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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

三浦一馬

630コンサート~充電の60分~
情熱のバンドネオン 三浦一馬スペシャルクァルテット

お仕事帰りに60分で気軽に音楽をお楽しみいただける「630コンサート」。今回登場するのはバンドネオン
どんな楽器?聴きどころは?そんな素朴な疑問をバンドネオンのコンサートは初めてという都内企業にお勤めのNさんにインタビューしていただきました。

 

20150910
美しい楽器ですね。古いものですか?
古いですね。戦前のドイツ製でもう70年以上たっています。いま、楽器としては新しいものがほとんど製造されていないのが現状で、ですから古い楽器を探してきて修理しては弾き込んでという感じです。ドイツでは技術の復興という形でやっと新たに作り始めている工房があるという話は聞くので、そこの工房にも今度見に行こうと思っています。楽器がないというのは死活問題ですものね。(笑)


20150910
三浦さんは25歳とお若いですが、この珍しい楽器はどんなきっかけで始められたんですか?
10歳の時にたまたま家族でテレビを見ていて興味を持ちました。まず見た目が面白い。機械好きの少年だったので、第一印象で非常にメカニック的なものを感じました。でも機械的なのにそこから奏でられる音は人間的で深みがあって、自分が知らない大人の世界を感じられるような気がしました。その瞬間に「この楽器を弾こう」と決意しました。その後、日本を代表するバンドネオン奏者の小松亮太さんに会いに行き弟子入りしました。

すぐに弾けるようになるものですか?
この楽器は箱の左右に、合わせて71個のボタンがあり、非常に不規則に並んでいます。しかも右手と左手も配列が違ってボタンによっては蛇腹を伸ばす時と閉じる時とで音が違う。ほとんどすべてのボタンがなんの規則性もなく神経衰弱ゲームのように並んでいるので、まずは覚えるのが難しかったです。

一通り弾けるようになると第二の難しさがあると思うのですがいかがでしょうか?
どんな楽器でもその日の自分のコンディションがストレートに伝わってしまうと思うのですが、この楽器も身体に密着させるのでどうしても自分の呼吸が伝わってしまう。思うように空気を送りこむのはいまだに大変でもっとがんばりたいと思います。また、例えばピアノならペダルで音を伸ばすことも出来ますが、バンドネオンはそれが出来ないので、伸ばしながら切れ目なく弾こうと思うと指を瞬間移動させる、レガート奏法というんですけど、これを綺麗に聴かせるのが大変です。

20150910
今回のバンドネオン、ヴァイオリン、チェロ、ピアノという編成は珍しいのですか?
バンドネオンの中には金属のリードが入っているので管楽器的な要素を持っています。基本的には音一つに対してリードが2枚あり構造はシンプルですが非常に深みがあります。なので、この編成では広がりのある小さなオーケストラのようなサウンドができ、ぼくはとても好きな編成です。


コンサートの曲はこの編成用に三浦さんが編曲されるのですか?
はい。タンゴというジャンルは楽譜があまり存在せず弾く人それぞれが自分の楽譜を持っています。今回プログラムに入れているピアソラも、曲にアプローチするにあたって、どういった形で自分なりのスタイルで演奏するかを考えた時に、楽譜をしっかり書き込んで、その上で深い所まで掘り下げるというクラシック音楽のスタイルがぼくには一番しっくりきます。そして、クラシック演奏家の方と共演すると毎回すごく新鮮な気持ちで取り組むことができます。川久保さんと松本さんは何度も共演している気心知れた仲間。辻本さんは初共演ですがとても楽しみにしています。


20150910
当社にも三浦さんと同年代の社員がたくさんいますが、そういった方たちに何かエールを。
エールですか?(笑)あまり偉そうなことを言える立場ではないですが、ぼくの場合は学生時代から第一線の仕事場に放り出されて、学校以外の現場で揉まれながら本当に雲の上のような方々と関わって、そして技術などを見て盗んでということが糧になってきた感覚があります。これからも現場で教えられることが多いでしょうし、仕事以外の部分も教えていただくことが多いです。

突然ですが、「お気に入り」のものはなんですか?
ドライブというか車が大好きで、夜中に1人で好きな音楽をかけながらあてもなくドライブすることもあります。本当に「愛車」と言えるほど大好きなので、できることなら自分で細かいところまで洗車したいなと思っていて、つい最近いいところを見つけたんです。都心のこんなところに!?というところに24時間使える洗車場があって、掃除道具を買い込んで4~5時間かけて洗車しました。車は乗るのも洗うのも好きですね。


音楽に対しても車に対しても凝り性な三浦さんの一面を垣間見ることもできて、楽しくお話させていただきました。本日は楽器も間近で見せていただき有難うございました。三浦さんご本人に説明いただき、バンドネオンの美しさに興味を持ちました。当日の演奏を楽しみにしております。