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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2015年9月11日(金)
1,2歳児(0歳児自由参加):10:00-10:15
3歳児:10:30-10:50
4,5歳児:11:10-11:40
出演 北見春菜/藤田尚子(ヴァイオリン) 福田道子(ヴィオラ) 印田陽介(チェロ)
概要 実施会場:豊洲保育園 ホール
対象者:園児110名+保護者
人数:0歳児:10名 1歳児:14名 2歳児:18名
   3歳児:24名 4歳児:27名 5歳児:27名
   保護者:数名
   計約120名
助成等:文化庁 平成27年度「劇場・音楽堂活性化事業」

レポート

今日は豊洲保育園でアウトリーチ活動が行われました。3回に区切り、1、2歳児、3歳児、4、5歳児を対象として実施しました。子ども達に本物の音を身近に聴いてもらうことを目的として弦楽四重奏をお届けしました。

初回の15分プログラムではまず「弦楽四重奏 第2番 ニ長調より第一楽章」(ボロディン)の演奏があり、その後アーティストの自己紹介、楽器紹介がありました。特に楽器に関しては、ヴァイオリンやヴィオラの形や音色に、目を丸くして楽器を見つめる子どもが多く見られました。チェロの音色には泣き出す子もおり、皆様々に音を感じ取ったようでした。楽器紹介の後、「5つのノヴェレッテ Op.15より第2曲目 オリエンタル」(グラズノフ)が演奏されました。子ども達の中には、楽器の動きに目を走らせる子もいて、1、2歳という年齢だからこそ感じるものがあるのではないかと思いました。

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園児参加の歌「月」では、歌う子どもや演奏者を一心に見つめる子どもがいたり、最後の曲「弦楽四重奏 第39番(第32番)ハ長調Op.33-3 Hob.Ⅲ:39「鳥」より第4楽章」(ハイドン)では、いきいきと目を輝かせる子ども、そして不思議そうな表情を浮かべる子どもなどいました。音楽から感じたことが表情に出るのはこの年齢だからこそなのではと、大変興味深かったです。


2回目の3歳児対象の20分プログラムでも、グラズノフの「5つのノヴェレッテ」の演奏、自己紹介、楽器紹介と続きました。ヴァイオリン紹介の際、園児達は「すごい!」「わぁ」など歓声を上げていました。また、アーティストが、ヴィオラとヴァイオリンの大きさを比較するよう促すと、「あっちの方が大きい。」という受け答えもありました。チェロについては、「ちょっと低い音だよ。」という説明を受け、音色を耳にして「ウーって音。」など興味深そうでした。

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その後、4人での演奏を“カルテット”と呼ぶことを学んでもらい、「プランク・プランク・プランク」(アンダーソン)の演奏でした。弦を弾いて奏でられる音色に笑い声を上げたり、リズムに合わせて踊ったりと、子どもたちがとても楽しんでいる様子がうかがえました。園児参加の歌は「月」「夕焼けこやけ」の2曲でした。皆起立して、大きな声で歌う、踊るなどしており、1、2歳児と比べて、音楽から感じ取ったことを体全体で表現している印象を受けました。最後に初回同様、「弦楽四重奏曲 第39番(第32番)ハ長調」(ハイドン)が演奏され、子ども達は聴きながら体を揺すってリズムを取ったり、足をばたつかせたりと始終笑顔でした。


最後の回は4、5歳児を対象とした30分のプログラムでしたが、印象深かったのは子ども達が感想を言葉で表現していたことです。楽器紹介の際には、ヴァイオリンの音色に「きれい」「すごいねー」、ヴィオラを見て「大きい。」「チェロの方がでっかい!」などとコメントしながら楽しんでいました。チェロには「うるさーい」と耳を塞ぐ子もいました。また、「弦ってどれか分かる?」との問いかけに、「弦は馬の尻尾でできてる!」と答えるなど、知識もあることにこちらが驚きました。

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この回でも3歳児、1、2歳児の回と同じく、「プランク・プランク・プランク」(アンダーソン)、「弦楽四重奏曲 第2番」(ボロディン)が演奏されました。手で楽器を擦ったり、音の強弱がある場面には、「すごい。」など感嘆の声があり、演奏後には「心臓がドキッとする音だった。」「きれいだった。」「手で弾くと沖縄の音みたい。」「(手で弾いて)痛くないの?」といった様々な感想が飛び交いました。アンコールとして「ラデッキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス1世)が演奏され、手拍子をすぐに習得した園児は楽しそうにリズムを取っていました。終わりに、子ども達から「南の島のハメハメハ大王」(伊藤アキラ作詞・森公一作曲)の歌のプレゼントがあり、しっかりとした大きな歌声にアーティストの皆さんもとても嬉しそうでした。

子どもの年齢により音楽に対して違った反応を示すことを知り、これからも様々な方法で音楽から感じたことを表現し続けてほしいなと思いました。(インターン 佃 優希)

プロフィール

北見春菜  第1ヴァイオリン
桐朋学園大学音楽学部卒業、同大学研究生及び桐朋オーケストラ・アカデミー研修課程生修了。小澤征爾音楽塾、サイトウ・キネン・フェスティバル 松本「子どものための音楽会」「青少年のためのオペラ」出演。認定NPO法人 トリトン・アーツ・ネットワーク「2012年度 室内楽アウトリーチセミナー」受講。第一生命ホール「オープンハウス」「ロビーでよちよちコンサート」出演。サントリーホール室内楽アカデミー第1期生、第2期生修了。「オープンハウス~サントリーホールで遊ぼう!」「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」出演。横浜市栄区民文化センターリリス・レジデンス・アーティスト。
藤田尚子  第2ヴァイオリン
霧島国際音楽祭を修了しコンサート出演。2011年武生国際音楽祭出演。2012年ヴィオラスペースにてガース・ノックス氏と室内楽で共演。これまでにジュニアフィル・桐朋学園オケ・8音大オケ・小澤塾オペラプロジェクトなどでコンサートミストレスとして出演。第7回横浜国際音楽コンクール第2位。第16回ブルクハルト国際音楽コンクール最高位。これまでに勅使河原真実・藤原浜雄の各氏に師事。
福田道子  ヴィオラ
国立音楽大学附属音楽高等学校在学中にヴィオラに転科。桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学研究科、桐朋オーケストラ・アカデミー修了。2013-14年、兵庫芸術文化センター管弦楽団レジデントプレイヤー。第30回霧島国際音楽祭にて霧島音楽祭賞受賞。小澤征爾音楽塾、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀などに参加。マルシェ弦楽四重奏団メンバー。
印田陽介  チェロ
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部卒業後、チェコ国立プラハ音楽院に留学、更なる研鑽を積む。蓼科音楽コンクール室内楽部門第1位、ユースプラハ国際音楽コンクール弦楽アンサンブル部門金賞を受賞。Bienen Quartet、「ハリーのしっぽ」メンバー。劇団東京イボンヌ所属。