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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

アウトリーチ
室内楽アウトリーチセミナー
室内楽アウトリーチセミナー

基本情報

日時 1回目 2011年10月29日(土)
2回目 2011年12月15日(木)
3回目 2012年1月21日(土)
出演 松原勝也/竹内弦(ヴァイオリン)、福田道子(ヴィオラ)、伊藤七生(チェロ)
(弦楽四重奏)
概要 中央区立日本橋小学校 4年生 50名(2クラス)
助成・後援:中央区文化・国際交流振興協会
補助:文化庁 優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業

レポート

 「室内楽アウトリーチセミナー」の一環として、ヴァイオリンの松原勝也講師と受講生による弦楽四重奏のアウトリーチを10/29(土)、12/15(木)、1/21(土)の3日間行いました。

受講生達は事前に日本橋小学校へ伺い音楽の先生と打合せをし、4年生の子どもたちを対象に以下の「目的」を設定し3回のアウトリーチを組み立てました。
・音楽を自分なりに楽しむことができるようになってほしい。
・音楽が演奏者によってどのように変化していくか感じてほしい。

演奏曲は現代の子どもの感性により近い音楽をということで、近代の作曲家バルトークの弦楽四重奏曲第3番を取り上げ、15分という長い楽曲のため各回にテーマを設け区切りながら以下の3回の内容で実施しました。

1回目 10/29(土)
<テーマ>
個々の楽器やクァルテットでの役割、様々な奏法を知ってもらう。また、音楽を聴いてどう感じたか自由な意見を聴き、一人一人音楽の感じ方が違うということを理解する。

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子どもたちからは「こわい」「おいかけられているような感じ」「ゲームの音楽みたい」「おばけやしきみたい」という感想が聞かれましたが、音色の美しさや音の強弱、演奏者の真剣な表情に関心を持つ子が多くみられ、「続きを聴いてみたいです」という感想が多かったので、曲自体への興味関心を引き出せたようでした。
<子どもの感想より>
・すごいはくりょくがあって、とてもすごいとおもいました。さいしょはものすごいビックリしたけどあとになるときれいにきこえてきてぼくは、とてもうっとりしました。暗い中にいるような気がして、ぼくは、暗い中でまよっているみたいでした。
・こわい話や、ゲーム、おばけやしき、くらいばめんででてきそうな音楽だった。くらいばめんや明るいばめんがあった。さまざまな音がでていておもしろかった。次はどういう感じの音楽なのかがしりたいです。


2回目 12/15(木)
<テーマ>
1回目は曲を聴いてどのように感じるか抽象的な聴き方をしてもらったので、2回目はメロディと輪唱をテーマに、曲を構成する要素を知ることによって、また違う音楽の聴き方があることを感じてもらう。

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第2回目は曲の中間部分を取り上げ、360°演奏者を囲んでより近くで演奏を聴いてもらいました。「輪唱」についてクイズ形式で質問をしたり、自分の好きな位置に移動して聴いたりとより子どもの主体性にまかせて音楽を聴いてもらいました。
<子どもの感想より>
・おとがとてもキレイでぼくも音楽家になりたい気持ちになりました。みなさんもどのくらいしゅぎょうしたのかききたいです。ぼくはさいしょ音楽室にいくまえへんな気持ちになっていました。だけど音楽をきいたときぼくの気持ちはほっとしました。なんどもききたくなりました。
・前にやった時よりも、すごくはげしく、カッコイイと思いました。チェロの伊藤さんが顔がこわくて、「よっぽどしんけんなんだなぁ」と思いました。と中に流れたあのこわいおんていでわらっちゃいました。でもすごくはげしくて一回よりも二回のほうがよかったです。あのこわい曲がまたききたいです。


3回目 1/21(土)
<テーマ>
4年生のための「1/2成人式」の一環として、コンサート形式で実施をする。各楽器の紹介とソロ演奏、デュオ、トリオなど様々な編成での演奏を聴いてもらいクァルテットで演奏した時との違いを感じてもらう。また、1回目と2回目に学習したバルトークの弦楽四重奏曲第3番を全曲聴いてもらう。

