2010年に実施して以来5年ぶりとなる「4年生初めてのクラシック」アウトリーチでは、金管五重奏+打楽器グループTANBRASSによる、1クラスずつそれぞれ30人弱の子どもたちを対象とした密度の高いアウトリーチになりました。
まずは出演者入場とともに1曲、歌劇『ウィリアム・テル』序曲より「スイス軍の行進」(ロッシーニ)で、手を伸ばせば楽器に触れてしまいそうな距離で演奏される金管楽器の迫力や、音楽室の床を伝わってくる震動に圧倒された様子です。
もう1曲全員による「プロムナード」(アンダーソン)の演奏の後は、各楽器の音の出る仕組みや歴史を丁寧に紹介しながら、その楽器が活躍する曲を披露。まずは、トランペットのきらびやかな音とともに、金管楽器に共通する「唇を震動させて音が出る」仕組みを知ってもらいました。次に、ホルンが主役の「星に願いを」(L.ハーライン)ではその柔らかく豊かな音色に子どもたちも魅了された様子です。トロンボーンが主役の「ラッサス・トロンボーン」(フィルモア)では、演者が着席している子どもたちの間を演奏しながら移動し、スライドの伸び縮みによる音の変化に大盛り上がりで、音のダイナミズムにも惹きつけられていました。そして、普段メロディパートを演奏することの少ないチューバによる「動物の謝肉祭」より「象」(サン=サーンス)では、その大きな楽器から出てくる重低音に子どもたちも釘づけになっていました。最後に打楽器の紹介では、学校のドラムセットを使い目にも止まらぬ速さのスティックさばきを披露。「キャラバンの到着」(ミシェル・ルグラン)の演奏で、さまざまに移り変わるドラムのリズムとともに曲想が変わっていく様子を楽しんでもらいました。
それぞれの楽器をよく知ってもらった後は、「気球にのってどこまでも」を子どもたちによる合唱でTANBRASSと共演。今まで音楽を一心に受け止めて聴いていた子どもたちが、「今度は自分も!」というかのようにお腹の底から力強く歌っていた姿が印象的でした。
最後に「サッカーの曲だ!」と声が挙がった 「オペラ『アイーダ』より凱旋行進曲」(ヴェルディ)では各楽器の音色に耳を傾け、アンコール「リパブリック讃歌」ではリズムにのりながら全身で音楽を楽しんでもらいました。
4年生のアウトリーチ終了後には、全員がマーチングを行っているという6年生に向けて、歌劇『ウィリアム・テル』序曲より「スイス軍の行進」(ロッシーニ)ほか3曲を披露しました。自分たちも楽器を演奏をしてその難しさを知っている上での鑑賞だったためか、4年生とはまた違った真剣な表情で聴き入っていました。
今回アウトリーチに参加した4年生も、6年生になるとマーチングの授業で楽器を演奏するということで、今日のアウトリーチが音楽や楽器との豊かな出会いの一つとなったことを願いつつ、学校を後にしました。
(トリトンアーツスタッフ)