は、皆さんとてもリラックスした雰囲気の中で、手を動かしたり、体や頭を音楽に合させて揺らしたり、時には歌を一緒に口ずさんだりと、音楽が流れる空間を思い思いの形で味わっていらっしゃいました。ソプラノの大森さんは、聴いている一人一人と顔を合わせながら、曲の雰囲気に合わせた豊かな表情で語りかけるように歌っていたのが印象的でした。演奏の合間のおしゃべりでは、目の前で繰り広げられる生演奏の音楽と、各自のそれまでの音楽体験や昔の想い出などとのリンクが生まれるように、自然と観客の方を巻き込んでいくのが分かりました。客席から上がる疑問や驚きなどの率直な声も、大森さんや高江洲さんとのやり取りの中で公演の一部となっていました。

演奏後にはアンコールの声が多く聞かれ、目に涙を浮かべていらっしゃる方もいて、喜んでいただけたことがわかりました。短い時間ながらも、マイホーム新川を利用する方々と演奏家の間に音楽を通した交流が生まれ、皆さんに元気をお届けできたとしたら嬉しいです。

(インターン 三浦はる花)

プロフィール

大森智子(ソプラノ)  Omori Tomoko
 昭和音楽大学卒業、特別賞受賞。パリ・エコールノルマル音楽院を審査員全員一致の首席で卒業、審査員特別賞受賞。パリ国立高等音楽院にてさらに研鑚を積む。多数のオペラに出演の他、全国各地でおしゃべりや語りを交えたコンサート活動を行っている。(財)地域創造・公共ホール音楽活性化事業アーティスト。昭和音楽大学講師。藤原歌劇団団員。
公式ブログ「ともこもなこ!」http://blog.goo.ne.jp/doli-lido
高江洲 愛(ハープ)  Takaesu Megumi
 東京都出身。8歳よりハープを始める。昭和音楽大学卒業と同時に優等賞受賞。第78回読売新人演奏会に出演。在学中、ソリストを努め、同大学管弦楽団と共演。2008年大阪国際音楽コンクールにおいてエスポワール賞受賞。現在、主に国内外のオーケストラのエキストラハーピストとして活動する他、ソロや室内楽など多方面においても活動。これまでにハープを山崎祐介、篠崎史子、室内楽を黒田隆の各氏に師事。