活動動画 公開中!

スタッフBLOG トリトン・アーツ・ネットワークの公演活動やコミュニティ活動の最新情報をスタッフがお届けします。

文化教養学園アウトリーチレポート

2015年6月9日
今回は5月19日に江東区の認定こども園「文化教養学園」で実施したアウトリーチの模様をお伝えします。
レポートを書いてくださったのはサポーターの長澤さんです。
- - - - - - - - - - - - - - -
今日(5月19日)は田村緑さんのピアノ、早稲田桜子さんのヴァイオリン、五田詩朗さんの打楽器によるアウトリーチコンサート。子供たちがどのような表情を見せてくれるのかとても楽しみです。

今日のコンサートホールは普段は年少さんの教室だとか。小さな机が自分の保育園時代のものと同じことに気づいたトリトンアーツの宮崎さんがあれこれとその当時のことを思い出して話してくれました。それを聞きながらどんなに小さな時のことでも印象深い経験はずっとずっと記憶に残るのだなと改めて実感。今日のコンサートもそんな思い出深いものになってくれたらうれしいな。

コンサートの前半は0歳から2歳児向けです。園長先生の「ピアノにヴァイオリンにドラム、ワクワクしてきましたね、みなさんちゃんと聞けるかな」という紹介に続いてエルガーの『愛のあいさつ』がスタート。初めての音に驚いて泣きべそになってしまった女の子もいたけれど、みんな驚くほど静かにそして穏やかに音楽を聴いてくれています。自己紹介は山の音楽家のメロディーにのせて。そしてクライスラーの『中国の太鼓』が始まります。ヴァイオリンから面白い音が流れると隣の友達とにっこりしたり、シンバルや鈴といった今までには聞こえてこなかった音には、どこから聞こえるのだろうときょろきょろしたり。
150420_BunkaKyoyoGakuen_report1-thumb-700x280-3009.jpg
曲目はモーツァルトの『トルコ行進曲』。♪ラシドーラシドシラソ♪というメロディーが聞こえたら手拍子を一緒にしてねという約束をして開始。1回目は遠慮がち、2回目はまあまあ、そこからは楽しくなってしまってずっと手拍子が続き、コーダは盛り上がって思わず踊りだす子も。そして詩朗お兄さんによる太鼓の紹介。音とリズムに圧倒されたのかみんな詩朗お兄さんに合わせてお膝を叩くのを忘れて見とれていました。さて、次は部屋を暗くして音楽絵本の始まりです。サポーター斉藤さんの張りのある声によるお話が音楽と合わさって、より一層面白く聞こえてきます。たくさんの拍手をいただいてコンサート終了。「すごく素敵な音楽をありがとう」という言葉とハイタッチをもらってサヨナラしました。


休憩を挟んで3・4・5歳児向けコンサートの始まり。「怒りんぼさんはいないかな、みんな、にこにこのお顔になったね。では手はおひざにして素敵な音楽を聴きましょう。」と園長先生。エルガーの『愛のあいさつ』が始まるとさーっと静かになって音楽に集中。時々伸び上っては何の音なのか確認しながら聞いています。自己紹介は山の音楽家にのせて。≪さしみトリオ≫として3人でテクニックを駆使しての自己紹介が終わると「ヒューヒュー!」の声とともに大拍手。たった一度の自己紹介でみんな名前を覚えてくれて、さしみトリオの由来(さくらこ、しろう、みどりの頭文字を取って)を話すと「えー!!!」と盛り上がりました。楽器を習い始めた年齢の話をすると「私は3歳」「私は4歳」と次々に応えてくれ、「大きくなったらコンサートで一緒に弾こうね」という言葉に「ハーイ」とみんなしっかりとお話についてきてくれています。
さて2曲目、クライスラーの『中国の太鼓』では、桜子さんのテクニックにくぎ付けにされていると、突然のシンバルの音にみんなの背がギュッとのびます。テンポが変わったり音が変わったりするたびに集中力が一段階変わることが後ろから見ていてもよくわかります。曲が終わると「すごーい。とっても上手!!」という声でホールはいっぱいでした。

150420_BunkaKyoyoGakuen_report3.jpg3曲目は緑さんのモーツァルトの『トルコ行進曲』。前半のコンサートと同じ約束をして始めます。1回目は小さく、2回目は大きく、3回目は足踏みも。みんなノリノリの3回目は体操教室のような足踏みの音。みんな協力ありがとう!
次は詩朗さんの太鼓の出番です。「太鼓はバチでたたいて音を出します。一緒にお膝をたたいて真似してください。」と詩朗さんのリズムがだんだん早くなって大きな音になったり小さな音になったりすると、みんなの膝の音と「キャー」という声も大きくなったり小さくなったりしてとっても楽しそう。
4曲目はラヴェルの『ボレロ』。「聞こえないくらいの小さな音から始まって最後は大きくなるよ。」と説明して開始。初めの小さな音のところはお互いに「シー」と口の前に指を立てて静かに聞いています。この繰り返しの曲をどんなふうに聴いてくれるのだろうと思ってみていると、最前列の集中力がだんだん後ろの席に広がってきて、音が膨らむのと一緒に子供たちも盛り上がっていくようで驚きました。
大人な曲の後は音楽絵本。人数がたくさんで後ろのお友達は少し見づらいのではと心配でしたが、何とか見ようという興味の力はすばらしい!みんな最後までじっくりと楽しんでくれました。
最後はモンティの『チャールダーシュ』。桜子さんがみんなの席の間をぬって演奏していきます。思わずのけぞったりもしていましたが、近くで見て聴くヴァイオリンにみんな目がきらきらとしてとても嬉しそうでした。このあと、スミレ組さんが今日のコンサートの御礼として『きらきら星』をヴァイオリンで合奏してくれました。(この幼稚園は4歳になると全員がヴァイオリンの練習を始めるそうです。)みんな弓の動きもあっていてとても上手でした。途中から、桜子さんがピチカートでアレンジを入れたりして、より楽しい演奏になりました。
こんな素敵な演奏にお姉さんたちは『情熱大陸』で熱く応えます。さしみトリオのリズミカルで表情豊かな演奏に思わず体が動いてしまい、演奏が終わると「フー!!ヒョー!!」とため息のような悲鳴のような声。お礼の言葉を終え、「また会えるのを楽しみにしています。(演奏者)」「もう会えないよ(子どもたち)」「忘れないよ(演奏者)」「忘れちゃうよ(子どもたち)」「大きくなってもし会ったら文化教養学園でヴァイオリンを習っていたってお話してくれたら絶対に覚えてるよ!(演奏者)」、こんな言葉を交わしながら舞台を去っていくお姉さんたちを「バイバーイ」とみんなが手を振って見送ってくれました。楽しくパワフルなコンサートでした。
150420_BunkaKyoyoGakuen_report2-thumb-700x280-3013.jpg

コンサート終了後、演奏者の方とお話しました。演奏する時の意識として、音の振動が地面から伝わるように意識しているとのこと。音って空気から伝わると思っていたのでとても驚くとともに、今日のコンサートで子供達が足踏みしながら聞いている時が多かったのは地面からの振動を感じていたからかなと気づきました。また、演奏中はお客さんに何を聞いてほしいかではなく、お客さんが何を聞きたいと思っているのかを感じるようにしているとのこと。これも感覚の方向が逆で新鮮な驚きでした。

(サポーター 長澤)
タグ