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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2017年9月21日(木)
年中組10:00~10:30/年少組10:45~11:05/年長組11:20~11:55
出演 井上紗織(フルート)、岡田啓(ファゴット)、松井裕紀子(ピアノ)
概要 実施会場:明石幼稚園 ゆうぎ室
対象者:幼稚園児とその保護者
人数:122名
助成等:文化庁「平成29年度劇場・音楽堂等活性化事業」

レポート

【プログラム】

<年中さん・年長さん>
・ハチャトゥリアン:剣の舞
・パッヘルベル:カノン
・ベートーヴェン:テーマとヴァリエーション
・ドップラー:アメリカの主題による二重奏曲
~みんなで一緒に~
・年中さん…マーク・ マンシーナ、リン=マニュエル・ミランダ:どこまでも 「モアナと伝説の海」より
・年長さん…増田裕子:秋の空、湯山昭:山のワルツ
・明石幼稚園園歌

<年少さん>
・ハチャトゥリアン:剣の舞
・バッハ:メヌエット
・パッヘルベル:カノン
・モーツァルト:歌劇「魔笛」より 夜の女王のアリア
・ドップラー:アメリカの主題による二重奏曲
~みんなで一緒に~
・久石譲:さんぽ
・明石幼稚園園歌

【レポート】

音楽に対する素直な反応が多く見られた年中さんのプログラムを中心にレポートする。

◇オープニング(登場)~1曲目『剣の舞』
 楽器を持って3人が登場すると、興味津々な様子。特に、見慣れないファゴットに視線が集中。音楽が始まると、ざわざわしていた部屋の雰囲気が変わり、聴き入る態勢に。スピード感のあるリズムに合わせて体を動かす子もいた。ファゴットのソロパート、低い音が響くと、初めて聴く音色にちょっとびっくりしつつ、聴き入っていた。子どもたちの体が自然に音、メロディに反応しているのが感じられた。

◇楽器紹介
 3名の演奏家の方が、それぞれ楽器の特徴をわかりやすく説明し、短いメロディで表現。
 ピアノ、フルートは見たり聴いたりしたことがある子が多いが、ファゴットは初体験のようで、その大きさ、音色に興味津々だった。「おじいさんみたいな音色」という紹介から、「大きなのっぽの古時計」への流れがわかりやすかった。

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◇2曲目『カノン』
 まず、カノン(追いかけっこ)の説明のために「かえるの歌」でサンプルを示してから本編に入ったので、子どもたちもどんな風に曲が展開していくのか、気をつけて聴いている印象だった。ただ、途中からは若干飽きてしまった感じも。リズムがシンプルなので、途中から手拍子が自然発生した。

◇3曲目『テーマとヴァリエーション』
 メインテーマをピアノで弾いてから、「このテーマが色んな風に変身して出てくるよ」という予告をして本編へ。こういった説明が入ると子どもたちも聴くポイントがわかってよいと思った。
 途中、変調して曲調がガラリと変わると、会場の雰囲気も一変した。明るい曲調に戻ると、笑顔で楽しそうに聴いていた。曲の印象が、体を通じて素直に表れているのが感じられた。
 難しい説明はなくても、子どもたちの体は音楽に自然に反応するものなのだと思った。

◇「アルプス一万尺」(手遊び)~4曲目『アメリカの主題による二重奏曲』
 井上さんと松井さんお二人で「アルプス一万尺」の手遊びを実演。子どもたちもよく知っている曲だったので、一緒に歌ったり手遊びをして、しっかり子どもたちのハートをつかんでいた。

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 その後曲を聴いてもらうと、「アルプス一万尺」の楽しい雰囲気とは一変し、ドラマチックなスタート。その違いに、みんな驚いている様子だった。途中、「アルプス一万尺」のメロディが聴こえてくると、ノリノリで歌ったり、手拍子が入ったり。メロディが変化するのがとてもおもしろかったようで、大盛り上がりの一曲だった。
 おなじみのフレーズがいつ登場するのか、探しながら聴けるし、メロディの変化も楽しく、子どもだけでなく大人も理屈抜きで楽しく聴くことができた。

◇リクエスト曲をみんなでいっしょに『どこまでも』
 幼稚園側からのリクエスト曲で、みんな大好きな曲だったよう。「歌ってもいいし、前に出て踊ってもいいよ」という言葉に素直に反応して、曲が始まる前から半分以上の子どもたちが前の方へ。曲が始まると、モアナになりきって歌い踊る女の子も。サビでは、多くの子が声を出して歌っていた。会場全体が一体となって、音楽を楽しんでいるのが伝わってきた一曲。終わって「もう1回やりたい!」という声もあった。
 普通のクラシックコンサートでは、一緒に歌ったり、ましてや踊ったりできないので、このアウトリーチならではの醍醐味を感じられた。一人一人が自分なりの楽しみ方で、曲を満喫しているのが伝わってきた。

◇『明石幼稚園園歌』
 全員立って大きな声で歌っていた。いつものピアノ伴奏とは雰囲気が違ったと思うが、まったく気にすることなく、元気いっぱいに合唱。さすが、自分たちの園歌!

(まとめ)

☆3名の演奏家の方々、みなさん笑顔で子どもたちの反応を楽しみながら演奏しているのがとても印象的だった。

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サポーター水野美紀子 観察レポートより

プロフィール

井上紗織  Inoue Saori(フルート)
桐朋学園大学演奏学科卒業。同大学研究科修了。これまでに白尾彰氏、峰岸壮一氏、大木淳子氏 の各氏に師事。オーケストラや室内楽での演奏、子供向けのよちよちコンサート、詩と音楽のコラボレーションしたポエトリーリーディングのライブを行う。桐朋学園大学附属子供の為の音楽教室フルート実技非常勤講師。
岡田 啓  Okada Kei(ファゴット)
桐朋学園大学音楽学部及び研究科、東京藝術大学別科修了。室内楽や在京オーケストラにエキストラ出演する等クラシックのキャリアを積んだ後、2015年MBS主催音楽劇 麦踏みクーツェ に楽団員役での出演をきっかけに演劇やジャズ ポップスミュージシャンとのコラボレーション多数。rosco motion orchestra のメンバー。クラシックはもとより既存の枠を超えて、即興演奏や曲作りも手掛ける
松井裕紀子  Matsui Yukiko(ピアノ)
桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部作曲専攻卒業、同大研究科修了。室内楽の伴奏、幼稚園や小・中学校でのアウトリーチ事業、オーケストラでのピアノなどの演奏活動を行う。邦楽器を含む多種多様な楽器編成の作曲の他に、テレビ番組や校歌の編曲も手がける。現在、桐朋学園大学附属子供のための音楽教室ソルフェージュ講師。島村楽器ピアノ科講師。