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「1/2成人式」では、子どもたちの1年間の音楽授業の発表会があり、その後コンサートを聴いてもらいました。あらためて各楽器の紹介をし、弦楽四重奏だけでなく様々な編成での曲を取り上げ、最後は15分ほどのバルトーク:弦楽四重奏曲第3番をこれまでの学習を活かして集中して聴くことができた様子でした。
<子どもの感想より>
・おとがどんどんかわっていってよくひけるなぁとおもった。ものがたりのようで、きいているとふんいきがどんどんかわっていき、1人ぼっちのところやパーティをやっているところとかいろいろかわってたのしかったです。ものがたりをつくりたかったくらいすごかったです。
・最初の「ショスタコーヴィッチ」の曲はねむたくなるような曲で、とてもきれいにえんそうできていて「すごい!!」とおもいました。「バルトーク」の曲は音が大きくてびっくりしました。前に聞いた時よりも長かったので、「こんなに長くひけるんだな。すごいな」と思いました。

プロフィール

松原勝也(ヴァイオリン)  
東京藝術大学在学中に安宅賞受賞。クライスラー国際コンクール等で上位入賞。1989年から98年まで新日本フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターを務める。バッハから現代までを俯瞰的視野でとらえた無伴奏リサイタルシリーズ、即興や、ジャズミュージシャンとのコラボレーション、現代作品の初演、ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏など、多彩な演奏活動は極めて高い評価を受けている。2001年~2010年まで第一生命ホールでの~若い演奏家のための弦楽セミナー《アドヴェントセミナー&クリスマスコンサート》~をプロデュース。第17回中島健蔵音楽賞、第55回文化庁芸術祭新人賞受賞。静岡AOIレジデンスクヮルテットメンバー、霧島国際音楽祭講師、東京藝術大学音楽学部教授。
竹内弦(ヴァイオリン)  
1983年香川県生まれ。4歳よりヴァイオリンを始める。東京都立芸術高等学校を経て東京芸術大学を卒業。同大学院音楽研究科修士課程修了。2003~2006年、原村室内楽セミナーに参加、緑の風奨励賞受賞。2006~2007年、シモン・ゴールドベルク・メモリアルセミナーに参加。2007年、アドヴェントセミナー&クリスマスコンサートに参加。
旧奏楽堂・木曜コンサート、芸大ラヴェル・プロジェクト、芸大室内楽定期演奏会などに出演。これまでにヴァイオリンを藤野妙子、服部芳子、原谷百代、岡山潔、松原勝也の各氏に師事。現在、オーケストラ、室内楽、現代音楽と、様々な分野で活動中。
福田道子(ヴィオラ)  
国立音楽大学附属音楽高等学校在学中にヴィオラに転科。桐朋学園大学音楽学部を経て、現在同大学研究科・桐朋オーケストラ・アカデミーに在籍。第30回霧島国際音楽祭にて霧島音楽祭賞受賞。2010年度京都フランスアカデミーにてブルーノ・パスキエ氏のマスタークラスを受講、修了コンサート出演。現音・器楽アトリエ2009、別府アルゲリッチ音楽祭、ヴィオラ・スペース、武生国際音楽祭、小澤征爾音楽塾などに参加。2009年度アドヴェントセミナー受講生。これまでにヴィオラを馬渕昌子、川崎和憲、菅沼準二、店村眞積の各氏に、ヴィオラ・ダ・ガンバを中野哲也氏に師事。
伊藤七生(チェロ)  
9歳よりチェロを始め、堤剛、岩崎洸、音川健二、銅銀久弥の各氏に師事。桐朋女子高校音楽科、桐朋学園大学を経て、桐朋学園大学院大学音楽研究科修了。2008年、若い音楽家のための弦楽セミナー《アドヴェントセミナー&クリスマスコンサート》受講。2009年、秋山和慶指揮・桐朋アカデミー・オーケストラと協奏曲協演。2010年、山手の丘音楽コンクール弦楽器部門入選。霧島国際音楽祭、武生国際音楽祭、ブソッティ・イタリア現代音楽プロジェクト、とやま室内楽フェスティバル・アウトリーチ、ザルツブルク夏季アカデミー、AIMS Festival(スペイン)等にて研鑽を積む。