演奏旅行へ
幼いモーツァルトの才能に驚いたお父さんのレオポルトは、それを色々な人に知ってもらおうと、同じくピアノが上手だったお姉さんのナンネルも連れてあちこち旅に出ます。最初の旅行に出発したのはモーツァルトがまだ5さいの時。行き先は、住んでいたザルツブルクから馬車で2日ほどのミュンヘン(ドイツ)でした。旅行は成功したようで、次は一家でオーストリア(当時ハプスブルク帝国)の首都ウィーンへ。この旅行中の様子は、レオポルトが大家さんに書いた手紙から分かります。モーツァルト一家はお城で女帝マリア・テレジアに大歓迎されて、「ウェルフェル(ウォルフガング・モーツァルトのあだ名。)は女帝へいかのおひざに飛び乗って、おくびにだきついて、気のすむまでキスをしました」「女帝へいかは、お洋服を2着おおくりくださいました」「1着はむすこのため、1着はむすめ(ナンネル)のためです」と書いてあるのです。
旅先で王さまやたくさんの人々からほめられて大成功をおさめた一家は、次はドイツ、フランス、イギリス、オランダ、スイスと、モーツァルトが7さいから10さいにかけての3年半もの間、また旅をしました。11さいでふたたびウィーンへ、13さいになるとお父さんとイタリアへ。馬車にゆられたり、知らない町に泊まったり、モーツァルトの子ども時代は、旅の中ですごした時間がとても長かったのです。そのおかげで「神童(神さまの子どものように才能があってすばらしい)」という評判はヨーロッパ中に広まりました。モーツァルト自身もいろいろな町でおおくの人と出会い、たくさんのことを学んでさまざまな曲を作曲しています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
幼い頃より、父・レオポルトより音楽教育を受け、5歳で作曲したとみられる作品が残されている。モーツァルト親子は何度もヨーロッパ各地へ旅行し、音楽の勉強もしながら、作曲した作品を上演していた。900曲以上の作品を残し、オペラ「フィガロの結婚」「魔笛」、交響曲「ジュピター」、ピアノ・ソナタ「トルコ行進曲」や、ピアノのための「きらきら星変奏曲」などが有名。
~これから第一生命ホールで聴けるモーツァルト~
◎2025年1月18日(土)14:00開演
トリトン晴れた海のオーケストラ 第16回演奏会 ベートーヴェン・ツィクルスIV
モーツァルト:ディヴェルティメント 第17番 ニ長調 K334
トリトン晴れた海のオーケストラ/矢部達哉(コンサートマスター)
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~モーツァルトのお父さん、レオポルトが作曲した作品が聴けるコンサート~
◎2024年12月7日(土)[1回目] 10:30開演/[2回目] 13:30開演/[3回目] 16:00開演
子どもといっしょにクラシック~クリスマス・オーケストラ・コンサート
L.モーツァルト:おもちゃのシンフォニーより第1楽章、第2楽章
ARCUS(アルクス)(管弦楽)
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※これまでの「手紙から見る『モーツァルトってどんな人?』」 記事はこちら
トリトンアーツ通信vol.234(2024年11月号)の記事を再掲しました