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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

© Koichi KITAYAMA

古部賢一

昼の音楽さんぽ 第10回
古部賢一 オーボエ・リサイタル

平日お昼の60分で気軽に楽しんでいただく「昼の音楽さんぽ」に古部賢一さんが登場します。
東京芸術大学在学中から新日本フィルハーモニー交響楽団の首席オーボエ奏者として活躍、室内楽でもひっぱりだこで、これまでにも様々なシリーズで演奏していただいています。

オーボエの魅力は、その音色と歌心

やわらかく包まれる第一生命ホールの響き

今までに、クァルテットのシリーズや「育児支援コンサート」「630コンサート」、そして今回の「昼の音楽さんぽ」と、何度も第一生命ホールで演奏していただいています。ホールの印象をお聞かせください。

古部:響きが良くてとてもいいホール。楕円形をしているので、やわらかく包まれる感じがします。特に管楽器は空間を利用して響きを作りますので、演奏しやすいですね。

古部さんのオーボエの音色は、本当に美しくて私も大好きなのですが、古部さんにとってオーボエの一番の魅力は?

古部:おっしゃるとおり音色と歌心ですね。オーケストラの曲中でたった4小節、もしかしたらただ1音、伸ばしているだけかもしれないけれど、聴いている方に、「ああ、きれいだな」と思ってもらうことが仕事なので。オーボエがおもしろいのは、奏者による音色の違い。オーボエをあまり聴いたことのない方でも、違いはすぐわかるのではないでしょうか。

お昼に気軽に楽しめるプログラムを

今回のプログラムの聴きどころを教えてください。

古部:平日のお昼のコンサートですから、お客様は主婦の方が多いのでしょうか。朝、ご家族を送り出した後に、お友達と待ち合わせて音楽を聴いて、ランチして銀座でもぶらぶらして、晩御飯の支度までには帰れる。理想的な過ごし方ですね。そんな方に楽しんでいただけるように、サン=サーンスのオーボエ・ソナタで爽やかに始めます。フランスのイメージにぴったりの曲で、フランスの森や、田舎の小道や小川など、いろいろな風景を想像しながら聴いていただける曲ではと思います。ブリテンの「メタモルフォーゼ」は、全6曲に神話がついていて、語りも交えて演奏します。メタモルフォーゼというのは変身譚で、たとえば、ナルシストの語源になっているナルキッソスが、水仙に変身する神話などが入っています。カリヴォダの「サロンのための小品」は、オーボエとピアノによるオペラ。場面がドラマティックに変わっていって、「椿姫」や「ボエーム」など、イタリア・オペラを彷彿とさせる。テクニックも含めて見どころ満載です。

オーボエ、もしくは音楽を勉強しているお子さんにアドヴァイスをいただけますか。

古部:やはりコンサート会場で、生の演奏を聴くことが一番いい。CDを聴くことと次元が違い、1つの「体験」ですから。目、肌、身体全体で感じ、いろいろな方向からくる音に身をゆだね、神経を集中させて耳をそばだてるというのは、ものすごく大事なことです。生を体験した上でCDを聴くと、今まで聞こえなかったものが聞こえてくる。生は圧倒的に違います。僕も、僕らの世代のスーパースター、宮本文昭さんを初めて生で聴いた時の音の衝撃は、すごく覚えています。

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次の世代のスーパースター候補の筆頭格、古部賢一さんの柔らかく甘いオーボエの音色を、ぜひ第一生命ホールの響きでお楽しみください。

[聞き手/文 田中玲子]