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オペラ講座~『蝶々夫人』をもっと楽しむ
講座レポート1

2021年2月26日

2月13日に「オペラ講座~『蝶々夫人』をもっと楽しむ」を実施しました。第一生命ホールで3月20日に行う「室内楽ホールdeオペラ~佐藤美枝子のオペラ『蝶々夫人』」の関連企画。講師は、3月の公演の演出を担当する中村敬一さん、音楽監督・ピアノの服部容子さん、そして蝶々夫人を歌うソプラノ佐藤美枝子さんです。

中村敬一さんの講義を中心に、随所で服部容子さんが電子ピアノで実際に音を聞かせてくれ、そしてサプライズで佐藤美枝子さんが2曲アリアを歌ってくださいました。

まさに「これを知ると3月の『蝶々夫人』がますます楽しみになる!」と思わずポンと膝を打ってしまう講座の内容を、中村さんのレジュメに沿ってご紹介したいと思います。

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1.プッチーニってどんな作曲家?

プッチーニと双璧をなすイタリアの作曲家といえばヴェルディ。ヴェルディと、少し後に活躍したプッチーニは、時代が50年も違わないのですが、作品の雰囲気、目指しているものが違います。

(ここで服部さんに、ヴェルディとプッチーニのオペラがどんな音楽なのか、ピアノで即興で弾いていただき、違いを感じることができました)

ヴェルディの音楽が、ブンチャカチャッチャのような伴奏の音楽であるのに比べて、プッチーニの音楽は伴奏ではなく、情景であったり、役者の動きを誘発させたりするもの。ヴェルディが馬車の時代の人であったのに比べ、新しもの好きプッチーニは自動車に乗っている写真が何枚も。ヴェルディの時代はまだラジオのみだったのが、プッチーニは当時出始めた映画を実際に見たりして、物語を追いかけるだけではない、リアリティのある人物の動きや情景の描写を感じて作曲していました。そのため、オーケストラの音楽がただの伴奏ではなく、積極的に情景を表したり、役者の動きを誘発させるものになっています。

2.プッチーニとピッチーナ

ちょうど蝶々夫人を作曲しているころ、自動車事故で重傷を負ってしまったプッチーニ。彼を看病してくれたのは、小柄でつつましいドーリアという少女でした。嫉妬深い妻のエルヴィーラは、不倫関係を妄想していじめ抜き、ついにドーリアは自殺してしまいます。イタリア語ではこの小柄でかわいらしい女の子のことを「ピッチーナ(piccina)」と言い、プッチーニのオペラでは、心がすっと寄り添うように描かれている大事な役柄です(例えば、「トゥーランドット」の奴隷のリューなど、心から人を愛することができる女性)。

(ここで服部さんが「リューの死」を弾いてくださって、胸が締め付けられるような音楽に、これなのねと参加された皆さんも納得)

3.マダム・バタフライの誕生

プッチーニにとってはピッチーナのような役柄がオペラの中で大事な要素なのです。これが蝶々夫人(バタフライ)の中にもちりばめられており、今回、佐藤美枝子さんが初めて蝶々夫人に挑みますが、まさに適役です。

初期の作品では、「ラ・ボエーム」の主人公ミミがピッチーナの代表です。相手役のロドルフォが、「僕の大事なピッチーナちゃん」と呼びかけるところが何度も出てきますが、そのキーワードが出てくると、すばらしいアンサンブルが始まる。まさにプッチーニがピッチーナを望んでいたのですね。王侯貴族ではなく、街に住んでいそうな普通の女の子が登場人物となっているのも特徴です。

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(ここで実際に佐藤美枝子さんがアリア「私の名はミミ」を歌ってくださいました!このピッチーナのキャラクターが蝶々夫人にも隠れているのだなと、佐藤さんの可憐な蝶々夫人に期待が高まります)

レポート2に続く

室内楽ホールdeオペラ

佐藤美枝子のオペラ「蝶々夫人」

■日時:2021年3月20日(土) 14:00開演
■会場:第一生命ホール
■出演

佐藤美枝子(蝶々夫人) 井ノ上了吏(ピンカートン) 
与田朝子(スズキ) 久保田真澄(シャープレス) 
服部容子(音楽監督・ピアノ) 

中村敬一(演出) 山本郁子(語り)

■曲目

プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より(字幕付き)

詳細は こちら

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