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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

©Agnès Chanut

アキロン・クァルテット

クァルテット・ウィークエンド2017-2018
アキロン・クァルテット

3年に一度フランスで行われる若いクァルテットの登竜門、ボルドー国際弦楽四重奏コンクールで、昨年5月に優勝したのが、パリジェンヌ4人組によるアキロン・クァルテット。優勝記念ツアーの一環で、今年6月さっそく初来日するアキロン・クァルテットにインタビューを行いました。

ボルドー・コンクール優勝ツアー
世界に羽ばたくパリジェンヌ

コンクールに優勝されて、いかがでしたか。

結果が発表された時の反応は、4人の性格によってそれぞれでした。驚き、喜び、そして恐れが入り混じったものでしたね。私たちはただ演奏しただけで、すべてがあっという間だった気がします。コンクールというものは、どんな感情でも過多になるもので、その意味が本当に分かるのは後になってから、ということが多いと思うのです。でも、私たちが一番喜んだのは、優勝者ツアーで、ここ日本に来て演奏できることです。


優勝以来、ツアーなどで忙しく過ごされていると思います。また「プロカルテット」(フランスを拠点とする弦楽四重奏のための協会)の「レジデンシー」にもなりました。これまでどこで演奏されましたか。何か忘れられない思い出はありましたか。プロカルテットのレジデンシーについても教えてください。

ぼんやりする暇もないのは本当です。イタリアで2回、スペインで1回ツアーをしました。ベルギー、オーストリア、そしてもちろんフランスでもそれぞれコンサートがありました。でも優勝ツアーの大多数はまだまだこれからです。すでに決まっていたスケジュールに加え、この優勝によってさらにコンサートが増えました。例えば、ECMA(ヨーロッパ室内楽アカデミー)のおかげで、1月にウィグモアホールで演奏できることになりました。ベルギーのお客さまの寛容さと熱狂に感動し、(イタリアの)トレヴィーゾの劇場の息をのむような美しさと音響はすばらしい想い出になりました。イタリアで受けたあたたかい歓迎には本当に感激しています。
プロカルテット賞を受賞したことで、「プロクァルテット」(フランスを拠点とする弦楽四重奏のための組織)の「レジデンシー」になりました。アドヴァイスをもらえますし、特にマネージメント面での助言は貴重です。リハーサルをする拠点や、コンサートの機会も与えてくれます。クァルテットとして必要なことを提供してくれるのです。わたしたちは、この弦楽四重奏のために努力をおしまない協会の「レジデンシー」となりました。彼らは私たちにアドヴァイスしてくれ、特にマネージメントという点で私たちクァルテットの成長を助けてくれます。私たちにとってまさに必要とする時期に、こうしたすべてが起こったのです。リハーサルをする拠点も提供してくれますし、コンサートの機会も与えてくれます。そして、わたしたちが何か訊きたいと思う時にそこにいてくれるのです。


ルイーズは、2015年に東京国際ヴィオラコンクールに入賞しています。日本についての印象は?

コンクールで日本に来ることができたことは、信じられないくらい豊かな体験だったと、よくそう思います。親切なおもてなし、集中力あるお客さま、日本の習慣、豊富な料理!
コンクールの結果行われた大阪、名古屋、倉敷でのコンサートのおかげで、日本のより伝統的な様々な面を少しだけ見ることができ、そのおかげで日本に戻りたくなっています!


第一生命ホールのプログラム(モーツァルト、デュティユー、ドビュッシー)について教えてください。

私たちはフランスの弦楽四重奏団ですから、ドビュッシーやラヴェルといった作曲家たちの音楽的話法は自然に感じられ、よく理解できます。ですから、ドビュッシーと、同じエッセンスを持つデュティユーを一緒に演奏するのはおもしろいのではないかと思いました。モーツァルトは、その想像力と創造の才から湧き出る、つきることのない魔法です。彼自身は、お互い愛し合っている音を組み合わせる技法がハーモニーというものだ、と言っていました。ドビュッシーとデュティユーはどちらも、特定のハーモニーを探すことで色彩を見つけていった作曲家です。3人の作曲家が生きた時代には隔たりがありますが、こういった関連性で選びました。

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将来の展望を教えてください。

もっと海外で演奏したいと思います。ツアーが大好きという気持ちが大きくなっていますし、ツアーによって、プロフェッショナルな面でも、個人的にも、多くのものを得られるのは明らかです。それからアルバムのリリースをする予定ですし、おそらく2018年にはフィルハーモニー・ド・パリで2つ公演があります。そしてもちろん私たちがこれからもずっと取り組んでいきたいことは、無限に豊かで広大な弦楽四重奏のレパートリーを深く探究し続けることです。


日本の聴衆にメッセージがあればお願いします。

日本で演奏できるのをとても楽しみにしています。私たちにとっては、日本は少しだけ魔法の国ように見えています。とても遠くて、私たちの慣習からは全く違っていて、文化に魅了されます。私たちにとって、ヨーロッパ以外の国で最初に演奏する国です。音楽家としての人生でランドマークとなる経験になることはほぼ間違いありません。

(2017年2月、メールでのインタビュー)